「十三機兵防衛圏ってどんなゲーム?」気になっている方への布教用レビュー

「十三機兵防衛圏」が気になってるけどまだ買う気になれない。そんな方に『ココがスゴいよ十三機!』という趣旨でレビューしました。多少ネタバレはありますがご了承ください。
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齋藤 雄志 @Yuusisaitou

昨年末に買ってクリアした#十三機兵防衛圏 私は『去年自分が消化した全フィクションの中でもベスト』という評価をさせてもらった。クリアから少し時間のあいた今でも、歴代のゲーム作品の中でもトップクラスに入る作品だったと確信している。 しかしこの作品、非常に布教しにくいのが難点だった。 pic.twitter.com/76bcW3OiF0

2020-01-07 23:37:36
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齋藤 雄志 @Yuusisaitou

SNS上でも既クリア組から絶賛の声が絶えない。未プレイの方にもちょっとアンテナを張っていれば「どうやら十三機は凄いらしい」という評判は耳に入っていると思う。 特にクリエイターからの支持が厚いらしい。カービィやスマブラ等で有名な桜井政博氏も絶賛されていた。 gamestalk.net/post-138357/

2020-01-07 23:37:37

桜井政博氏が『十三機兵防衛圏』を絶賛
「唯一無二の作品」「こんな作品に続くものが出るとは思えない。遊ぶなら今しかないのでは」

齋藤 雄志 @Yuusisaitou

実はこの作品発売前は結構暗雲が立ち込めていた 発表~発売に四年を有しており、一般ユーザーから見ても制作が難航していることは火を見るより明らかだった。 あまりに時間がかかったため、本ソフト発売日未定の状態で「有料体験版」と呼ばれた「プロローグ」まで別個に発売され、それも賛否を呼んだ。 pic.twitter.com/rrbpTTKd78

2020-01-07 23:37:38
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※現在は「三時間ほど遊べて本編にもデータを引き継げる無料体験版」が配布中です。
 但し後記するゲームの特性上、体験版範囲だけで判断するのは勿体ないと思います。

齋藤 雄志 @Yuusisaitou

本作を制作した「ヴァニラウェア」といえば「美麗なグラフィック、西洋ファンタジー」「爽快なアクションゲーム」がウリで、現代を舞台にした作品は今まで皆無で近未来SF、戦闘もシミュレーション形式ということで不安視したファンも少なくなかったと思う。 私も正直最後まで購入に迷った。 pic.twitter.com/EigoOBu8gh

2020-01-07 23:37:41
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齋藤 雄志 @Yuusisaitou

購入を迷ってる方から聞く意見『気になるけどどんなゲームかわからない』 『パッと見地味、あんまり面白そうに見えない』 という声が多い。 が、これは発売前のファンも同じ心境だったわけである。全てが未知数で不安視する声は絶えなかった印象だ。 pic.twitter.com/hd00WQXA10

2020-01-07 23:37:43
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齋藤 雄志 @Yuusisaitou

発売までの苦難についてはこちらの押切蓮介氏の漫画を読んで頂きたい。発売直前にこういう裏事情が明かされたが、ファンも危険な雰囲気は十分察知していた作品である。 13sar.jp/comic/

2020-01-07 23:37:44
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

しかし蓋を開けてみると発売前の逆風が無かったかのような絶賛一色。私もギリギリまで購入に悩んでいた過去の自分に「迷わず買え」と言ってやりたい。 しかし未プレイの方が迷う気持ちもよくわかる。だので「十三機のどこが凄いのか」ということに焦点を当ててレビューを書きたいと思う。

2020-01-07 23:37:44
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

布教用レビューなのでなるべくネタバレは避けるが、どうしても内容に触れる部分もあります。出来れば全く無情報でプレイして頂きたい作品。 『気になるけど購入に踏ん切りがつかない、ちょっとだけ内容知ってもいい』という方だけ読み進めてください。 pic.twitter.com/lvBaKCKkGW

2020-01-07 23:37:46
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齋藤 雄志 @Yuusisaitou

まず本作をプレイして誰もが抱く賞賛ポイントは 『シナリオが凄い!』 であることは間違いないと思う。 クリエイターから支持が厚いのはこのためだろう。とにかく同業者から見ても凄まじいシナリオなのである。

2020-01-07 23:37:46
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

制作が難航していたのもひとえに「複雑怪奇なシナリオの構築、整理作業に苦戦したから」が一番の要因なんじゃないかと思う。 本作のシナリオの特徴「十三人の主人公」 「時系列が解体された語り口」 であるpic.twitter.com/aKG3JmtmlV

2020-01-07 23:37:48
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齋藤 雄志 @Yuusisaitou

「登場人物の多い群像劇」「主人公が十三人」では訳が違う。本作はきっちり「主人公が十三人」の物語作りが施されている。 どういうことかと言うと、一人一人の主人公によってちゃんと別々の命題、目的が用意されて話が作られている。

2020-01-07 23:37:48
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

例えば 「謎の小型ロボットと出会い時を駆ける」 「記憶を失った少年が記憶を取り戻そうと奔走する」 「あるループ構造に閉じ込められた主人公が脱出を計ろうとする」 といった具合に、主人公それぞれにちゃんと特殊な命題が用意されている。 pic.twitter.com/ilWmo1oVJ0

2020-01-07 23:37:49
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齋藤 雄志 @Yuusisaitou

「ある大きな事件の中で行動するそれぞれのキャラクターの視点から物語を見る」というタイプのものならよくあるが、ここまでちゃんとそれぞれの物語のコンセプトが分けられているものは珍しい。 それぞれの物語が、SF好きはニヤリとするコンセプトなのも嬉しい。それでいて模倣の域にとどまっていない

2020-01-07 23:37:50
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

本作にはタイムトラベル要素があり、いくつかの年代が登場する。 同じ年代の登場人物であってもそれぞれの行動領域が被っていることはあまりない。これがまた地味に手の行き届いた配慮で画期的でかつ「面白い」

2020-01-07 23:37:50
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

「かまいたちの夜×3」というノベルゲームが過去にあった。この作品も四人の主人公を操作して物語を読み解くゲームだったが、閉鎖空間が舞台だったため、同じ空間に居る登場人物の、同じくだりのイベントを何度も読まされるというマイナスポイントがあった。 十三機はそれを巧妙に回避している pic.twitter.com/L9CG98qSIx

2020-01-07 23:37:52
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齋藤 雄志 @Yuusisaitou

時系列はバラバラ、行動領域も被っていない、それぞれ話も違う。「わかりにくいんじゃ?」と思われる方が居ると思う。勿論、その予想は正しい。本作はとにかくシナリオが非常に「わかりにくい」 しかし、それがべらぼうに面白いのである。それは何故か?

2020-01-07 23:37:52
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

「感情から書く脚本術」という本の中で、著者のカール・イグレシアス氏が『全ての物語はある種の謎解きである』と述べている。 物語を楽しむというのは、作者によって巧妙に隠された情報を、読者が発見するプロセスなのである。 pic.twitter.com/PLTFf54UG4

2020-01-08 01:31:29
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齋藤 雄志 @Yuusisaitou

例えば桃太郎の話がなぜ「おじいさんが山へ芝刈りに」から始まるのか。別に鬼を退治するシーンから始めてもいいわけである。 しかし、それは当然物語としては「面白くない」 作者は、最後に鬼が倒されることを知っていながら「わざと時間を遡って結末を隠している」のである。 pic.twitter.com/SG74VPFl3O

2020-01-08 01:31:32
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齋藤 雄志 @Yuusisaitou

例えば映画でも、冒頭登場する主人公というのは観客にとって「未知の存在」だ。どういう来歴の人物で、何を目的としているのか。問題は何なのか、敵は誰なのか。そういう情報が段々と開示されていくのが「物語」だ。「全ては謎解き」というのはそういう意味である。

2020-01-08 01:31:33
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

つまり物語というのは、読者が未知の情報に遭遇して、情報と情報の隙間を埋めるために整合性を取ろうとすることで成立する。 優れた物語とは「巧妙に仕組まれたミステリー」なのである。「わからない」は一概に欠点ではない。

2020-01-08 01:31:33
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

本作には三つのゲームモードがある。 キャラクターを操作するアドベンチャーパートの「追想編」 戦闘の「崩壊編」 そして、ゲーム内の専門用語や消化したイベントを回想出来る「究明編」である。 このナゾの三構成がまた宣伝のしにくさに拍車をかけた。 pic.twitter.com/YshvrVh7pj

2020-01-08 01:31:35
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