かぜに抗菌薬(抗生物質)は効かないよ

かぜと抗菌薬の話がしばしば話題になるので、11月のツイートを中心にまとめました。
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「かぜに抗菌薬(抗生物質)は効かないよ」(11月15日朝日新聞) pic.twitter.com/coOnmKruVI

2019-11-15 07:55:05
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宣伝だけでなく説明もします。風邪の症状は「のど・はな・せき」です。皆さんがいつもの風邪をひくとこれらの症状が少しずつ時間差で出てくると思います。こういうのはすべて「ふつうの風邪」です。ウイルスによるもので抗菌薬は効きません。すぐに治す特効薬はないのです。

2019-11-15 18:21:09
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ふつうの風邪のあとに肺炎になることがあります。肺炎を予防するという理屈で抗菌薬が多く処方されてきました。しかしその効果はかなり小さく、副作用や耐性菌のリスクの方がずっと大きいため、そのような処方は今では勧められません。

2019-11-15 18:25:09
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「せき」「はな」「のど」の症状がすべてふつうの風邪とは限りません。せきがとても強い場合は気管支炎と診断されることがあります。最近流行している百日咳なら抗菌薬を使うことがあります。ただ、ほとんどはウイルスによるものとわかってきたので、多くの場合抗菌薬は不要です。

2019-11-15 18:29:36
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かつて気管支炎はすべて抗菌薬治療が必要とされていました。また、気管支炎を「風邪」と説明してきた医師がいるかと思います。しかし今では気管支炎はふつうの風邪とは分けて考えるようになってきました。そして百日咳など一部を除いて抗菌薬は不要とされています。

2019-11-15 18:34:48
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「はな」の症状が強い急性副鼻腔炎という病気があります。ふつうの風邪のあとに起きることもあります。ウイルス性が多いですが細菌性のこともあります。細菌性でも軽症なら抗菌薬は不要です。早く治るわけではなく、副作用の悪影響がむしろ大きいからです。中等症・重症で抗菌薬を検討します。

2019-11-15 18:45:45
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「のど」の症状が強い急性咽頭炎は多くがウイルス性です。一部にA群溶連菌という細菌が原因となっている場合があり、抗菌薬治療が必要です。症状や迅速検査でA群溶連菌によるものを絞りこんで抗菌薬を使うか決めます。その他は基本的に抗菌薬不要です。

2019-11-15 18:50:59
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大切なのは急性気管支炎や急性副鼻腔炎や急性咽頭炎をふつうの風邪(感冒と呼ぶこともあります)と分けて考えることです。これらは風邪に引き続くこともありますが、基本的に違う病気です。それを見分けていくのが医師の仕事です。

2019-11-15 19:01:33
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これらをすべて「風邪」と説明し、抗菌薬を処方してきた医師がいるかもしれません。かつてはそれが妥当と考えられた時代があったようです。しかし様々なデータが蓄積されて考え方が変わりました。現在は過渡期です。耐性菌問題が大きいのでできるだけ早く処方内容が変わっていく必要があります。

2019-11-15 19:09:00
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ここまで述べてきたのはもともと病気がなく健康な人に症状が出たときの話です。高齢者や重い病気をもっている方は話が変わることがあります。とはいえ、基本的な考え方は同じです。

2019-11-15 19:12:02
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医師が悪いのか患者が悪いのかという議論になることがありますが、どちらが悪いという話ではなくそれぞれが知識をもっていけばよいのだと思います。薬剤耐性は大きな問題になっています。いがみ合っている時間はありません。

2019-11-15 19:16:00
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@mimi0176 過去に医師が処方し説明してきたことが影響していることは間違いないでしょう。検証と反省もそうですが、まずは医師の知識と処方行動のアップデートが急がれているところです。医師サイドと市民サイドの両輪で進めていかなくてはなりません。

2019-11-28 06:06:26
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風邪に抗菌薬の件で、医師が処方するからどうしようもないという方は自分の言動や態度が医師の処方を促す結果になっていないか一度振り返ってほしい患者が欲しがるからどうしようもないという医師は自分のこれまでの処方が抗菌薬希望につながっていないか一度振り返ってほしい

2019-12-28 13:26:55
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急性気道感染症(感冒、急性咽頭炎、急性副鼻腔炎、急性気管支炎)に抗菌薬が処方されている割合は13-49歳で高いです。この年代は抗菌薬の知識問題で正解率が低い年代でもあります。受診したときに抗菌薬を処方してほしいと希望していませんか? amr.ncgm.go.jp/pdf/20191126_p… pic.twitter.com/ta8x24v35Z

2019-11-27 19:23:30
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「風邪ですね。お薬出しときます」だけでは不十分とわかっていても冬場の忙しい時期にゆっくり説明する時間はありません。そのようなときに使える資料があります。どんな説明を受ければ受診患者が納得でき満足度が上がるかという研究に基づいたものです。 amr.ncgm.go.jp/pdf/190904_kan… pic.twitter.com/N8jW3SvWIA

2020-01-05 18:17:43
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