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女王崩御の日に不死者たちは語る

女王陛下好き好きっこの英国ヒーローたちの会話、と思い愚痴語りになってしまったなんかあれなアレ。ボンド、スマイリーは伊藤計劃短編により「写本」すなわち記憶ストレージで延々保存され適宜適合者に上書きされる設定になってます。
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現場猫教授 @Dr_crowfake

「女王が崩御された」 下町のパブで、七三分けの銀髪に眼鏡の陰気な雰囲気の男が告げた。 「生者はいずれ神の国に召される。人間とはそうした恵まれた存在だ」 黒髪を伸ばしたインバネス姿の美男子が答える。 「我々『写本』には許されない急速だがね」 どこか瀟洒な雰囲気の男が合いの手を入れた。

2020-01-14 15:44:24
現場猫教授 @Dr_crowfake

彼らは大英帝国の外套と短剣を象徴し。その栄枯盛衰と、これからを見つめる使命を帯びた男たちだった。 ジョージ・スマイリー――SISのスパイ・マスター。 アーカード――英国国教騎士団最恐の吸血鬼殺し。 ジェームズ・ボンド――SISのマスタースパイ。 いずれも天佑ゆえに不死となった存在だ。

2020-01-14 15:44:24
現場猫教授 @Dr_crowfake

「しかし」 アーカードがスマイリーとボンドを見つめて問う。 「お前たちは『写本』というあり方を、どうして受け入れた? 一度きりの生を燃やし尽くすことこそ人間の至上の美であるだろうに」 スマイリーは肩をすくめた。 「かつての戦士には、休息が必要だ。私はそう冷戦後に告げたが、召命された」

2020-01-14 15:44:24
現場猫教授 @Dr_crowfake

「ほお?」 アーカードは興味深そうな顔をする。スマイリーは言葉を続けた。 「大英帝国の臣民である限り、召命には従わねばならん。王の政治的身体が望むのであれば、私もまた従わなければならん。Mustで言葉を語るのは他人に命運を譲ることだが、臣民というのはそういうものだ」

2020-01-14 15:44:25
現場猫教授 @Dr_crowfake

「臣民としての忠を尽くすか。それもまた人間の生き様だろうよ。そちらの彼も同じかね?」 アーカードの言葉に、ボンドは首を振る。 「私はすでに人間性の根源たる自我を摺り切らしてしまった。私は無意識のままにかつてのジェームズ・ボンドであればそうしただろう振る舞いを演じる写本に過ぎない」

2020-01-14 15:44:25
現場猫教授 @Dr_crowfake

アーカードは嘆息し、 「究極の『臣民(サブジェクト)』というわけか。どうやらキミでは私を倒せそうにないな」 と言い放つ。 ボンドは肩をすくめ。 「同じ大英帝国の臣民である限り、闘う機会はないさ」と告げ、スマイリーが間に入る。 「アーカード、あまり好戦的にならないで欲しい」

2020-01-14 15:44:25
現場猫教授 @Dr_crowfake

アーカードは眉間にシワを寄せ。 「そうだな――今日はあの愛しい女王陛下の死を悼む日だ。何もお前たちと論争に来たわけではない」 とつぶやき、スマイリーとボンドにカクテルを注文してやった。自身は持ち込んだ新鮮な血液パックを開ける。 「帝国の過去と未来と、女王の安らかな眠りを願い、乾杯」

2020-01-14 15:44:25
現場猫教授 @Dr_crowfake

不死者たちの夜は、そうして過ぎていった。

2020-01-14 15:44:26

コメント

鱶森 @sHark_plus0 2020年1月14日
ドラキュラ紀元ネタかなと思ったら別の話か 面白そうだから覚えとこう
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94式北海黒竜王V、 @DoomDrakeV 2020年1月15日
キャプテン・ブリテンとかコァ単位で似た感じだよな
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