フィアスコ(Fiasco)天羅万象プレイレポ「どうあがいても救われない俺らが因縁を紡いで最悪の物語を作る」

※プレイセット「天羅万象」は↑こちらの天羅万象RPGの世界観でフィアスコを遊ぶためにたこすけ氏が作成した二次創作プレイセットです。

未だ戦乱の渦中にある天羅の、とある辺境の宿場町。

一時あたりを脅かした野盗もなりを潜め、比較的平和が保たれているように思えるこの地にも、見えないところで色々と不穏な火種がくすぶっていた…。

人物紹介

イカれた天羅人たちを紹介するぜ！

PC1：福善坊/ﾌｸｾﾞﾝﾎﾞｳ（PL：たこすけ）

とある町で火盗改メ（天羅世界にもあるらしい）の頭を勤める外法師。外法師は陰陽道と法術を両方扱えて最強に思えるクラスだよ！　PC2の野盗とヤク取引のマッチポンプを行い私腹を肥やす汚職役人。

PC2：蜂須賀 犬/ﾊﾁｽｶ ｹﾝ（PL：春夏冬 秋さん）

町の外に暮らす傭兵団…とは名ばかりの野盗の頭。性格は粗暴で女好き。かつて戦場に落ちていた傀儡（美女の生き人形）を集団で弄んでボロボロにした過去がある。

※ちなみに天羅世界における傀儡とは、傀儡師が神木から作り出しヒトの振る舞いを学習させて育てた生きた芸術品で、幻術により人間とは見分けがつかない。高級なものは茶器のように国同士で争奪戦が起きるレベル。自我を持つがゆえにヒトとモノとの間でアイデンティティの確立に悩む悲しき存在である。

PC3：禅十/ｾﾞﾝｼﾞｭｳ（PL：あかうさ）

PC2の副官ポジだったが、自分らがボロボロにした傀儡に魅せられ、傀儡でしか欲情できなくなってしまったHENTAI（最低だ…）。壊れた傀儡を修復するため傀儡師になると言いだして野盗のアジトから出奔、山奥の庵にこもり木を削る日々を送る。

PC4：宇途 泉葉/ｳﾄ ｾﾝﾖｳ（PL：たちばなさん）

PC1に仕える男性型の戦闘用傀儡。傀儡であることを隠しつつ、人間を支配する存在になる野望を抱く美青年。かつてPC3がまともな剣士だったころに剣術を教えてもらったことがあり、恩義を感じている（が、その恩人の現状はまだ知らない）

第一幕

火盗改メの長である福善坊と野盗の蜂須賀が悪巧み。火盗改メが押収した麻薬を野盗に横流しし、それをまた摘発して功績を上げつつ蜂須賀の言うことを聞かない厄介な輩を排除するというマッチポンプにより長年ウィンウィンの関係を築いていた。

黄金色のお菓子をもらってホクホクの蜂須賀は旧知の仲である禅十の庵へ。禅十は傀儡師としての修業を積みかつて壊した傀儡を修復することに成功したが、何をやっても起動せず悩んでいた。そんなところにやってきた蜂須賀の用向きは「傀儡を使わせろ（性的な意味で）」だった。

禅十が止めるのも聞かず、動かない傀儡でハイパーお楽しみタイムに突入する蜂須賀（ひでえ…）　その衝撃でかなんでか、今まで目覚めなかった傀儡が突然起動した!!（最悪だ…）　目を覚ました傀儡はかつて蜂須賀らにされたことをしっかり記憶しており、悲鳴を上げて逃げ出してしまった！

見回り中の宇途は、あられもない姿で逃げてきた美女、椿を保護する。彼女が自分と同じ作られし存在、傀儡であることを見抜いた宇途は椿に問う。「ヒトとして生きたいか、モノとしてヒトに支配されつづけたいのか」

椿は答える。「ヒトになりたい。自分を弄んだ連中に復讐したい」と…。

蜂須賀は逃げた傀儡、椿を追って福善坊を訪ねる。福善坊はすでにそれらしき美女が宇途に保護されたことを聞いていたが、さすがに表立ってそれを野盗に渡すわけにはいかないと話をはぐらかし、蜂須賀はそれ以上追求することもできずすごすごと引き返す。

ろくな交渉もできず引き下がるしかなかった蜂須賀はアジトに戻るも、奇妙ないら立ちと落ち着かなさを覚える。彼は自分では気づいていなかったが、椿の美しさに本気で恋してしまい冷静な判断力を失いつつあった。

一方椿のことが気が気で仕方ない禅十は山を降り、偶然宇途と一緒にいる椿を見つける。帰ってくるように促す禅十に椿は殺意全開で匕首を向け、ショックを受けた禅十はうろたえながらその場を去るのだった。

宇途は禅十がかつて剣を教えてくれた剣士、禅一郎であると気づき、彼の庵を訪ねる。愛玩用の傀儡として権力者の間で翻弄されてきた宇途は最終的に戦のごたごたで打ち捨てられた。そこでたまたま出会った禅一郎に教えを請うて刀で身を立てる足がかりをえたのだ。禅一郎（現禅十）にとってはほんの気まぐれだったが、宇途にとってそれは自らの意志でヒトになる第一歩を刻んだ大切な記憶だった。

ヒトになりたいという宇途の切なる願いをしかし、禅十はくだらないことと一笑に伏す。傀儡は完璧な素晴らしい存在、なぜわざわざ不完全なヒトになどなろうとするのか。そう熱っぽく語る禅十。傀儡の魅力に取り付かれすっかり人が変わってしまった彼の姿に失望した宇途は肩を落として山を降りるのだった。

ここまでで第一幕だよ！　本当に濃いぃな!!

転落、そして・・・

ここで今後の展開に影響を及ぼす二つのフレーズ「転落」を決めます。

『2人は運命的に出会い、すべては変化する』

『愛が、その醜い頭をもたげる』

これらを踏まえ、さてどうなる第二幕！

第２幕

上司である福善坊を訪ねた宇途は自らの出自を明かし、悩みを打ち明ける。僧侶でもある福善坊は「魂を持つものはみな六道輪廻の輪の中を巡っている。そこには人も傀儡もない」と説く。その教えに感銘を受けた宇途は上司を支配する下克上の考えを捨て、人としての格で上司を超えてみせようと決意を新たにする。
福善坊は椿を引き取り、火盗改メの詰所で下働きとして保護することを申し出、宇途はこれを了承。

執拗に椿を求める蜂須賀は再び福善坊の元を訪れ、香木で作られた傀儡である椿の残り香をかぎつけて、椿が詰所にいる事実を知った。冷静さを欠いた蜂須賀は福善坊が椿を囲い者にしようとしていると勘違いし頭に血を上らせる。

頭に血が上った蜂須賀が禅十の庵を訪れる。禅十は無謀ともいえる椿奪還計画に乗り、ずっとしまいこんで来た刀の封印を解く。それはすなわち傀儡師としての自分に別れを告げることでもあった。自ら庵に火を掛けて、禅十は蜂須賀たちと共に死地に赴くのだった。