ViSiONeGATiVeさんのやさしい原子炉講座

TLにわかり易い解説を見つけたので転載。
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@vISIoNegative

溶融塩炉=高速炉。現在の原子炉は放射線を減速させないと核分裂反応を維持できないのだけど、高速炉は中性子を減速させないで分裂反応を起こさせようというもの。金属ナトリウムやビスマスなどは減速させないので高速炉の冷却材として用… (cont) http://deck.ly/~ruH47

2011-06-07 19:01:53
@vISIoNegative

なんか原子炉の話がありますたなぁ。ちょっと自分が知ってる限りで原子炉の種類でも説明しましょうか。 現在の実用されている原子炉、世代がございまして、実用段階に入ったのが第2世代炉。そして最新炉は第3世代と言われてます。

2011-06-07 19:39:35
@vISIoNegative

両方共熱中性子炉と言われる原子炉で、中性子を減速(熱中性子)させないとU235が効率よく分裂反応を起こしてくれないのでそのために減速材を用いられている炉の総称です。減速材としては黒鉛、重水(重水素と酸素が結合した水と思いねぇ)、軽水(水のこと)が用いられます。

2011-06-07 19:43:07
@vISIoNegative

中性子が減速してU235が核分裂反応が起き、膨大な熱が発生します。その膨大な熱を取り出す(そしてタービンを回す)ために冷却材が用いられます。熱中性子炉の冷却材としては、ヘリウム、炭酸ガス、空気、重水、軽水、金属ナトリウム、水銀といった物が有ります。

2011-06-07 19:49:46
@vISIoNegative

減速材・冷却材が揃って初めて原子炉は反応熱による発電が可能になります。原子炉としては大きな分類として、黒鉛炉・重水炉・軽水炉があります。現在の大半の原子炉では冷却材と減速材を兼ねることが出来る軽水炉が主流です。

2011-06-07 19:56:42
@vISIoNegative

軽水炉も大きく分けると2種類あり、加圧水型原子炉(PWR)と沸騰水型原子炉(BWR)があり、日本国内では福島第一、及び東電所有の原子炉と浜岡原子炉などがBWR、それ以外はPWRを用いております。

2011-06-07 19:59:02
@vISIoNegative

福島第一はすべてBWRでした。そして、1~6号炉までは第2世代BWR、建設予定(後に中止)の7.8号炉は第3世代ABWRでした。

2011-06-07 20:07:40
@vISIoNegative

中国が福島第一原発事故後の緊急声明で原子炉の安全性に言及したのはこの3世代の性能向上によるものだったりします。

2011-06-07 20:14:39
@vISIoNegative

2世代と3世代の違いは…1)長寿命化(2世代は40年(最長80年)、3世代は60年(最長120年))、2)炉心損傷頻度の低減化 3)受動的緊急炉心冷却システム(福島のような停電が起きても長時間冷却を維持できるシステム) 4)簡素化による安全性の向上 5)大型化と出力の向上

2011-06-07 20:12:39
@vISIoNegative

第3世代原子炉(ABWR・APWR・ESBWR・EC6等)はエコブームにのって中国・中東などの新規原子炉発注で脚光を浴びてます。しかし、燃料となるウランも有限です。また、放射性廃棄物の問題も未だ解決しておりません。

2011-06-07 20:27:34
@vISIoNegative

限りあるウラン(可採年数100年)を如何に扱っていくのか、他の資源も含めて発電による消費を抑えることはできないだろうか。そういう観点から、次世代原発として第4世代原発の開発・研究が現在行われている。

2011-06-07 20:34:39
@vISIoNegative

第4世代原子炉。これは実現すれば夢のような原子炉になるのは間違いないでしょう。ただ、当然ながら技術的に高度なものが要求されるため、まだ実用化への道は困難となります。

2011-06-07 20:42:52
@vISIoNegative

現在研究されている第4世代原子炉。第4世代では現在の第3世代原子炉をさらに改良した熱中性子炉と、陽子加速器を用いて中性子を発生させ、臨界させることなく核分裂反応を行う加速器駆動未臨界路。溶融塩など、中性子を減速させず冷却できる冷却材を用いた高速炉が研究・開発中です。

2011-06-07 20:56:25
@vISIoNegative

ここで勘違いしてほしくないことが一つ。高速炉=増殖炉ではありません。高速炉とは、減速材を用いず、中性子を減速させることなく核分裂反応を行う原子炉の総称であり、増殖炉は高速炉のうちの一つです。

2011-06-07 20:54:59
@vISIoNegative

第4世代原子炉の中で、現時点で最も実用化が高いだろ言うと言われているのが超高温ガス炉(VHTR)です。これは、第1世代で主流だったガス炉を超高温化し、ガス炉の問題点であった熱交換の効率を改善し、さらにその高温でもって水素も生産しようという意欲的なハイブリッド発電システムです。

2011-06-07 21:00:41
@vISIoNegative

日本では高温工学試験研究炉(HTTR)による研究が進められ、ガス温度950度を達成しました。また、安全性実証試験も行われ、制御棒を減らし、冷却材を抜き、循環系を停止した状態での6時間に及ぶ試験で安全性が確認されました。

2011-06-07 21:13:33
@vISIoNegative

超臨界圧軽水冷却炉(SCWR):軽水を高温高圧の超臨界圧軽水(約500℃、25MPa)を用いた第4世代原子炉。東大などが中心に研究されている原子炉で、熱中性子炉・高速炉の両方が設計可能。超臨界圧軽水は現在最新の火力発電所でも用いられていて、そのまま応用が可能とされている。

2011-06-07 21:22:38
@vISIoNegative

溶融塩炉:冷却材に溶融塩を用い、ウラン・トリウムを融解させて液体燃料として循環させる液体燃料炉。核分裂反応は減速材(黒鉛)のある炉心でしか発生しないことを利用して、冷却材自体を燃料とすることで運転中でも補給が可能。また、トリウムサイクルの有効な原子炉形式としても考えられている。

2011-06-07 21:38:55
@vISIoNegative

トリウムサイクルとはトリウムが中性子を吸収すると核変換が発生し、最終的にU233に変化する現象のことを言う。U233は熱中性子を最も効率よく吸収するウラン同位体であり、U233の生成がTh232の分裂より多く発生すればトリウムサイクルを前提とした増殖が可能とされている。

2011-06-07 21:43:32
@vISIoNegative

高速炉:高速中性子を用いた原子炉。中性子を減速させず核分裂反応を維持するため、冷却材には金属ナトリウム・水銀・ビスマスなどが用いられる。燃料の生産も目的とした原子炉は増殖炉と呼ばれるが、高速炉でなくても熱中性子炉でもトリウムサイクルによる増殖炉は可能である。

2011-06-07 21:58:42
@vISIoNegative

高速炉としては、資源供給困難地向けに東芝が開発中の燃料30年無交換で発電可能な原子炉『4S』、さらに『4S』を改良して燃料寿命を60年まで可能とするテラパワー社の進行波炉(TWR)。増殖を目的とした高速増殖炉がある。

2011-06-07 22:00:27
@vISIoNegative

加速器駆動未臨界炉:加速器から発生する陽子をターゲット(タングステンなど)に当て、核破砕を引き起こし大量の中性子を未臨界状態の核燃料に放射して核分裂反応を引き起こす。未臨界状態を維持するので臨界による暴走(超臨界)事故の可能性がなく、よって高い安全性が確保される。

2011-06-07 22:04:41
@vISIoNegative

また、自己による臨界が不可能なトリウムを利用することも可能。さらに核変換処理が可能なので、核燃料サイクルの可能性や高レベル放射性廃棄物の各変換による安定同位体処理も可能と考えられている。現在京都大学原子炉実験所で研究が進められている。

2011-06-07 22:08:28
@vISIoNegative

とまぁ、第4世代炉が研究中でありまして、実用されればそりゃ夢のような発電生活が送れるわけですが…今回の福島の事故で研究自体は停滞して欲しくはないなぁと思ったり。

2011-06-07 22:11:39
@vISIoNegative

また、今回の一件で原発の新規開発は不可能となったと言われておりますが、共産党の方々が申してますように『安全を前提とした原子力発電』の道を模索してほしいなと思う所存でございます。

2011-06-07 22:12:02