映画『ドラえもん のび太と最後の時間旅行』（完結）by @tokurontinus

トクロンティヌス @tokurontinus

「……ドラえもん？ねぇ、聞いてるの？」 「ドラえもんが動かなくなった！？」 「のび太、それ本当なのか？」 「どうせまた、いつもの寝坊とかなんじゃないの？」 「のび太さん、それ本当なの？」 「本当だよ！それだけじゃない、ドラミちゃんとも連絡出来ないんだ！」

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「……野比君、他の未来道具は試してみたのかい？」 「あ、ああ。一応、スペアポケットは持って来たけど……」 「……使えるものと、使えないものがある……違うかな？」 「！そうだよ、でも出来杉、なんで知ってるの？」 「なるほど、これは……とても大変なことになったかもしれないね」

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「僕たちは、今、"ドラえもんが開発されなかった未来へと続く世界"に居るんだよ」 『映画ドラえもん　のび太と最後の時間旅行』

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「ドラえもんが開発されなかった世界……？出来杉、何を言ってるの？」 「それが何のきっかけだったのかわからない。昨日の出来事なのか、それとも何年も前のことなのか……でも、何かの"きっかけ"で僕たちは、ドラえもんが開発されない世界へと続く世界を『選択』してしまったんだ」

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「ドラちゃん、本当に動かないのね……」 「いつもの居眠りにも見えるのにな」 「ジャイアンじゃないんだから」 「なんだと、スネ夫！」 「野比君、タイムマシンの方はどうだい？」 「えっと……動かせるみたいだけど……おかしいな、燃料満タンだったはずなんだけど……一回分しか残ってないみたい」

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「なるほど……これは思ったより深刻だね……」 「なんでだよ、出来杉！未来に行って直してもらえばいいだろ？」 「剛田君。僕たちはドラえもんを介して未来にアクセスしてきた。その仲介役がいない今、未来人にとって僕らは『不自然にオーバーテクノロジーを手に入れた危険な過去人』でしかない」

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「最悪、捕らえられて帰って来れなくなるかも……」 「そんな！じゃぁどうすればいいんだよ、出来杉！」 「野比君、よく聞いて。僕たちは残された使える未来道具を使って、『何故僕たちの未来が分岐してしまったのか』を突き止めて、たった一回のタイムワープでそれを元に戻さないといけないんだ」

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「ねぇ、出来杉さん。こんなこと"前にも"なかったかしら？何だか上手く思い出せないんだけど……」 「あれ？静香ちゃんも？僕ちゃんも何か思い出があるような、ないような……」 「俺もだ。何かイライラするよな！」 「野比君、これってもしかして」 「そうだよ、出来杉」 「「もしもボックス！！」」

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「そうだよ、何で気づかなかったんだろう。"あの時"は魔法の世界だったけど、きっと今回は『ドラえもんのいない世界』を申し出たんだ。きっとそうさ」 「野比君、スペアポケットで『もしもボックス』を出せるかい？」 「ちょっと待ってて……あった！たぶん、これが……そうだと……」

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「どうだったんだよ、のび太！」 「のび太さん……」 「だめだった……受話器を上げても、何の反応もないんだ……」 「『もしもボックス』は使えない……でも、君が前に僕の言葉を聞いて魔法の世界を作ったときに、すぐには元の世界に戻せなかったのは確かーー」 「それは、ママが捨てちゃてたんだよ」

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「そう、元に戻せなかったのは別の要因であって、もしもボックスの効果そのものは維持されていたはずだ。しかし今回はそれがなくなっているということは……」 「もしもボックスの効果ではない……」 「そういうことになるね」

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「でもよ、出来杉。原因を探るにしてもよ、使える未来道具を確認しておいた方がいいんじゃないか？」 「あ、僕ちゃんもそれ賛成ー」 「確かに剛田君の言うとおりだね。まずは今、使える未来道具の確認からしておこう」

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「ヒラリマントにビッグライト、タケコプターと透明マント、石ころぼうし、タイムテレビ、それにたずね人ステッキか……」 「ビッグライトは使えるのにスモールライトは使えないとか何でなんだろ？」 「ほんやくコンニャクがただの不味いコンニャクになってたのもな、のび太」

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「ねぇ、出来杉さん……」 「あぁ、静香君。僕も同じことを考えていたところさ」 「？？　二人とも何を怖い顔してるのさ」

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「野比君。君は『使える未来道具が少なすぎる』とは思わないか？」 「そりゃそう思うけど……それはドラえもんが元に戻れはいい話だろ？」 「のび太の言うとおりだぜ、出来杉」 「いや、骨川君。そうではないんだ。逆に聞こうかーー」

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「何で、本来ただの子守ロボットでしかないはずの『ドラえもんがいないだけの世界』で、今、この時点で使える未来道具がほとんどないのか……つまり、未来で開発されなかったことになっているのか……おそらく『僕たちが今いる世界の未来』は、未来道具を生み出せないような世界ということなんだ……」

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【宣伝】多いのは大学小説ですが、たまにSF小説も書いているので、ドラえもんSSが気に入った方は是非。ゲノム編集の未来を書いています > kakuyomu.jp/works/11773540…

トクロンティヌス @tokurontinus

ところで、前作ドラえもんssでは地の文入れてるんですけど、今回、一切入れてないのにセリフだけでみんな読んでるの凄くないですか？　皆さんの脳内にある『ドラえもんの記憶』を引き出して補完される物語なんですよね、これ