謎の肺炎再び (10) 中国の感染者14,422名、死者304名に/日本から「ダイヤモンド・プリンセス」乗船の香港男性が感染/邦人帰国の担当職員自殺？/フィリピンでも死者 中国外で初

「謎の肺炎再び（9）」から続いています。

14　香港在住　80歳男性

香港新界の葵涌邨綠葵樓に居住。1月17日、娘二人と共に飛行機で日本に渡航。20日横浜からクルーズ船「ダイヤモンドプリンセス号 (鑽石公主號)」に乗船し、25日に香港帰国。船は22日鹿児島に寄港した。日本滞在中の19日から咳が出始め、帰国後の30日に発熱。同日明愛醫院に隔離入院。2月1日夜、感染が確定した。

中国本土への渡航歴は、1月10日に香港から羅湖経由で数時間滞在したのみ。潜伏期間中に医療機関での診察は受けていない。日本旅行に同行した娘二人と同居の妻を現在調査中。

クルーズ船は、香港の後は中国本土へは寄らず、ベトナム、台湾などに向かった。同じ船に乗船した香港人作家によると、乗客の７～８割は日本人で、２割程度が香港の団体旅行など外国人。中国の標準語である普通話を話す若い乗客が数名いたが、咳をする者は見かけなかったという。

【香港】
★過去14日以内に、新型肺炎感染が確定した患者の自宅や滞在したホテルなど

-沙田 アルバホテル（帝逸酒店）　1/20
-沙田 天宇海 1A 座　1/21　自宅
-沙田 銀湖天峰第一座　1/23　自宅
-屯門 倚嶺南庭　1/24　自宅
-葵青 長康邨康美樓　1/24　自宅
-東区 宇宙閣　1/25　自宅
-西貢 將軍澳廣場第二座　1/26
-西九龍　Wホテル　1/28
-中環　フォーシーズンズ（四季酒店）　1/28
-油尖旺區　御金‧國峰第二座　1/30　自宅
-葵青區 葵涌邨綠葵樓　1/30　自宅
-九龍城區 黃埔花園第十一期一座　1/31　自宅

★同、患者が利用した飛行機や列車など

-中国国際航空 CA8279 武漢－深圳　1/19
-高速鉄道 G1013 武漢－深圳北　1/19　
-高速鉄道 G6543 深圳北－香港　1/19
-ドラゴン航空 KA853 武漢－香港　1/19
-キャセイ航空 CX500 香港－日本　1/19
-ドラゴン航空 KA855 武漢－香港　1/20
-ダイヤモンドプリンセス号 (鑽石公主號）横浜－鹿児島－香港　1/20-25
-高速鉄道 G1015 武漢－深圳北　1/21
-高速鉄道 G5607 深圳北－香港　1/21
-キャセイ航空 CX880 香港－米ロサンジェルス　1/21
-キャセイ航空 CX408 香港－台湾　1/21
-高速鉄道 G1031 咸寧－深圳北　1/23
-高速鉄道 G407 深圳北－香港　1/23
-中国南方航空 CZ3097 広州－台北　1/25
-ドラゴン航空 KA694 香港－海南省海口巿　1/27

【香港】１日、医療従事者の間で行われた投票で、中国本土からの旅客の全面禁止など５項目の要求を政府が受け入れなければストライキに突入する計画が圧倒的多数で可決された。

【フィリピン】１日、中国以外で初の新型コロナウィルスによる死者がフィリピンで確認された。

武漢から来た44歳の中国人男性で、国内で確認された二番目のケース。先月21日に武漢から香港経由でフィリピンに到着し、最初に感染が確認された38歳女性のパートナー。

またフィリピンでは中国本土と香港、マカオからの旅客の入国が禁じられる。これには同地域に滞在した外国人も含まれ、フィリピン国民は14日間の隔離が必要となる。

【マカオ】２日、８人目の新型肺炎感染が確認された。マカオ人の感染が発見されたのは初めて。

武漢渡航歴や感染者との接触はなかったが、1月10日から17日まで帯状疱疹で広東省珠海の病院で治療を受けた他、22日同じく広東省の中山三鄉市で生きた鶏を購入し、22日から23日同市に滞在したという。

27日から発熱と咳などの症状が現れ、30日と31日に現地マカオの鏡湖醫院に来院。今月1日、右腹部の痛みを訴え再び来院したところ、CT検査で肺に炎症のようなものが認められたため、救急車で山頂醫院に搬送され、新型コロナウィルスの陽性反応が出たため隔離された。

【台湾】台湾報道によると、近日中にも武漢に残された台湾人をチャーター便で帰宅させることが決まった。中国政府との交渉が難航すると見られていたが、現地の武漢台商協会によると、第三地を経由せず武漢から台湾への直行便だという。

2月2日現在武漢に残っている台湾人は476人で、うち新型肺炎の感染が確定した者が1人、疑いのある者が3名いることがわかっている。

【香港】2月から導入されたスピード検査キット

【香港】隔離施設の増設はいずれも近隣住民の猛反対にあい中々進まない。政府は、感染者と密接な接触があったなど観察の必要がある対象者を追跡できる「スマートブレスレット」の採用を検討。

【武漢】突貫工事で用意された臨時病院「火神山醫院」と「雷神山醫」。2003年SARS蔓延時に北京に作られた「小湯山」をモデルにしたという。

火神山は建築面積34000平方米、ベッド数1000で、2日晩から早速引き渡しに入る。雷神山は建築面積75000平方米、ベッド数は1500となる見込みで、5日晩に引き渡し翌6日に患者を受け入れる予定。

【深圳】香港と隣接する中国本土の深圳で、地域内の新型肺炎感染が３件発生した。いずれも湖北省への渡航歴はなく、一人は配達員だという。

【香港】これまでに新型肺炎感染が確定した14人のうち、７番目の68歳女性が2日危篤状態に陥り、また2番目の56歳男性と72歳男性も重症。

また13番目の39歳男性の母親にも初期検査で陽性反応が出た。確定すれば15人目となる。

【セブ】2日から中国本土と香港、マカオからの旅客の入国を禁じたフィリピンで、同日すでに出発していた香港発セブ行きのキャセイパシフィック航空CX921便が現地に到着した後、百名近い香港人搭乗客が機内に缶詰になる騒ぎとなった。

乗客の一人によると、同機が11時32分に現地到着するまで、入国禁止措置については知らされておらず、強制送還されるかどうかもわからないまま５時間以上待たされたという。

「謎の肺炎再び（11）」に続く