観劇報告書Selection⑥【劇団ゼロ(みずほ演劇祭2020)】

今回はみずほ演劇祭より劇団ゼロのアウト·オブ·オーダーという作品の報告書です。役者さんが飛んだり跳ねたり走ったりと、とにかく目まぐるしいって感じの演目でした笑。
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MO-RI-Y /正体不明なお客様 @0227MORIY

【これからこれ観ます!(ㆁωㆁ)】 ★アウト·オブ·オーダー(劇団ゼロ) 『アウトオブオーダー(Out-of-Order)は、プログラムに記述された命令の順番に関係なく、処理に必要なデータが揃った命令から実行する仕組みです。』(wikipediaより) #でもきっと中味はスキャンダラス #正体不明な観劇レポ pic.twitter.com/eSBtKVoGXN

2020-02-02 14:51:05
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額面通りだとそうなのですが、この場合は故障中の意味だそうです。順序を意味するORDERの外(OUT)だからこそ常軌を逸してる意味となり、想定外を表すってことだそうで。なーるほどねぇ…確かに。まさに想定外という言葉がピッタリの演目でしたねぇ。想定外すぎる展開に笑いすぎて観客が故障しそうになるという点で←。

前説が(舞台がイギリスということにちなんで)議会答弁という形になってます。「公演時間は3時間ですか?」という質問にキレてましたね、この方は笑笑。なお、実際には半分の1時間30分ほどでした。

ちなみにこの世界のイギリス議会では激論の末の混乱も少なくなかった様ですね。(←彼の主な役割はその混乱騒ぎを抑えることだった様です。力ずくなのか論破しちゃうのかはわかりませんけど…たぶん後者でしょう笑)

イギリスの副大臣を勤めるリチャードという男が妻であるパメラに議会(←議会が開かれてたのは夜)だと嘘を言ってすっぽかし大物政治家の秘書を勤めるジェーンという若い女性とあるホテルで密会するんだけど、その部屋の窓に死体らしき男が挟まっていたことから、このままでは警察が来る→このホテルに泊まってたことがバレる→妻への嘘がバレる→スキャンダルになる政治生命が終るヤベェwってんで証拠隠滅のために愛人のジェーンやら自分の秘書であるジョージ=ピグデンなんかを巻き込みつつ口裏合わせをして(部屋の異変を確認しに来た)支配人やらウェイターたちを煙に巻こうとするんだけど、訪ねて来た一人一人に言ってることが違うものだから、その言ってることに無理が出て結果的に本人の首を絞めることになっていったって内容です。

しかも窮地に追い込まれ、まさに絶体絶命のその最中、とどめを刺すかの様に招かれざる客人…それは自分の妻のパメラやら、秘書の母親の看護を担当してる看護婦のグラディスだったりするんですが、その人たちまで現れてしまったために話が矛盾の上に矛盾が重なり、ますますおかしな方向へ行っちゃうってことをコメディタッチで描いた作品です。レイ=クーニー作。

リチャード=ウィリー(演:篠塚将宏)
政治生命に関わるってんで他人のせいにしてもなんとかスキャンダルだけは避けたい、そこそこエラい若手の副大臣。冒頭からの表の気取ったやや上からの立ち振る舞いと本来のイタズラでも成功したかの様な子供っぽい性格とのギャップがなんとも笑えます。また事態がヤバくなるごとに顔を引きつらせてはワタワタと狼狽かますも、次の瞬間には冷静なフリして口先三寸で相手を丸めこんでしまう変り身の速さみたいなとこは、小ずるいヤツだなぁ〜って感じで結構苦笑いさせられましたね、転んでもただでは起きぬ、全くたくましい笑。

ジェーン=ワージントン(演:知床みさき)
大物政治家の秘書だからたぶんデキる女なんだけどどっかかんか悪いタイミングで現れてしまい、何回もゴタゴタに巻き込まれ、結果的に逃げ惑う格好になってる冒頭からの下着姿がいきなりセクシーだったリチャードの愛人。旦那のロニーの真意を知るや否やコロッと惚れ直すとこがノロケかよ!って感じで。なんか妙な脱力感を笑。思わずツッコミ入れたかったですね、今まで何だったんだよ!?みたいな。あと最後の別れ際、リチャードにキスをしてしまう所がなんとも見せつけてたもしくは災いだけ残していったという点で少し小悪魔入ってた?って印象でもありましたかね。思わずニヤリと。あん時リチャードの奥さんのパメラ嫉妬で睨んでたよぉたぶんね、笑。

ジョージ=ピグデン(演:伊藤久史)
成り行きでリチャードに呼び出されてこき使われた挙げ句、ジェーンとの偽装恋人の場面では嫌われるという全くロクな目に合わないリチャードの私設秘書。根暗で冴えない感じな上、マザコン。でも気づけば自らが女性にモテまくるというスキャンダル製造機と化してたんですよねぇ、なんでだよwまた唯一名前のジョージよりも名字のピグデンの方が妙に耳に残ったキャラでもありまして…。いやなに…名前の響きが怪獣だったかピグモンみたいなんでw (←そんだけかい)そういや、このキャラも当然、リチャード達と同じく時おり驚きの余り叫び声というかほぼ奇声を上げる訳ですがこっちはなんだか窒息しそうな勢いでしたねぇ、それこそ、この人死んじゃうんじゃないかと笑(←おい)

支配人(演:石井満)
ウェイター(演:馬渕零)
リチャード達の周りを取り巻いていた存在であり、いつしか間合いを詰めていたホテルの人々。城で言うなら外堀埋めて、次は内堀を…って印象のキャラ達ですかね?
ウェイターはリチャード達が嘘で塗り固めてることを知ってか知らずか相手の足もとを見るかの様にチップをやたらふんだくろうとするちょっとおバカ入ってる若いチャラい男って感じでした。わかりやすい。(←花嫁衣裳あれはなんと言って良いのやらw)

一方の支配人知らぬふりをしてるのか?ただ単に生真面目すぎるだけなのか?全く冗談が通じなさそうな割に現れるタイミングがこれまた変すぎる執事の様な年配キャラでしたね。とにかくこの二人は思わぬ伏兵って感じでしたね、まとわりつくかの様でめんどくさいって意味で笑。

ロニー=ワージントン(演:小川ジン)
愛妻家だけど粘着質にしか…というよりほぼどこぞのプロレスラーあたりにしか見えないけど見た目に反してやたら打たれ弱い…まんま美女と野獣やな、この構図。そういや、この人の職業ってなんなんだろかなぁ…?なにげに気になりました。

パメラ=ウィリー(演:渡辺紀子)
グラディス(演:杉原愛)
なんか知らんけどいやむしろ来てもらったらヤバいのにこういう時に限って突如現れてしまった2人。成り行きとはいえ男性秘書のジョージと時間差で2人が2人付き合うことにOKしてしまうという所がマジか!おい!?って感じで笑。そこはむしろセクハラあたりでビンタじゃないのぉ?って思ったんですが…もう、なんなん。特にパメラは1時間超の演劇作品を3時間以上のひと昔前の泥沼の昼の不倫ドラマあたりに塗り替えかねないくらいの勢いという印象で…もはや危険な香りしかしない笑。窓から誘う仕草も熟女系の色気みたいなのを感じさせて良かったですね。

(演:中野忠幸)
窓に挟まってた謎の死体…じゃないや…その正体はロニーの雇ったジェーンの浮気調査のための探偵でしたね、この人は。浮気調査の為にリチャードのホテルに窓から忍びこもうとしたら、上から落ちてきた窓に挟まってしまったんですね。すでに死んだとか思われているのでとにかく扱われ方が雑すぎ笑笑。果てはどっかの公園に邪魔だとか言って捨てられそうになってるしw なのに突然喋りだすものだから観ているこっちもビックリ!。劇中では浮気の証拠隠滅の一環として黒服に着替えさせられるのですが、こっちの方が探偵っぽい気がしなくも…いやむしろエージェントか笑。

以上、なお敬称と団体名は略してあります

あ、ちなみに話自体はエロ要素含めたハッピーエンドなんです。リチャード♥パメラ、ジョージ♥グラディス、ジェーン♥ロニーって感じで元鞘に収まるのですね。ただ最後の方はなんでそーなったのかほぼひっちゃかめっちゃかなんでサッパリわかってませんけど、そこはまぁええかって気分ですかね笑笑。大した問題ではないのでね。あ…そういやあの探偵って結局どーなったんだ?ポツンと最後一人取り残されていたけど記憶戻ったんかいな?

舞台装置、これは使い方がホラー映画っぽくて面白かったですね、前ぶれも無く突如ギロチンみたいに重たい音を立てて降りてきて閉まってしまう窓人が突然閉じ込められる格好になったり、見なかったことにしたい人達がなぜか殺されたかの様に服かけに吊るされて出てくるという意味ではなんだか開かずの間みたいなクローゼット、そして静寂の中、突然激しく何度もノックされるホテルの部屋の扉。考えようによってはまさに禁忌の空間ですな、こりゃ笑笑。

…という訳で浮気がバレるだのバレんだのドタバタなのかジタバタなのかよーわからんコメディーのお話でした。この演目とにかくなんでそこなのよ!?と思わず叫びたくなる場面が目白押しだった気がします。バットなタイミングで悪ノリやら天然ボケやら空気読めないやら悪あがきやらで。終始そんな感じなもんだからうわぁヤベェ!ってな場面がとかく多かった気がしました。ハラハラドキドキって言うんですかね? 具体的に言えばジェットコースターの急旋回、急降下に近いんでしょうかね?うわぁぁ!!死ぬぅぅぅ!!!みたいな笑。

最後までこんな調子なんで観ている側としてはなんだかスゲェ疲れましたなぁ笑。でも心地好い疲労感でした笑。

終わります。