小児のアトピー性皮膚炎の考え方について

小児のアトピー性皮膚炎治療とアレルギーマーチについてのまとめです。
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ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

今日は小児のアトピー性皮膚炎についてのお話をしていきたいと思います💡

2020-02-08 22:59:00
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アトピー性皮膚炎は日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎ガイドライン2018」では以下のように定義されています。 アトピー性皮膚炎は,増悪と軽快を繰り返す瘙痒の ある湿疹を主病変とする疾患であり,患者の多くは「ア トピー素因*」を持つ.

2020-02-08 23:02:55
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アトピー性皮膚炎の特徴としては ①搔破行動がある ②左右対称性の分布がある ③慢性反復性の経過である の3点が挙げられます。

2020-02-08 23:07:34
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皮膚のバリア機能が低下するとアレルゲンの侵入が容易となります。抗原が侵入すると様々な経路を経てIgE抗体が作られランゲルハンス細胞、マスト細胞に作用し様々な炎症性物質の放出を誘導します。これによって痒みが生じ、さらに皮膚を搔いてしまい病態は悪化していきます。 pic.twitter.com/AsdTt5ScFK

2020-02-08 23:16:27
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6カ月以上症状が継続するとアトピー性皮膚炎の診断の根拠となりますが、小児ではそんなに待てないため、2カ月程度で治療を検討します。

2020-02-08 23:17:28
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湿疹の分布は左右対称性であることが知られており、 乳児では 頭、顔から出現し広がっていくことが多くm 乳幼児では頸部から、成人では上半身から発生し、広がっていくことが一般的とされています。

2020-02-08 23:18:52
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小児におけるアトピー性皮膚炎の有病率は概ね10%程度であることがわかっています。 年齢が上がると共にアトピー性皮膚炎の方の割合は減っていきます。

2020-02-08 23:20:44
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近年、アレルギーマーチという考え方が提唱されています。 これはアレルギーの素因のある子供が成長するにつれて様々なアレルギー疾患にかかっていく様を喩えたものです。 pic.twitter.com/uRkpYLj7uh

2020-02-08 23:26:39
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アレルギーマーチは早期の介入で食い止められる可能性があることが近年わかってきました。

2020-02-08 23:29:36
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ヨーロッパでのPASTURE試験の結果です。1038人の子供を対象に行われたヨーロッパでの後ろ向き研究です。 早期にアトピー性皮膚炎や食物アレルギーがあると喘息やアレルギー性鼻炎のリスクが上がってしまうことがわかっています。 JAMA Pediatr. 2017 Jul; 171(7): 655–662. pic.twitter.com/w87TG9eR1D

2020-02-08 23:45:02
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PASTURE試験において、アトピー性皮膚炎の発生のパターンは4つに分類できることがわかった。 2歳までに症状が出現し、4歳以降は治る型 9.2%。早期に発症し持続する型6.5%、2歳までに発症し6歳まで症状が持続する型4.8%、2歳以降発症する型79.5% JAMA Pediatr. 2017 Jul; 171(7): 655–662. pic.twitter.com/wgB3RVqa3V

2020-02-08 23:51:40
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あくまで数字からの予想ですが、2歳までにアトピー性皮膚炎が出現した場合、3/4くらいは6歳までに症状がおさまるかもしれないですね。

2020-02-08 23:54:09
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アトピー性皮膚炎の親や兄弟を持つ新生児118人を保湿する郡と保湿しない郡に分けて比較した試験です。 新生児に対して生後32週間毎日保湿剤を塗布すると、乳児のアトピー性皮膚炎及び/湿疹のリスクが低下することがわかった。 J Allergy Clin Immunol. 2014 Oct;134(4):824-830.e6.

2020-02-09 00:01:38
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図を添付しておきます。 保湿をちゃんとしておくことで、アトピー発生のリスクが半分程度に下がっていますね。 J Allergy Clin Immunol. 2014 Oct;134(4):824-830.e6. pic.twitter.com/SZRdIdOzhX

2020-02-09 00:03:22
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断言するにはまだまだデータが不足していますが、アトピー性皮膚炎になることで、その後のアレルギー性疾患になる危険が上昇することがわかっている以上、親がアトピーであるような、ハイリスクの小児にはしっかりと保湿を早期から行うことで、将来のアレルギーマーチを防ぐことができるかもしれません

2020-02-09 00:04:56
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また、食物アレルギーについても近年色々なことがわかってきています。

2020-02-09 00:09:00
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茶のしずく石鹸を使用して、小麦アレルギーとなってしまった被害者が続出したという事件を覚えていらっしゃるでしょうか。

2020-02-09 00:11:32
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肌にアレルゲンとなりうる小麦を付着させ続けたことで、小麦アレルギーの誘発が起こったためだと考えられています。

2020-02-09 00:12:19
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二重アレルゲン曝露仮説というのが近年有力となってきています。 皮膚から侵入した抗原はアレルギーの原因となるが、口から摂取した抗原は免疫寛容につながるというものです。 pic.twitter.com/uNZ2UUxkdm

2020-02-09 00:16:51
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LEAP studyという調査です。ピーナッツアレルギーをモデルにした検討です。640人を無作為にピーナッツ早期摂取郡と回避郡にわけたところ、5歳の段階でのピーナッツアレルギー罹患率は摂取郡では1.9%、回避郡では13.7%であった。 N Engl J Med. 2015 February 26; 372(9): 803–813

2020-02-09 00:22:09
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

日本ではさほどピーナッツの消費は多くないのですが。西洋ではかなりメジャーな食品なのです。 これを卵や小麦に置き換えて考えても成り立つと思われます。

2020-02-09 00:24:52
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

まだまだ発展中の分野なので今後の研究が待たれますね。 この理論を利用した、花粉症の治療薬がシダキュア®︎、シダトレン®︎、などですね💡

2020-02-09 00:26:53
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

さて、早期のアトピーの治療及び予防が重要だというお話をしましたが、やはり有効なのが外用剤の適切な使用です。

2020-02-09 00:28:02
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

過去にまとめたのでよかったらご確認ください。 両手の平を塗る軟膏の量の目安は1FTU(0.5g)になります。 軟膏の口の大きさが5mmより狭い場合、少し量が不足することがあるので注意してください。 togetter.com/li/1390853

2020-02-09 00:29:56
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

アトピー治療の基本はしっかりと外用を適切に行うことです。ステロイドやタクロリムス軟膏を使用していくのが基本です。

2020-02-09 00:31:51