- inai_mirudake
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まず夢の表現。私は美しい悪夢が大好きなのですが、夢のシーンはすべてこれでした。無秩序にシーンが変わる感じ、足元がなくなったり揺らいだりする感じ、極彩色の世界、とても素晴らしい。
2020-02-13 23:08:07そして音です。遠いざわめき、子供の笑い声、耳鳴りのような高い音、デジタル機器の接触不良のようなジジ…という音、蝿が飛び回るような音、これらは夢のシーンの特徴であり、だんだん大きくなることで不気味さと切迫感を最大限に演出しています。
2020-02-13 23:10:56パレードの音楽は平沢進さんですが、これも素晴らしい。賑やかなパレードの音楽に合わせて意味のわからない明るいお囃子が歌われる様は、まさに美しい悪夢でした。
2020-02-13 23:12:36有名な発狂シーンのテンポもすごい。早い段階でこのシーンがくるため、所長の性格がわからず、眼鏡から極度に目を見開いて見えるため不気味な人物に思われます。理事長と真面目に話しているように思われて、実はワードサラダかウェルニッケ失語のように意味不明と気付くのが遅れます。
2020-02-13 23:16:41廊下を走り(この辺から『パレード』がなんとなく流れ出す)、高笑いしながら窓を割って飛び出し、そのまま狂気のパレードシーンに入ります。ここだけでもパプリカの人気がわかるテンポのよさ、狂気の表現のうまさです。
2020-02-13 23:19:11よく見ると、所長の部屋に入る直前に喋り声が遠くなり、監視カメラから見たような映像に変わっています。 またここでも高い音と雑音があり、ここで所長が夢を植え付けられたと思われます。
2020-02-13 23:21:02パプリカが氷室にダイブし、風景の綻びを見つけるところも素晴らしい。中は吹き流しなどがあるものの、暗く、狭く入り組んだ路地です。ここが特に夢という感じでとても好き。井戸に入るのはいかにも深層心理に潜るような感じですが、実際には氷室は文字通り抜け殻であり、木の根が張り詰めています。
2020-02-13 23:26:09木はその地に根を下ろし、動けないことをコンプレックスとする理事長の夢の象徴でしょう。おなじように氷室の部屋や標本室などから、オスが美しいモルフォ蝶は小山内の夢の象徴とわかります。
2020-02-13 23:28:05日本人形が何を指しているのかはよくわかりませんでした。様々なところに現れ、不気味な夢の象徴となっていますが、実際のところ意味はないのかもしれません。氷室の部屋にあった写真との関係も気になりますが…。
2020-02-13 23:30:10粉川は「大学の友達」(うろ覚え)という言葉から何かを思い出しそうになり、車の中でパニックになります。「17」にも拒絶反応を示し、そこから17歳のときの友達と映画を作っていたことを思い出します。
2020-02-13 23:34:55粉川の夢は誰かを追っている夢でした。これは「あいつ」と作っていた映画を暗に示していました。ホテルでの殺人現場がトラウマとなっているのは、未完の映画の最後に似ていると無意識に感じていたのでしょう。
2020-02-13 23:37:23粉川は夢に侵入した小山内を撃ち、またガラスの中に映る「あいつ」に「気にしなくていい」と言われ、無意識に苛まれていた後悔から救われたようです。 最初の夢のシーンからある「続きはどうするんだよ!」というどこか遠いような声は、「あいつ」がそう思って死んだのではないかという自責でした。
2020-02-13 23:41:11そうだ、パプリカについてもう一つ。 見過ごせないものがさりげなく、なんの予兆などもなく映ることがあり、それがとてもいい。 所長の発狂もごく自然な形で始まったし、粉川の夢にパレードが侵入することところも、最初は無音で特に注目されない。小山内が血塗れの手をガラスにつけるところも。
2020-02-14 21:35:54自分の写真の顔だけ切り抜かれて、それをロボットにネジで刺されて「HELP ME!」を持たされているのを見ても「マジかよ〜…」で終わる時田もいいキャラ。 「(違法行為が)氷室ほどじゃないや!」(「よ」に聞こえたが字幕をみると「や」らしい)にしても、古谷さんの無邪気なキャラは意外に合っている。
2020-02-15 18:59:56時田が「お前、氷室じゃないな!」と言ったときの日本人形、ガッと動くでもなく、ただ目の光がゆらりと動くのが不気味。 ただの人形だと思っていたものが生きている、と気づくような恐怖を感じます。
2020-02-16 10:03:28