茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第2463回「抽象的すぎてネタバレが一切ないけど、本質をズバリとついている映画『パラサイト』評」

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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート2463回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

2020-02-16 06:39:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

アカデミー作品賞に英語以外の作品で初めて輝いた韓国映画『パラサイト』、映画好きは絶対に観に行った方がいい。作品構成の巧みさ、密度、そして最後に残る人間的なものの感触が、文句をつけられないほど素晴らしく、間違いなく映画の歴史を変える傑作だと思う。

2020-02-16 06:40:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

『パラサイト』は韓国社会における格差の問題を背景にしていると言われているけれども、社会問題の批評や告発の映画ではない。ボンジュノ監督の言葉で、「あくまでも現代最高のエンタメをつくろうとしたら、格差の問題に行き着いた」という意味の発言があったけれども、それがこの映画の核心だと思う。

2020-02-16 06:42:12
茂木健一郎 @kenichiromogi

アカデミー賞脚本賞に輝いた『パラサイト』の脚本は、全く展開を読ませないすばらしいもので、しかもそれが重層的にたたみかけてくる。できるだけネタバレしないで観た方が、心の底から楽しめると思うので、中身についての知識なしに劇場にでかけた方が特だと思う。「えっ、こうなるのかよ!」の連続。

2020-02-16 06:45:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

『パラサイト』の映画としての素晴らしさの一つは、コミカルな展開と、静謐な詩情、どうなってしまうのかというサスペンスといった異なる映画的クオリアが一つの時間的絵画として配列されているところで、そのダイナミックレンジとしなやかさが観客を魅了する。シネマトグラフィーがとにかく卓越。

2020-02-16 06:46:37
茂木健一郎 @kenichiromogi

そして、何よりも良いのは、観終わった後の余韻クオリアの質の良さ。ラストシーンに至るシークエンスが、それまでのさまざまな伏線を回収して、結局は愛と再生、希望の物語になっている一方で、厳しい現実にも着地するというバランスになっている。

2020-02-16 06:47:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

映画芸術は国や地域を超えた普遍的なものだと思うけれども、韓国映画界がここに至って『パラサイト』という傑作を生み出して、それがアカデミー賞で最高の評価を得たことは素晴らしいことだと思うし、韓国映画界、そして韓国の方々に心からおめでとう、そしてありがとうと言いたいと思います。

2020-02-16 06:49:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート2463回「抽象的すぎてネタバレが一切ないけど、本質をズバリとついている映画『パラサイト』評」をテーマに、6つのツイートをお届けしました。

2020-02-16 06:50:18