110610 肥満の伝播について
「肥満の伝播」に関しては割と研究があって、必ずしも一貫した結果は得られてなかったような。…周囲の人間がデブだったり、いつも何か食ってたりすると、影響される気もするけど。この辺はteppeif7さんがお詳しそう。
2011-06-10 01:14:211. さて「肥満が伝播するか」という話ですが、マウスやラットレベルつまり人間的な高次機能を介さない生物学的なレベルで始めたいと思います。ちなみにちょっと専門ど真ん中から外れているので、ご指摘よろしく。あと原著を示したりそうでなかったり、ラフな感じで。
2011-06-10 08:32:062. 親マウス/ラットが高脂肪食を食べて、それが子供に伝わるか、は今の所まだ安定した見解は得れてません。とくに父親は去年Natureから論文がでましたが、特段デブにはならないそうです。ちょっとインスリンシステムが悪くなる程度。
2011-06-10 08:33:563. 母親マウス/ラットですが、授乳期やその前とか色々プロトコールがあります。現在当Divisionでその研究が目下進行中で前詳細は話せませんが、母親を高脂肪食で育てたりするとまぁ、色々あるようです。
2011-06-10 08:36:074. 一世代で遺伝子の配列が大きくかわったりしないのですが、Epigenetic、つまりDNAのメチル化などの修飾が遺伝子発現に非常に重要な事がわかっているのですが、高脂肪食なのか肥満なのかはわかりませんが、Epigeneticな修飾が変化している可能性が考えられますね。
2011-06-10 08:37:396. しかし人で肥満がこれほど爆発的に増えたのは遺伝的要素による貢献は極微塵であり(僕の感想ですが)、大部分は環境要因によるものです。つまり運動量の低下と高脂肪食(というかHigh-Fructose説が僕の中でしっくり)で、この論文の意義がでてきたりするわけだろうと思います。
2011-06-10 08:41:267. さて肥満が急減に増えてきてそろそろ40年。世代的には一世代、もしくは二世代がいい所でしょうが、親が太っていれば、子供は太っているのか?正解はその可能性は比較的高い、です。が一部を除いて生物学的要因はほとんどなさそうです。肥満になり易い要因として
2011-06-10 08:44:528. 1)低収入 2)低学歴がアメリカではかなり肥満と相関関係があります。低学歴は低収入に直結しやすいので、同じとみなします。低収入の家庭では安価な食品を購入しがちです。それらの食品はまぁ、はっきりいってカロリーだけ、栄養的なバランスは比較的悪いという食べ物が多いです。
2011-06-10 08:47:009. また低収入の人は自分で時間をコントロールできなかったり、仕事量が多かったり、運動する時間を割けない人も多いわけです。また教育が行き届いておらず、いかにそれらの食べ物や運動量の低下が体にわるか、十分な認識も無い事が多いかと思います。
2011-06-10 08:49:3310. 実際Food stampを得ている人は肥満が多いという論文がかなりあります。そのような家庭で育った子供が肥満になるのは容易に想像できると思います。また低収入の家庭で育つとこちらでは必然的に質の高い教育を受けにくいので、結局その子供も親と同じような環境になる可能性が高い。
2011-06-10 08:51:1311. とまぁ、これが見かけ上、肥満が遺伝しやすい原因だと思います。全ては貧困から来ているというなんとも悲しい事実。で、この論文を見ていきたいとおもいますのでしばしお時間を下さいませー(笑)今日はFinalなので明日になるかもです。
2011-06-10 08:52:5212. ちろっとIntroを読んだ所、肥満に関する論文というよりよりstereotype-conduciveというKeywordを持った行動学な論文なのでNewsは論文の趣旨をちょっと捉えて切れていないかも、という感想だけ述べておきます。
2011-06-10 08:55:1213. では続き。とりあえず論文(http://t.co/SnZMd5F)を読みました。生理学ではなく、心理学の分野なのでひさびに論文を読むの辛かったです。とりあえず実験データを見ていきます。膨大なTLになるのでblogで書いたほういいかもしれないけど乗りかかった船なので...
2011-06-11 04:48:4814. 実験1では太っている女の人の絵を見せた後では標準体重の女の人の絵を見せた後より飴ちゃんを多く(1.4個 v.s. 2.2個)とるようになる。実験2では同様に実際クッキーを多く食べる(1.9個 v.s 2.6個)
2011-06-11 04:51:3015. 実験3はおもしろく、写真を見せた(Priming)後に自分の健康目標 or 自分の州の形について書いてもらうと、さきほど観察された太った女の人の写真を見せるとクッキーを多く食べるという現象が自分の健康目標を書いた人では無くなるそうです。
2011-06-11 04:54:1016. 実験4,5はちと難解(僕には)だったのですが、端折ります(笑)が、おもしろかったのは、太ってかつ食べ物を食べている人の写真を太っていてかつ食べていない人の写真よりself controlが出来ていないと感じる傾向があるそうです。
2011-06-11 04:56:4217. さて、筆者らは太った人を見ると自分の健康目標が”緩く”なる事がわかったといっています。つまり、太った人(写真)を見る事により「まぁ、ちょっと太ってもいいか」と気が緩むらしいです。それが目標を明確化する事で過食を防げる事もおもしろいですね。
2011-06-11 05:00:0818. さてこの論文ですが、まず疑問におもったのが筆者らはnegative stereotypeとして肥満を選んでいるのですが、これはまず①人の文化全般のstereotypeでない②生物にとって肥満は基本的に喜ばしいものである。という二点です。
2011-06-11 05:02:05南太平洋では「肥満」は健康の象徴と考えられてますよね。RT @teppeif7 まず疑問におもったのが筆者らはnegative stereotypeとして肥満を選んでいるのですが、これはまず①人の文化全般のstereotypeでない②生物にとって肥満は基本的に喜ばしいものである。
2011-06-11 05:03:3919. 生物にとって肥満とは基本的にgood fertilityのサインでもあります。カロリー制限や絶食下になると排卵周期が止まったりおそくなったりするのはハエらへんから広く保存されている機構です。要はエネルギーがないときには生殖行動をしないという当たり前の機構です。
2011-06-11 05:05:0020. したがって肥満しているという事はいつでも生殖可能であるというサインであり、生物的には決してnegativeな事象ではないのです。この実験は写真を用いて実験をおこなっています。で、クレイジーな案ですが”過食の視覚的伝播”は人間だけでおこるのでしょうか?
2011-06-11 05:30:4621. たとえば同一種ががっつり食べていれば、その食べ物は安全であるというサインである可能性が高く、おなじように過食が起こっても不思議ではない気がします。それを拡大して肥満している仲間が近くにいるだけで、過食する機構が備わっている可能性もあります。まぁ蓋然性は低そうですが...。
2011-06-11 05:34:48