樋口靖洋さん初脚本演出作品「或る家族の物語」についての、ご自身の解説まとめ

樋口 靖洋 @yasu356

6番シード史上もっとも過酷で(笑)、もっとも盛り上がったイベントである #六番寄席 が終わった。 今回に関しては振り返りたいことが山ほどある。(笑) 僕の脚本のこと、タップのこと。 明日には久しぶりに自分的六番寄席振り返りをやりたい。 pic.twitter.com/E4e0uvjq66

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樋口 靖洋 @yasu356

或る家族ができるまで① 劇団ミーティング。2月にイベントをやることが決まり、松本さんがイベント内のお芝居パートの台本を｢樋口、お前書いてみるか」と軽いノリで頼まれる。参ったなあ。どうしよう。しかし・・、宇田川｢アタシ、2月忙しいからそんなに出れないよ。」椎名｢私も。」 ・・・・・え？

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或る家族ができるまで② なんすかそれ！宇田川さん、椎名そんなに出れないんすか！いきなり窮地に立たされる樋口(笑)。・・・・おや？そういえば瞬君と小沢さんって顔そっくりだな。 ・・・瞬君が年をとったら小沢さんになる・・。椎名が年をとったら宇田川さんになる・・、！こ、これだ！2人１役だ！ pic.twitter.com/SEHtTS3uGB

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或る家族ができるまで③ しかし問題はそれだけではない。コメディが書けん！(笑)どんだけ頑張っても松本作品の粗悪なコピーみたいになる。さてどうする？待てよ。イベント公演だからってコメディである必要があるのか？イベント公演だからこそ違うジャンルをやればいいんじゃないか？シリアスものだ！

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或る家族ができるまで④ シリアスとはいえどうする？今までみたことない話がいい。そうか僕にしか語れない話を書けばいい。実体験をベースにして。僕は母親を早くに亡くした。しかし母親の病状が進行していく中大嫌いだった父親と協力関係というか友情を結んでいったというエピソードがある。これだ。

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或る家族ができるまで⑤ 悲劇で終わるのはよくない。何か希望のあるラストが・・。母親がなくなって何十年後、中学生の僕に向けて書いた母親の手紙が見つかった。実話である。手紙を通じて久しぶりに母親の言葉を聞いた。泣いた。幸福感に満たされた。このエピソードを物語のラストにしよう。

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或る家族ができるまで⑥ 題名はどうする？ 手紙がオチになるから｢あなたへ」か｢手紙」だな、うん。いやいやいやいやいやいや。何かどっかで聞いたことのある題名だぞ。よくない。もうシンプルに｢或る家族の物語」にしよう。これで決まった。 pic.twitter.com/fQDrqr1chf

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或る家族ができるまで⑦ 僕の中学～30代になるエピソードに父親と母親の話を加える。そして父親と母親の役者が時間経過とともに交代する。これで宇田川さんと椎名の負担を減らせる。そして加齢による重みやせつなさも表現できる。 決まりだ！

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さて今度は或る家族の演出面について話していく。或る家族～は僕の実体験がベース。とはいえ台本を書くのならやはり僕の好きな映画ジャンルの要素も入れたい。実は今僕はホラーにハマっている。ホラーといってもスプラッター系ではなく、心理的に嫌な気持ちになるホラーである。 #六番寄席

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僕が或る家族～で参考にしたのは、ヘレディタリーと普通の人々。 普通の人々はホラー作品ではないが共通点がある。それは気づいた時には手遅れな問題が発生し、その問題がさらに悲劇につながる。主人公達はただ時間が経過するのを待つしかない・・というものである。 #六番寄席 pic.twitter.com/7kR4toAjIk

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或る家族の実質的な主役は土屋さんである。しかしもう一人主役がいる。それは時間である。 これは僕の好きな映画、｢日本の一番長い日」からの引用。三船敏郎さんなどすごい俳優が出る映画だが、この作品も経過する時間が主役。 #六番寄席 pic.twitter.com/3Ld8dmN3j2

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或る家族～において、時間が主役であることを表現したい。 そこである劇団さんの演出を参考にした。それは日常を描いた話なのだが、必ずシーンの終わりに不可解な音が聞こえてきて、最初お客さんには音の正体がわからない。しかし終盤になると音の正体がなんなのかわかる、というもの。 #六番寄席

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僕もシーンの終わりに時計の音が聞こえるという演出をつけた。最初は何で時計の音がしているかはわからない。しかし時計の音の正体は母親の○○だったというオチ。しかし母親が退場したあとも時間は進む。時計の音は秒針の音を希望した。 追いたてるような音である。 #六番寄席

樋口 靖洋 @yasu356

最初は悲劇的なオチにするつもりだったが手紙のラストを加えることによって爽やかな印象のラストになったと思う。 やはり直接的に悲劇的なラストにするだけではつまらない。 #六番寄席

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さて次はキャスティングの話をしたいと思う。｢或る家族～」においてはもうひとつ裏テーマがある。それは劇団員を｢いつものように」使わないこと。せっかくだから普段やらない役にキャスティングしてみた。 #六番寄席

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①椎名氏を前半で退場させる。 椎名氏といえば最初から最後までずっーといるのが定番。しかし今回は裏をかいて出番をあえて減らした。 本人が忙しかったのもあるが(笑)。 しかし母親30代の明るい雰囲気を表現してくれた。 #六番寄席 pic.twitter.com/OCSruC2YKs

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②宇田川さんを亡くなる役にキャスティング。 これも本人が忙しかったのもあるが、宇田川さんを母さんの病弱になって亡くなるまでの役にキャスティング。正直宇田川さんに怒られるかも、とひやひやしていた。(笑)しかしMVPを与えるなら彼女である。短い稽古期間でよくここまで仕上げたなあ。 #六番寄席 pic.twitter.com/MTr2i4riho

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③瞬君を土屋さんの父親としてキャスティング。 先輩後輩の立場が逆だが瞬君が土屋さんを説教している画は面白いなあ、と思ってキャスティングした。そして瞬君と土屋さんは友達のような間柄。今回僕が描きたい息子と父親が友情を結ぶシーンにハマるんじゃないかと思った。ハマった。 #六番寄席 pic.twitter.com/8de3GdI5E4

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④小沢さんをコメディリリーフとして使わない。 父親50代としてキャスティング。 瞬君と小沢さんの顔が似ているネタを笑いじゃない方面で使おうと思った。小沢さんが終盤出てくることによって、年齢を重ねたことによる一種のさびしさ、せつなさも出たと思う。 #六番寄席 pic.twitter.com/TIPyposWyH

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⑤土屋さんを台詞の少ない役に 実質的主役である土屋さん。土屋さんは舞台上で膨大な台詞をしゃべるイメージがあるが、今回はその逆を。僕と同い年だから僕の分身である役にキャスティングした。中学～30代までを演じ分けていただいた。 必ず同じタイミングで泣く技術が素晴らしかった。 #六番寄席 pic.twitter.com/EPGauBWy3q

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樋口 靖洋 @yasu356

図師さんと宮島さんについて わずかだが、母さんの弟夫婦を演じてもらった。コメディ的役割。実は裏設定があり、事前に自分の姉(母さん)の寿命がわずかということを知っている。 その上でともゆき達をもてなす。 図師さんと宮島さんがみつめあう表情にそのせつなさを表現していただいた。 #六番寄席 pic.twitter.com/HannogRPJh

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松本さんについて 今回多少なりとも演出の立場を経験してみてわかったことがある。演出家は孤独な職業だ。 そして自分の書いた台本に愛情を持つようになる。(笑)役者さんがセリフを台本と違う感じに言ってしまうと、松本さんがイラっとする気持ちが少しわかった。大変ですね松本さん。 #六番寄席 pic.twitter.com/gtHQVVsv0M

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松本陽一 @tomg6

こんなもんじゃねえぞ、樋口先生笑 twitter.com/yasu356/status…