茂木健一郎(@kenichiromogi）さんの連続ツイート第2474回「ネット上にあふれるクソリブは、できそこないの人工知能が生み出したランダムな文字列だと思っていればいい。なぜならそこには身体性がないから」

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート２４７４回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

茂木健一郎 @kenichiromogi

#KuToo　の石川優実さん @ishikawa_yumi　は、一度Tokyo FMの番組「ドリームハート」に来ていただいたけれども、とても理知的で思慮深い方で、世界的に注目する運動を始められただけのことはあるなあと感じた。その石川さんに、さまざまな誹謗、中傷が寄せられ続けているということで、心が痛む。

茂木健一郎 @kenichiromogi

石川さんはそのご著書『#KuToo(クートゥー): 靴から考える本気のフェミニズム 』の中で、寄せられた「クソリプ」を著作権上問題ないかたちで引用されているが、その分析、分類がおもしろく、要するに集合の包含関係とか論理が崩壊している認知的失敗（cognitive failure）の見本市みたいになっている。

茂木健一郎 @kenichiromogi

ネット上では、文章が読めないとか、集合的包含関係が理解できないとか、論理的な関係が把握できないとか、自分で勝手に類推しているとか、そのような認知的失敗に基づくツイート、さらにそれにネガティヴな感情が加わった「クソリプ」があふれている。悲しいことだが、人間の等身大の姿なのだろう。

茂木健一郎 @kenichiromogi

石川さんが偉いのは、「クソリプ」の一つひとつに対応していること。ぼくは一切無視、スルーする。「トロールに餌を与えるな」（Don't feed the trolls）の一般原則で反応するとその卑劣者に報酬を与えることになるということもあるが、もうひとつ、ネット上のクソリプは単なる文字列だと思からだ。

茂木健一郎 @kenichiromogi

クソリプの背後に人間がいて、「志向性」（intentionality）があると思うから腹が立ったり傷ついたりするが、要するにできそこないのAI、botが生み出したランダムな文字列だ、くらいに思っていればいい。というのも、ネット上の文字列には、志向性をもたせる上で不可欠な「身体性」が欠けているからだ

茂木健一郎 @kenichiromogi

想像してほしい。たとえば、石川さんの講演会の質疑応答で、石川さんに寄せられているクソリプのような文字列をその場で立ち上がって喋っている人がいたら、その人はかなりヘンな人で、みんなドン引きして、周囲から離れていくだろう。現実の空間は身体性があるから、あまりへんなことは言えない。

茂木健一郎 @kenichiromogi

実際、ネット上で執拗に愚かでネジ曲がったことを書いている人は、現実空間に身体性を伴って降臨することはまずない。現実空間ではむしろおとなしい人が多いわけで、ネット上のクソリプは、その人の身体性から乖離した、別人格としての、「できそこないの人工知能」でしかないのである。

茂木健一郎 @kenichiromogi

以上の理由で、私は、ネット上で見るおろかで偏見に満ちたテクストは、単に身体性から離れたできそこないの文字列だとしか考えていない。匿名性の後ろに隠れている以上はなおさらである。石川さんがいちいち対応されていることは素晴らしいと思うけれども、ぼくの考え方は以上に述べた通りである。

茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート２４７４回、「ネット上にあふれるクソリブは、できそこないの人工知能が生み出したランダムな文字列だと思っていればいい。なぜならそこには身体性がないから」をテーマに８つのツイートをお届けしました。