- rio11ruiagent
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窓の外の花が西日の影になっていると思われた頬の斑紋は、日が落ちランプを灯す頃に家具の影に様変わりし、要するに彼女の右頬にはキリンのような痣があった。それは島模様ではなくて、逆にその隙間が、サバンナに張り巡らされ脈々と這う河のように見えた。ようこそアフリカ。渇いて豊かなる大地の人。
2020-02-27 14:33:20twitter.com/rio11ruiagent/… #140字小説 恋ではなく ロングバージョン pic.twitter.com/8wCATr01XH
2020-02-27 11:45:27昼間僕の健康の残りを計りに彼女が部屋へ来て、真っ白な僕のシーツに一本の髪の毛を落として帰った。それは寒いくらいに異質だった。薬品と消毒と死の臭いを張り巡らせた僕のサンクチュアリを侵す、健康から採れた一本の死体。彼女と僕を決定的に隔てる抜け毛。おぞましい、じゃあまたねという約束。
2020-02-27 00:58:05靴を片びっこに履いてきたことでも、ニット帽からはみ出る髪を全部切ったことでも、パジャマの裾がズボンにしまわれていることでもない。彼女の内部が変質しているのがわかったのは彼女が笑ったからだった。調子を合わせるべき点を見失い、痛覚が麻痺していくのを感じながら、僕はその笑顔を眺めた。
2020-02-26 23:40:49ある島の猫には6本の指がある。足が大きいのもいる。きっと逃げ足は遅いだろうけど追いかけるようなものもいない。試しにじりじりと追い詰めるとゆっくり距離をとり、ぎりぎりで低い塀に駆け上った。ゴムの先に玉のついたおもちゃで煽ると空中を泳ぐ玉を片手でキャッチし、両手でおさえドリブルする。
2020-02-26 18:25:26#おやすみなさいを詩的に言ってみる ある死が訪れる。まだ死にたくないと思う。しかし死なねば死ぬ。明日生きるために今一旦この死を受け入れよう。
2020-02-26 17:34:48ビリケツだったマラソン大会のことは話したくなかった。恥じているんじゃない。誰かに笑われても笑っていられるが、当時の心境を語るつもりはなかった。誰かがビリにならなければいけないという理屈は大勢の子供を納得させるに充分な響きを含んでいた。あの頃、できるならビリになどなりたくなかった。
2020-02-26 01:13:43着替える彼女を見ていた。同じ行為を逆再生しているだけなのに脱ぐのと着るのでは印象が違うのがおもしろい。どことなく男らしい、ストッキングを上げる仕草が一番好きだ。少しづつ上へ上げて潔い最後。録画して食事中の団欒に流したい。トイレットペーパーの、水に頼った使い方も気に入っている。
2020-02-26 00:14:18同じ星空を見ているなんて嘘だ。満天の星空も位置によって曇って見えないかもしれない。僕にはいつもそんな不安があった。今日、今現在ご機嫌なのは誰。その遠いどこか、雲の境の誰かはきっと泣いてる。僕は口に入った涙のしょっぱさを感じながらオリオン座を見た。夜空はこんなにはっきり晴れている。
2020-02-25 23:22:12ええ、ええ。 皆さん私を吸い込むと排出作業に明け暮れますね。勝手に吸い込んでおいて、実に身勝手だ。というのも実際のところ我々が中からこの自慢の鼻でこそばそうな所をつんつんするのですがね。何故そんなことをするかって?さぁねぇ。遺伝子レベルというのじゃないですか? #呟怖 twitter.com/kusiyakibibinb…
2020-02-25 22:49:31奥さんに誘われるままお宅にお邪魔すると、成り行きで何か振る舞われることになった。奥さんは私をダイニングに通しキッチンへと消える。レリーフの花が施された置時計が秒を刻む音だけが響くリビングダイニングで金縛りにあう。奥さんが蛆の湧いた李を皿にのせ戻る。鷲掴んだ李を口に押し付けてくる。
2020-02-25 22:39:03まただ。最近風に乗って何かが飛んでくる。おもてを歩くと顔になにか当たる。触っても手応えがなくもちろん見えない。同居人が置いていったタモがあったことを思い出し納屋を漁る。タモはまだ新品のはず。ひっぱり出したタモを広げると桜の花びらが一枚張りついていた。 たぶんあれは春かもしれない。
2020-02-25 22:15:23