乙武洋匡(h_ototake)さんの「教育とは強制することだろうか?」

乙武さんが橋下・大阪府知事のツイートを見て、考えたことをツイートされています。
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橋下徹 @hashimoto_lo

人間の本能のままに生きられる人はごく一握りの才能ある特殊人間。普通の人は、本能と正反対のプレッシャーの中でストレスを感じながら生きていかざるを得ない。このストレスに耐えられるようにするのが教育。

2011-06-12 13:49:29
乙武洋匡 @h_ototake

1.いま公式RTした橋下府知事の意見、じつは僕が教員時代に最も頭を悩ませた問題でもあった。僕は、子どもたちに自由に発言させ、自由に考え、人と違うことを良しとする教育をしていたけれど、それって僕のエゴなのではないだろうか。はたして、いまの社会はそのようにできているだろうか、って。

2011-06-12 13:54:12
乙武洋匡 @h_ototake

2.たしかに橋下府知事が言うように、社会で思うように振る舞える人間はほんのひと握り。多くの人は、誰かの指示を受けたり、誰かの顔色をうかがいながら生きていくことになる。そんな社会に「個性を大切に」と育てた人間を送りだすことは、僕のエゴなのか。結果的に彼らを苦しめることになるのか。

2011-06-12 13:58:01
乙武洋匡 @h_ototake

3.いまの社会に適合する人材を送り出すことを「教育」と呼ぶのなら、たしかに橋下府知事の言うように教育とは強制であるべきなのかもしれない。でも、やっぱり、僕はそう思えなかった。何かを強いることで人を育てるという手法が、僕にはできなかった。それがキレイごとであり、バカと言われても。

2011-06-12 14:05:10
乙武洋匡 @h_ototake

4.不登校の子が口にした言葉。「学校には、やらなければいけないこと、やってはいけないことの2つしかない」――じつは、教員も同じだった。「やらなければいけないこと」と「やってはいけないこと」。どちらも、強制。すごく、苦しかった。きっと、子どもたちも苦しいだろうなあと、強く感じた。

2011-06-12 14:09:24
乙武洋匡 @h_ototake

5.社会とはそうした苦しいものなのだから、子どもの頃から管理・強制し、そのなかで生きていける人間を育てるべきという考え方もあるだろう。でも、僕にはできなかった。そんな息苦しい社会を「是」と思えない自分がいたから。子どもを、社会における交換可能な歯車として育てることができなかった。

2011-06-12 14:19:29
乙武洋匡 @h_ototake

6.一人ひとりが自分らしさを大切に生きていける社会。これが僕の理想。だけど、いまの社会はそうなってはいない。僕は、はたして教育者として、「是」と思えない現代社会に適合する人間を育てていくべきなのか、あくまで僕の理想に基づき、個性を重んじた教育をしていくべきなのか。本当に悩んだ。

2011-06-12 14:35:10
乙武洋匡 @h_ototake

7.正解は、ないと思ってる。どちらの手法も、子どものことを思ってのこと。だからこそ、子どもにはどちらの先生にも教わってほしい。「あ、こんな考え方の先生もいるんだ。前の先生と違うな」って。いい意味で“混乱”してほしい。そうすることで、自分で判断する力が養われていくと思うから。

2011-06-12 14:52:37
乙武洋匡 @h_ototake

8.だから、教育界には様々な価値観を持った人間がいてほしい。橋下式もアリ。乙武式もアリ。僕が『だいじょうぶ3組』のなかで、赤尾、白石、青柳など、教員の名字すべてに色を入れたのも、そんな思いから。まずは、教員が色とりどりの存在であるべき。教員だって、「みんなちがって、みんないい」。

2011-06-12 15:00:08
乙武洋匡 @h_ototake

9.連投失礼しました。みなさんの感想が、続々と寄せられています。これだけ多くの方が教育に関心を持ち、子どもの育ちに興味を持ってくださっていることが、何よりうれしい。僕のつぶやきが、みなさんが社会や教育についての考えを深めるきっかけとなれば幸いです。

2011-06-12 15:03:51