ウジコ様は告げる 1章 ロスとロフィット

※現在、更新中です。
0
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章あらすじ★1  ある夜のある商店街のゴミ捨て場で、一人の青年が目を覚ます。目覚めた時、彼は記憶を失ってしまっていた。ネオンの光に誘われて表に出ると、人々が彼をウジコ様と呼び、祀り上げ始めた。

2020-02-21 06:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章あらすじ★2  混乱する彼のもとに、ディアーリと名乗る少女が現れる。彼女は、ウジコ様として祭りを担う彼を補佐する人間だと告げ、今年も青年にウジコ様の任を全うするように伝えるのだった。記憶を失った彼は苦戦しながらもウジコ様の仕事に挑むのであった。

2020-02-21 12:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章登場人物 ウジコ様……ゴミ捨て場で寝ていた青年。記憶を失っている。 ディアーリ……ウジコ様の補佐長 ロス……祭りに出ている少年。腕白。 ロフィット……祭りに出ている少年。大人しめ。

2020-02-21 18:00:01
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★0 1章 ロスとロフィット

2020-02-22 00:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★1  ――気が付くと僕は糸が切れた人形のように、何かに凭れて眠っていた。

2020-02-22 06:00:01
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★2  目覚めのすぐという事もあり暫く目の焦点が定まらず、口を半開きに開いたまま放心状態でいたが、何気なく空を見上げれば張り巡らされた電線と瞬く星々と満月を仰ぎ見た。時間は夜中を回っているようだった。

2020-02-22 12:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★3  次第に頭が覚醒していき、今現在何が起こっているのか気になりだしてくる。手触りを手掛かりに何に凭れていたのかを確認した。肌に引っ付く奇妙な感触――バサバサと耳を劈く、明らかに自然物が奏でないこの音――どうやら凭れていたのはビニール袋のようだった。

2020-02-22 18:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★4  そうこうしてる間に次第に夜目に慣れてきて。黒いビニール袋に【粗大ゴミ】と書かれているのが辛うじて読むことが出来た。目視できたのはそれだけではない。狭堆く積み上がる黒いビニール袋に、一面のゴミの山――どうやら僕は情けない事にゴミ捨場で眠っていたらしい。

2020-02-23 00:00:01
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★5 「……ここはゴミ捨て場みたいだな。にしても、なんで僕はこんな所で眠ってるんだろ」  何故こんな所で眠っているのか、その経緯は記憶からすっぽりと抜け落ちていた。しかし、起きたとなればこの汚れた場所に長居は無用だ。

2020-02-23 06:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★6  ふと横を見れば蛍光灯の明かりが寂しく光っており、表への道を示している。よたよたとした足取りで誘蛾のごとく明かりを目指して向かっていく。状況判断は出来るようになったものの、いまだに頭がスッキリしなかった。それどころか脳髄の奥がズキズキと痛む。

2020-02-23 12:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★7 「にしても、ここは何処のゴミ捨て場だったんだろう? 少しも記憶にないぞ……」  そう口に出してみても、誰一人返答してくれる人はいない。完全に独り言だった。少し寂しく思いながら表に出てみると、世界は金色の彩光に照らされていた。

2020-02-23 18:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★8  蛍光灯とは比べ物にならない明るさに、夜目に慣れていた僕の目は眩んでしまっていた。二、三度瞬きをしてじわじわと目を慣らす。そして改めてこの眩い世界を端々から眺め、僕は思わず声を漏らしていた。 「わあ……」

2020-02-24 00:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★9  目の当たりにした光景は華やかなムードに覆われた不思議な通りだった。アーケードのネオンは煌々と輝いて存在感を主張している。行き交う人々によって雑多に賑わっていて、不思議な昂揚感に包まれていた。

2020-02-24 06:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★10  ストリートの左右にはいくつもの店が並んでおり、店員は買い物客との朗らかな会話を楽しんでいた。よく見るといくつか屋台も出されており、そこでは壮絶な客引き合戦が行われていた。

2020-02-24 12:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★11  道行く子ども達は色とりどりの法被を着ており、片手にリンゴ飴を持って友達同士と笑顔で練り歩いていた。今しがた眠っていた寂れたゴミ捨て場とは対極の様子を成していた。

2020-02-24 18:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★12  アーケードに立ち並ぶ店の数々――この場所を一般的に何と呼ぶか。ボケた状態の僕でも流石に知っていた。 「商店街のゴミ捨て場で、僕は眠っていたのか……」

2020-02-25 00:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★13  随分と賑やかな商店街だ。察してみるに、大規模な催し物が行われているのだろう。ふと疑問を抱いてゴミ捨て場を振り返る。ゴミ捨て場の出口は今来たこの道しかない。つまり僕は祭りの最中か設営中にこの道を通ってゴミ捨て場に行った事になる。

2020-02-25 06:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★14  まさか設営中よりも前に眠りこけていたなんて事はないと信じたかった。 「もしかして僕は、お酒に酔ってゴミ捨て場に移動したのか……?」  だとしたらこの上なくカッコ悪い話だった。

2020-02-25 12:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★15  酔いが回ってゴミ捨て場で熟睡し、前後不覚に陥るなど、人に知られれば暫く笑い話の種になるだろう。誰も僕がゴミ捨て場に行く場面を見てませんように――そう願うしかなかった。

2020-02-25 18:00:01
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★16  それにしても。ネオンの光だけではなく、この商店街の色々なモノが何と眩しい事か。子ども達が元気にはしゃいでいる様子や買い物客と店員の双方満足そうな表情を見ると、何故か僕もつられて少し嬉しくなる。ゴミ捨て場で寝ている場合ではなかったのだ。

2020-02-26 00:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★17  このまま裏通りと表通りの境目に突っ立っていて、ただぼーっと眺めているのもつまらない。祭り好きな僕も参加しようと思って一歩表通りに足を踏み入れた時、何者かの大声がアーケード内に響き渡った。

2020-02-26 06:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★18 「おお! これはこれは! 今年もウジコ様が参られたぞー!!」

2020-02-26 12:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★19  "ウジコ様"? それは一体誰の事だろうか。よくは知らないが人々が歓声を上げている所を見るとこの祭りの重要人物のようだ。それならばちょっと見て見たい気がするな――そんなヤジウマ精神全開の僕だったが、直後に冷や水を掛けられたような気分に陥る事になる。

2020-02-26 18:00:00
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★20 「……え?」  先ほどまで自分達の世界を楽しんでいた人々が、いきなりこちらに視線を向け、詰め寄ってきたからだ。 「ウジコ様だ! ウジコ様が参られたぞ!」 「わーい! ウジコ様だー!」

2020-02-27 00:00:01
_ @radarada_post

【ウジコ様は告げる】1章★21 「貴方がいないと祭りが始まらないんでっせ! それにしてもよく来てくれたよ、嬉しいよ! 今宵は楽しんでいってください!」 「ウジコ様ー! 俺だー! 言葉を掛けてくれー!」 「わっ、わっ! ちょ、ちょっと、押さないで……!」

2020-02-27 06:00:00
1 ・・ 7 次へ