ボッカッチョ『デカメロン』(平川訳、上中下巻合本Kindle版)読書メモ(2020年3月7日〜3月14日)
平川訳のボッカッチョ『デカメロン』上中下巻の合本がKindleで買えるのでポチった。これまでは批評で引用されているところをつまみ食いしてきたから、この際全部読もうと思う。
2020-03-07 11:04:43平川訳(注も「らしさ」がある!)の『デカメロン』2日目。1日目からエロとダメ坊主が大活躍。そういえばアウエルバッハの「修道士アルベルト」分析、エロティシズムの表現という点から考えては見なかったな。
2020-03-08 07:23:25なお、『デカメロン』の面白さを早わかりしたい方は、例えば「デカメロンの楽しみ方」でググってください。「第333回 イタリア研究会 2008-01-20 デカメロンの楽しみ方 報告者:国立音楽大学講師 京藤好男」という記事です。
2020-03-08 07:24:30英文学的にはチョーサー『カンタベリー物語』を読むべきということだろうなあ。OUPの近代英語版が本棚にあっただろうか。 twitter.com/call_of_histor…
2020-03-08 08:09:45疫病が流行した後も頑なに労働環境を改善しなかったどころか逆行させた十四世紀のイングランドさんに何が起きたかの話、以前書きました・・・ 「ワット・タイラーの乱(1381年)」は何故起こったのか? call-of-history.com/archives/20645 twitter.com/kitoen2173/sta…
2020-03-07 06:05:36平川先生の注も「調子に乗った」長い物であるなあ。(抜粋)「第二日第七話の執筆の最大の動機は、連鎖状につながり発展してゆく猥談的な語りの面白さに惹かれて、調子に乗った著者が次々と語りつ書いたということであろう。四年間に八人の男と一万回などという数字もそのお笑いの総決算であろう。」
2020-03-08 09:24:27困った時にはロンドンに逃げるというパターンがあるな。2日目3話の時は、おおそうなのか思っていたが、2日目8話もそうだった。まあイタリアからイングランドは遠いものなあ。
2020-03-08 09:41:033日目まえがき。新たな庭園についた一行の過ごし方で「ここに居残って中世の物語を読んだり」という記述があるが、14世紀から見た「中世」っていつのことだろう?これは原典と注釈を読みたいところ。なお、平川先生は注釈をつけていない。
2020-03-08 10:46:393日目1話注1。「D・H・ロレンスのBoccaccio Storyと題された油絵(一九二六)はこの場面に基いている。Cf. Keith Sagar, D. H. Lawrence's Paintings(London; Chaucer Press, 2003)p. 32.」あとでググってみよう。
2020-03-08 11:07:223日目3話注6。「井原西鶴『好色盛衰記』巻五「後家にかゝつて仕合大臣」は美しい後家が、容子のいい男に惚れて、寺の住職を利用して逢引をする。東西すこぶる似た結構の話が書かれている。詳しくは「解説」(下巻)の第七章「ボッカッチョと西鶴」の節を参照。」
2020-03-08 11:34:293日目3話注5。「性的至福にまつわる主への祈りについては「解説」(中巻)第三章の「『デカメロン』中の特筆すべき異議申し立て」の節を参照。」これは大事そうだから、読むのを楽しみにしょよう。
2020-03-08 11:40:263日目7話注2。「になった」はusare la dimestichezzaの訳である。(中略)D・H・ロレンスは戦傷で不能となった夫が妻コニーに世嗣を儲けさせようと思い、男と関係することをそれとなくすすめる。そのときJust use itというが、それと同じ語源のusareなのである。」ロレンスとの比較。
2020-03-08 19:12:114日目まえがき。ボッカッチョ先生語る。「それにいうまでもないが、女性たちは私に幾千の詩行を書かせる原動力となりました。それに対し詩の女神たちは私に詩を書かせるだけの原動力とはなりませんでした。」
2020-03-09 08:36:354日目まえがき注8。「タブーに楯突くボッカッチョは、D・H・ロレンスの先駆者の一人とみなすこともできよう。」
2020-03-09 08:43:474日目1話。身分の低いグイスカルドとの逢瀬がバレたギスムンド、父親のタンクレーディ公に抗弁する。「ギスムンダは父に向かって言った、 「タンクレーディ(*5)、わたくしは否定も懇願もするつもりはありません。」父に対してこう呼びかける娘って、他に例があったっけ?(注も付いている。)
2020-03-09 09:01:024日目2話。偶然アルベルトを匿った家の主人、彼が逃げる手引きをするが、同時に「主人はリアルトに人をやって「天使ガブリエルを見たい人はサン・マルコ広場に行くように」とおふれを告げてまわらせた。ヴェネツィア流の信義というのは、ま、こんなものさ。」ここは原語で読みたいな。
2020-03-09 09:40:374日目9話はグロ。「グイリエルモ・ロッシリオーネ殿はなに食わぬ顔をしてグイリエルモ・グワルダスターニョ殿の心臓を料理させ、妻に食事に出す。夫は妻が愛しているグワルダスターニョを実は殺したのである。」
2020-03-09 15:10:025日目1話。チモーネたちに新婦を奪われた殺害されたパジムンダとオルミズダ、ただただ悲惨。作者のフォローもなし。「愚かとされたチモーネは恋したことで人間が賢くなる」のが主題だから、その他の登場人物の扱いはこうなる(こともある)。
2020-03-09 15:58:555日目2話注2。「ボッカッチョの『デカメロン』には地中海世界におけるキリスト教徒とイスラム教徒の対立抗争も多く描かれているが、それとともに両者のさまざまな交渉や平和共存もまた少なからず描かれている。ボッカッチョの視野はキリスト教世界に限定されていないところが貴重な特色である。」
2020-03-09 16:16:51第5日第4話。「リッチャルド・マナルディはリーツィオ・ディ・ヴァルボーナ氏の娘と一緒にいるところを見つけられてしまう。その娘と結婚し、その父親とも良好な関係を保つ」という、ちょっと前のマジなグロ話とえらく違う、フツウの話。一箇所ちょっとここには書けないエロ表現がある。
2020-03-10 07:42:17第5日第6話。女を寝取られた王は二人を斬殺しようとする「が裸のままの男女が寝ているところを殺すのは人間としていかにも卑怯千万である、ましてや国王たるべきもののすべきことではない、とさすがにそれは思いとどまった。それで公開の場で火焙りの刑に処そうと考え直し」とある。そういうものか。
2020-03-10 08:09:47第5日第7話。「娘は自然の理法に逆らって種々の法を用いて流産しようと試みたが、いずれも効を奏さなかったからである。」流産の話題はこれが最初(?)。
2020-03-10 08:23:20