ダークナイト三部作の格闘シーン=「殺陣」を他のアメコミ映画と比較!果たしてその出来栄えは?

否定意見が多いイメージのあるクリストファー・ノーラン監督のダークナイト三部作の格闘描写について語りました。
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惣流・ドルフ・ラングレン弐号機 @YZNlfuMP8Vbaaoj

久々に『ダークナイト ライジング』でのVSベイン戦の格闘をジックリ観てみたが、やはり何度見ても中の下ぐらいの出来だなぁと再確認した。 動作設計や役者の動きは悪くないのだが、其の最大の欠点は両者の掛け合いから発するテンポ感の悪さにある。 pic.twitter.com/eqg69t3y08

2020-03-13 15:35:16
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この動作設計の特徴は攻撃を仕掛ける際に、どちらとも妙な間隔でワンテンポ間を空ける事だ。 コレは前作『ダークナイト』からも見られた停滞感である。 pic.twitter.com/nFLJMD0ZFU

2020-03-13 15:39:44
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バットマンが扱い『バットマン ビギンズ』から採用された「キーシ・ファイティング・メソッド」という近接格闘術は多人数戦を想定し相手の急所を的確に攻めていく、素早い立回りが売りの実践スタイルな技だ 『アウトロー』では見事に再現されてたが、ダークナイトシリーズでは其の特性が殆ど死んでいる pic.twitter.com/hDsAYJUg1r

2020-03-13 17:40:34
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それに加えてダメージを受けた際の反動モーションがどれもイマイチ地味だ。どの攻撃が効いてバットマン、ベインどちらが有利な状況なのかが判り辛い。 格闘シチュエーションに於いて見映えを重視するならば「受け」のスタントはとても大事な要素だ。 pic.twitter.com/QgSMnCr6iI

2020-03-13 18:42:23
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反対に『キャプテン・アメリカ ウィンターソルジャー』での格闘はダメージモーションの表現がとても良い。 飛び膝蹴りを食らって後ろの車体が凹む。 生身の人間の戦いであっても強力な攻撃を印象付けるならば、こういった「誇張」表現が多少なりとも必要になってくる。 pic.twitter.com/XegXYRWWlg

2020-03-13 18:47:33
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『ダークナイト ライジング』での格闘描写の微妙な不出来具合の原因は、やはり振付師のさじ加減の問題だろう。 『ビギンズ』のメイキングでキーシを如何に上手く組み込むかの解説があるのだが、アクション監督が振付師デイビッド・フォーマンはキーシの動作をソフトにし、分かりやすくしたと語っていた

2020-03-13 18:55:12
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元来キーシは無駄の無い動きで相手を瞬間的に制圧する。 なので速すぎる動きを分かりやすく視覚化する為に大振りな動作をアレンジして付け足したとも語っていた。 このフォーマンの工夫にこそ最大の失敗要因があると思う。 pic.twitter.com/wso9O50XuS

2020-03-13 20:05:38
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速過ぎる動きは視覚的に慣れない人間にとって凄さが認識出来ない。 確かにフォーマンの試みは理論では正しかったが、ダークナイトでの見せ方は動きが誇張され過ぎていた。 この動作を敢えてゆっくりと見せる振付がワンテンポの遅延を生み停滞した印象を与える。 近接格闘術の再現でコレは致命的だ。 pic.twitter.com/mou0ckRMSK

2020-03-14 01:10:32
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そして一番大事なのは、全てを取りまとめる監督クリストファー・ノーランがどれほど映画に於ける格闘シーンに造詣が深いのかにもよる。 『ビギンズ』のメイキングでは「近ごろの映画はワイヤーワークを使い、格闘が整い過ぎた。まるでダンスの様だ」とコメントしていた。 pic.twitter.com/xwCdkVdhXX

2020-03-14 01:12:07
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ワイヤーワークを例に出したという事を踏まえると、ノーラン監督の格闘映画のイメージは『マトリックス』や『グリーン・デスティニー』辺りで止まっている様に思う。 せめてジェイソン・ボーンシリーズ等を鑑みて欲しかった所だ。 pic.twitter.com/zLao6Y9xPO

2020-03-14 01:14:11
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こういった需要の間口が狭い分野は多くの比較例を参考にしなければ、良し悪しすら分からない。 ノーラン監督は動作設計の歴史には疎いイメージがある。 香港カンフー映画の様なリズム式格闘からの脱却を目指し、片や動作設計面ではワンテンポを挟み「振付臭さ」が目立つ出来栄えとなってしまった。

2020-03-14 01:14:59
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詰まる所、リアリズムと見映え両者共にどっちつかずの構成になってしまったというのが私見だ。 最初に言った様に技の型と役者の動き自体は良い。 だが多人数戦やベイン戦にしろ掛け合いのリズムやスピードが今一つ足らない。 pic.twitter.com/4jq5i3Q0IK

2020-03-14 04:12:33
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とはいえやはりトム・ハーディのアクションはなかなか良い。 この派手な振り下ろしパンチ等はもっと劇中で演出として強調して欲しかった。 pic.twitter.com/IunuG0Tx1T

2020-03-14 04:14:54
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パンチのラッシュから柱が砕ける等の誇張表現も悪くない。 このバットマンの頭にパンチがヒットした瞬間の仰け反り方は拡大して見ると、本当に打撃が入ってる様にしか見えない。 ここだけ明らかに動きの精度が違うので、スタントマンを相手にある程度自由にやらせたシーンかもしれない。 pic.twitter.com/PRrKMOmMpU

2020-03-14 04:30:49
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まあ、後ダークナイト三部作は編集の問題などがあるが『ビギンズ』での無闇なブツ切りカット割りに比べたら改善された方だ。 『ライジング』は悪く言えばワンパターンな編集ではあったが。

2020-03-14 04:44:37
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アメコミ映画での格闘シーンで革新的だったのはやはり『ウィンターソルジャー』が最初だ。 動作設計のテンポ、リアリズムと見映えの両立、そして編集も良い。 ボーンシリーズのノウハウがようやくスーパーヒーロー物に合流した形だ。 pic.twitter.com/N1uOiGXyU0

2020-03-14 04:49:27
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ウィンターソルジャーはボーンと同じくフィリピン武術カリで戦い、キャプテン・アメリカは柔術やレスリングを合わせたMMAスタイルで戦うパワーファイターだ。 スピードタイプとパワータイプ、両者の戦闘スタイルを差別化し表現していたのが素晴らしい。 スープレックスを決める等バラエティ豊かである pic.twitter.com/oxO1QCNezi

2020-03-14 05:53:26
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ダークナイト三部作を経て『ウィンターソルジャー』からアメコミ映画はマーシャルアーツの描写に力を入れ始めた様に思う ソレ以前の昔に1990年の『ニンジャ・タートルズ』が良い動きと武術技を見せてはいたが、まだスタントマン固有のスキルと言った感じでノウハウは体系化するには至らなかった印象だ pic.twitter.com/2LE7GqkqJI

2020-03-14 05:58:26
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まだまだアメコミ映画の歴史の中では良質な格闘描写がある映画は少ないが『バットマンVSスーパーマン』もかなり技術が進歩していた。 ダークナイトと同じく引き続きキーシを採用しており、同じアイディアながら見映えが良い動きで再現していて尚且つ編集も良い pic.twitter.com/cNeQyzyvsk

2020-03-14 06:13:42
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ノーラン監督とザック・スナイダー監督は作風が全然違うので、一概には比較し辛いが同じ集団戦に於いての落差は伝わると思う。 何故に左手前の兵士が滑って転ぶという演出にしたかは意図が分からないので置いておこう。 pic.twitter.com/6Kmo0kaz9E

2020-03-14 06:19:47
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ザック監督の場合、振り下ろしパンチで頭が床にメリ込むという誇張表現が実に爽快だ。 ノーラン監督なら家族を人質に取られても絶対にやらない演出だろう。 pic.twitter.com/gcDwRqijus

2020-03-14 06:33:36
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『BvS』の動作設計は香港式なカンフー映画の影響が強い様に感じた。 特にバットマンの集団戦闘を観て思い出したのはジャッキー・チェンの『ポリス・ストーリー』だ。 pic.twitter.com/xzrCLp7vTA

2020-03-14 14:16:25
惣流・ドルフ・ラングレン弐号機 @YZNlfuMP8Vbaaoj

多人数相手に挙動を大きくし派手に動く。 『BvS』は紛れもなく香港カンフー映画のリズムとテンポの流れを組んでいる。 腰が床についてからのドタバタとした攻防が一番類似している箇所だ。 後「受け」である、やられ役のスタントマンのレベルが皆高い。 pic.twitter.com/hLOrNFDFO2

2020-03-14 14:23:35
惣流・ドルフ・ラングレン弐号機 @YZNlfuMP8Vbaaoj

ダークナイト三部作もここまで派手にやれとは思わないが、ある程度はこういった方式を参考にしても良かったのではないかと思う。 独自性は何よりも大事だが、先人が築いた歴史のノウハウに倣うのもまた大事という事だ。

2020-03-14 14:28:30
惣流・ドルフ・ラングレン弐号機 @YZNlfuMP8Vbaaoj

とはいえアメコミ映画にまだ認知度が低かった近接格闘術「キーシ・ファイティング・メソッド」を最初に採用したアイディアの功績は大きい。 ダークナイト三部作は見映えの点では失敗したが、マーシャルアーツを扱うという発想の起点としてはかなり重要な位置にある。

2020-03-14 14:36:41