茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第2490回「単一文脈の強制によるコロナ疲れを癒やすために、小説を読み音楽を聴き散歩しよう」

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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート2490回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

2020-03-15 07:24:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

小林秀雄は、戦後、知識人の多くが「転向」したのに対して、座談会で「僕は無智だから反省なぞしない。利巧な奴はたんと反省してみるがいいじゃないか」と発言したことで有名だが、その講演の中で、戦争中、各地に慰問、激励にいって、マイクなしに声を張り上げて演説したのが辛かったとふりかえった。

2020-03-15 07:26:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

戦争は、小林秀雄のような圧倒的な教養、素養を持った人でさえ、「一つの文脈」の中に押し込める。小林は、別の機会に、戦争になったら、勝つか負けるか、その2つしかないんだ、そしてもちろん勝つことを求めるんだ、という趣旨の発言をしているが、戦争は「単一文脈」というかたちの暴力なのである。

2020-03-15 07:27:29
茂木健一郎 @kenichiromogi

今世界で猛威をふるっているコロナウイルス。その国のニュースを見ても、対策で学校やレストランが閉じたり、スポーツ、文化イベントが軒並み中止になったり、市民生活に甚大な影響が出ている。そのことをめぐるいろいろな論争も。そして誰もが「コロナのことしか考えられなくなる」という状況。

2020-03-15 07:28:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

コロナウイルスの蔓延が戦争に似ているのは、それが、ひとびとに本来豊かで多様な生命の文脈を忘れさせて、「コロナのことばかり」という単一の文脈を押し付けるからだろう。その中で、「コロナ疲れ」も出てくる。明けても暮れてもコロナのことばかり。仕方がないが、どこかで広い文脈を確保しないと。

2020-03-15 07:30:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

私は今、この連続ツイートをベートーベンの「クロイツェル・ソナタ」を聴きながら書いているけれども、こんな時だからこそ、文学や、芸術や、人生のそして生命の豊かで広い文脈を思い起こさせてくれるものに接したい。単一文脈の強制からくるコロナ疲れを、そうやって少しでも癒やしたい。

2020-03-15 07:32:10
茂木健一郎 @kenichiromogi

自然にふれるのは良いことである。ランニングしたり、歩いたりしていると、人間界の騒ぎをよそに、徐々に春が近づいている。東京では桜の花も咲いた。音楽を聴いたり、小説を読んだり、外を散歩したりして、少しでも「コロナ」という文脈から離れた、のびのびとした生命の躍動を取り戻したいものだ。

2020-03-15 07:33:48
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート2490回、「単一文脈の強制によるコロナ疲れを癒やすために、小説を読み音楽を聴き散歩しよう」をテーマに6つのツイートをお届けしました。

2020-03-15 07:35:10