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この度めでたく福島のご当地ヒーローであるダルライザーさんにフォローして貰った記念にスーパーヒーロー史でも大雑把にまとめようと思う スーパーヒーローとは古今東西人気があるジャンルだ Wikipediaに日本は米国に次ぐスーパーヒーロー物が盛んな国と書いてた気がするので日本のヒーロー物に絞ろう pic.twitter.com/aT1tNUPLii
2020-03-17 20:50:28歴史を遡ると日本に於ける生身のコスチュームヒーローの元祖は「鞍馬天狗」になるだろう。 大佛次郎の長編小説『角兵衛獅子 』(1927年)から始まり、嵐寛寿郎主演のサイレント映画で人気を博した鞍馬天狗はスーパーヒーロー物としての要素が数多く備わっている。 pic.twitter.com/sM4pLxH3z7
2020-03-17 21:47:16作者本人による記述等は無いが、鞍馬天狗は1919年のパルプ小説『快傑ゾロ』の影響が強くあると感じる。 鞍馬天狗にとっての敵は幕府により組織された新選組である 体制側に抗い身分を隠した覆面ヒーローの在り方は正に和製マスク・オブ・ゾロだ。 どちらとも民衆の英雄ロビン・フッドの子孫とも言える pic.twitter.com/7YVuZunBB9
2020-03-17 22:22:47ダグラス・フェアバンクス主演のサイレント映画『奇傑ゾロ』はバットマンの原作者であるボブ・ケインに大きな影響を与えもした。 陰を持ったクライム・ファイターであるバットマンと鞍馬天狗はルーツを同じくした従兄弟とも呼べる関係性だ。 pic.twitter.com/ObgTTGKWo2
2020-03-18 05:43:47ゾロ以前にスーパーヒーロー物のルーツとなった小説はシャーロック・ホームズと『紅はこべ』だと言われている。 特に紅はこべはフランス革命期を舞台に義賊が活躍する内容であり直接的にゾロへの影響が強い。 紅はこべの正体であり社交界では道化を演じるブレイクニー男爵はブルース・ウェインの原型だ pic.twitter.com/J23DU3pj01
2020-03-18 06:18:13一方のシャーロック・ホームズがヒーロー物に与えた要素は特異な能力による「超人性」だ ホームズのキャラクターは其の高い知能に裏打ちされた物である そしてホームズに欠かせないのが宿敵モリアーティ教授の存在だ。主人公と同等の能力を持つ悪役=ヒーローとヴィランの図式が既に完成されていたのだ pic.twitter.com/3OGaRfpdTf
2020-03-18 07:03:13ホームズが影響を与えた日本の探偵ヒーローと言えば江戸川乱歩の「明智小五郎」だ。 『D坂の殺人事件』で初登場した小五郎は1936年の少年探偵団シリーズから子供向けにシフトし、其のキャラクター性はより超人的かつ完全無欠ぶりな存在へとアレンジされた。 宿敵怪人二十面相の存在等もルーツが色濃い pic.twitter.com/CNQ47YtUCE
2020-03-18 07:17:34そして日本のスーパーヒーローの始祖であり最も欠かせない存在、其が1930年に紙芝居で登場した「黄金バット」だ。 1938年にDCコミックスに登場したスーパーマンよりもデビューが早い世界最古の「異能力」を持った超人スーパーヒーローである。 pic.twitter.com/dsr0SnKtAg
2020-03-18 08:26:57原作者永松健夫による基本設定は早くから完成されており、後年の絵物語(今で言うなら殆ど漫画)からも其の活躍が楽しめる。 黄金バットというキャラクター自体には心理描写は一切無く、主人公の少年の危機的状況に駆けつけ解決するデウス・エクス・マキナ、即ち舞台装置としての役割を担う存在だ。 pic.twitter.com/UN7jAF0x9z
2020-03-18 08:43:08宿敵である怪人ナゾーも早い段階から既に作中登場していた。 スーパーマンの宿敵レックス・ルーサーより早く誕生しているので、これもまた世界最古のスーパーヴィランと言えよう。 pic.twitter.com/wHHhSWJZIR
2020-03-18 09:07:24戦後は加太こうじによって制作が引き継がれ1967年のアニメ版の時代までは人気を博していたが、其の知名度も今ではかなり衰退してしまったのではないだろうか。 現行コンテンツとしては機能しなくなってしまった黄金バットだが、スーパーヒーロージャンルを辿る上では歴史資料価値が非常に高い。 pic.twitter.com/tlkJiNKDOG
2020-03-18 09:43:27黄金バット絵物語に登場する、まさる少年に鞍馬天狗を慕う杉作少年、明智小五郎の助手である小林少年率いる少年探偵団の面々等、戦中戦後のヒーロー物には少年達の観点で物語が進行していくのが共通項だ。 子供の視点から見た大人=「超人」という描写は日本ならではであり、一定した普遍性が見られる pic.twitter.com/JKTsGgWifu
2020-03-18 17:59:351958年には初のTV特撮ヒーローである『月光仮面』が放送された 川内康範原作で宣弘社制作の月光仮面のヒーローとしての特徴は鞍馬天狗や他の時代劇ヒーローと比べてよりバットマン像に近付いた事だ 悪役サタンの爪やその他のヴィランの登場等アメリカンコミックスでのコスチュームプレイの影響下にある pic.twitter.com/zNol1J9NdK
2020-03-18 21:22:59余談だが「正義の味方」という聞き慣れたフレーズはwikiによると川内康範作詞の月光仮面のOPが初出とされている。 だが1947年に刊行された黄金バット絵物語には月光仮面から10年も先駆け、既に正義の味方というフレーズが使われているのだ。 昭和二十二年当時のままの文体かは分からないが貴重な資料だ pic.twitter.com/FowSUNoVCt
2020-03-18 21:25:01月光仮面より前に劇場公開された『スーパージャイアンツ』に『快傑ハリマオ』や変装の名人、多羅尾伴内に影響を受けた『七色仮面』等この時点での特撮ヒーロー達はまだオリジナリティが薄い。 超人描写を見せる特撮技術も、まだまだ発展していなかった頃の時代だ。 pic.twitter.com/9waaWP7m81
2020-03-18 21:36:55だが1966年に革新的なヒーローがとうとう誕生する。 米国のSFドラマ『ミステリーゾーン』と『アウターリミッツ』から影響を受けた『ウルトラQ』の続編として制作され、黄金バットに次ぐコンセプトの独自性を備えたスーパーヒーロー『ウルトラマン』だ。 pic.twitter.com/HNtH4Z0RiG
2020-03-18 22:14:42同じ異星人ヒーロー、スーパーマンとはまた違う無機質な神秘性、成田亨によるシンプルかつ調和の取れた配色デザインに加えて円谷プロの特撮技術は、当時の他国に比べても突出した出来栄えだった。 トータルで見れば最も日本が誇れるオリジナリティ溢れたスーパーヒーローと言える。 pic.twitter.com/5if0G7GMDJ
2020-03-18 22:22:39そして1971年には石ノ森章太郎原作の東映特撮『仮面ライダー』が放送され特撮二大巨頭が出揃う。 ショッカーに改造され反旗を翻す本郷猛は言わば組織の裏切り者だ。 原作漫画や初期にあった其の孤高性はダークヒーロー路線の先駆けでありサイボーグ009と並んで、ヒーローの暗い側面を描き出した。 pic.twitter.com/icmfqTxZk5
2020-03-18 22:39:2370年代は特撮ヒーローの黄金時代であった。 数多の東映作品に加えて、円谷や東宝も活気があり今は亡き宣弘社やピー・プロダクションにも勢いがあった。 そんな中で全体的に脚本の出来が良かったと思ったのがピープロの『スペクトルマン』と東宝の『愛の戦士レインボーマン』だ。 pic.twitter.com/WtGyad9HrX
2020-03-18 23:01:14公害問題をテーマにしたスペクトルマンは特撮ドラマに於ける社会派路線の第1号だ。 見所は宿敵、宇宙猿人ゴリである。 支配者として生まれついた自らの才能を地球侵略という手段で示そうとする其の強いキャラクター性は、悪役が主人公の存在感を食いかけるという点でも最初の事例ではなかろうか。 pic.twitter.com/gm8yWwoIbB
2020-03-18 23:12:39そしてレインボーマンの宿敵は日本人抹殺を目的とした組織、死ね死ね団の首領ミスターKだ。 戦時中日本人に虐げられた過去がある民族というバックボーン等、川内康範のシナリオは冴えながらも危うい。 国体的背景がある社会派なテーマ性を持つレインボーマンは正に和製キャプテン・アメリカとも呼べる pic.twitter.com/b8D8vP04zZ
2020-03-18 23:24:5990年代後半でのメタルヒーローシリーズの終了に加えて仮面ライダーやウルトラシリーズ共に空白期間等があり、特撮ヒーロー市場はかなり縮小されてしまった。 戦隊物とライダーはコンスタントに制作されるまでには回復して久しいが、それでもまだまだ寂しく感じるのが現状だ。 pic.twitter.com/LLMAUQ6cqP
2020-03-18 23:40:24だが来年か再来年には庵野秀明監督による『シン・ウルトラマン』が控えている。 原点回帰を予想させるビジュアルコンセプトだ。 特撮ヒーロージャンルへの起爆剤になる可能性が高く、非常に楽しみでならない。 pic.twitter.com/tcPKJf4RYv
2020-03-18 23:47:44次に70年代のヒーロー物で欠かせないのが、永井豪による漫画と一連のアニメ化作品だ 1972年に放送開始した『マジンガーZ』は日本の搭乗型スーパーロボットの元祖でありスーパーヒーロー物としての特性も強くある 「神にも悪魔にもなれる」という其の強大な力はノブレス・オブリージュの観念にも通じる pic.twitter.com/Cp6jm7t71o
2020-03-19 00:23:18続くゲッターロボやコンバトラーVから始まる長浜三部作の頃まではスーパーロボットはスーパーヒーローと変わらぬ活躍を展開していく しかし『機動戦士ガンダム』という戦争を舞台としたリアルロボットの登場でその流れは分岐する事となる。 巨大ロボットは「特別な力」では無く量産される兵器となった pic.twitter.com/6vcE426N65
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