茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第2501回「現金を配って使い方は国民に任せるのではなく、旅行券とか和牛商品券とか紐付きにしようとする政府の発想の貧困」

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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート2501回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

2020-03-26 07:29:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

米国では大人一人あたり1200ドル配るとか、各国のコロナウイルスによる経済の恐慌的落ち込みへの対策が出てくる中、報道されるところによると、日本の場合は現金よりも商品券、それも旅行券や和牛商品券などの配布という検討がなされているという。

2020-03-26 07:31:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

各国政府と日本政府の対応を比較してみると、その根本に、国民一人ひとりを信じて、その自主的な行動に任せるか、それともパターナリズム(以下、ここでは「保護主義」と訳して使う)的な発想でいくかという違いがあるように思う。日本は政府が国民の行動に口を出すという傾向が強すぎる。

2020-03-26 07:33:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

現金で支給すると、貯金に回ってしまうから商品券で出すとか、旅行業界や和牛業界が苦境だから、その用途限定の商品券を出すとか、日本政府の発想は、根本的に、自分たちが国民がどのような行動をとるべきか知っていて、そこに導くための制度設計をするというものになっている。

2020-03-26 07:34:38
茂木健一郎 @kenichiromogi

しかし、人間というものは、自分にとって何が利益なのか、それぞれが考える能力を持っている。たとえば現金で支給してそれが一時的に貯蓄に回ったとしても、その人がそれが人生において今ベストな選択だと考えるのであれば、それに対して国が口をだすべきことではない。

2020-03-26 07:35:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

お金をもらって、旅行に行きたい人はいけばいいし、和牛を買いたい人は買えばいい。もしコロナウイルスによる恐慌的経済の落ち込みの対策をしたかったら、四の五の言わず国民に直接現金を渡し、それをそれぞれがどう使うかは自律的判断、決定に任せればいい。そのことで、結果として最適な効果となる。

2020-03-26 07:37:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

一人ひとりの人生の状況なんて、霞が関に把握できるはずがない。特定の行動に国民を導こうという旅行券や和牛商品券の発行という発想の根本的貧困。自分たちが何が国民経済にとって利益なのか知っているという知的怠慢さと傲慢さ。多様で自由闊達な選択が全体として集合知になるという発想がない。

2020-03-26 07:39:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

役人の発想は、国民にお金を支給するにせよ、自分たちがコントロールを失うのが嫌なのである。だから、旅行券や、和牛商品券というかたちで、自分たちが保護主義的に国民を誘導するという発想になる。結果として日本人は自律的に決定し行動するという能力を育めなくなり、国の発展が止まる。

2020-03-26 07:40:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

国は、お金を国民一人ひとりに配って、その使い方は貯蓄に回そうが、旅行に使おうが、和牛を買おうが、野菜を買おうが、誰かに寄付しようが、服を買おうが、それぞれの良識と判断に任せればいい。それができない霞が関の発想の貧困と、国のグランドデザインの欠如を憂う。一事が万事である。

2020-03-26 07:42:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート2501回「現金を配って使い方は国民に任せるのではなく、旅行券とか和牛商品券とか紐付きにしようとする政府の発想の貧困」をテーマに、8つのツイートをお届けしました。

2020-03-26 07:43:39