- nekolovercat
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注意:初代~ハピチャの諸作品にネタバレ気味に言及する箇所があります
プリキュア物語で劇的、視聴者の感情を強く動かす要素は何か 敵幹部との交流と、そこからの改心――光堕ちキュアへの覚醒や共闘を挙げる人は多いでしょう しかし歴代プリキュアシリーズにおいては、初代から通底して、敵味方いずれか——あるいはその両方に渡り、重大要素として取り扱われているものがある
2020-03-29 07:53:01それは‘存在の根源への触れ’です 「何のために生まれたか」「何のために存在しているのか」「こう(いう存在として)生まれた自分(達)はこのままでいいのか」 この“根源への触れ”は実存の究極で、視聴者にショックを与えるプリキュアの劇的展開の多くがこの“根源への触れ”に負っている
2020-03-29 08:00:59この“根源への触れ”ほど(我々が生きる)現実から離れ、ファンタジー作品としての強みを生かす物語要素は無いでしょう 世界を救い、あるいは滅ぼす、また(自分を生み出してくれた)主君への忠義を尽すため生まれてきた・存在する こうしたことは変身バトルと同じ位我々の日常現実からかけ離れています
2020-03-29 08:08:30初期作では、ドツクゾーンの種の三者、S☆Sの満と薫 いずれも作中描写される“根源への触れ”からアイデンティティの問いを生じ、物語を大きく動かしている その極点がMHで、初代での日常を守るというシンプルテーマが、記憶を持たない九条ひかりのアイデンティティ問題に直接作用して完璧な昇華をなす
2020-03-29 09:47:39プリキュアシリーズのターニングポイントたるフレプリでもこの“根源への触れ”は新たな形で現れ、視聴者にショックを与える ドキプリは“根源への触れ”をそのままストーリーの主要展開に絡ませた、雄渾たる一大傑作 また、スタプリ最終盤のショックは皆の記憶に新しいところでしょう
2020-03-29 09:52:34このように、視聴者の感情を大きく揺り動かし・ショックを与え、物語の深みを保証し、時にストーリーの骨格にそのまま絡んでくる“根源への触れ”は、初代から一貫して(日常ファンタジー作品としての)プリキュアシリーズで重要な形で取り扱われてきた 歴代“根源への触れ”が一切無いのは5とハピチャのみ
2020-03-29 09:57:38プリキュア5は「誰によって・何のために生み出されたか」といった“根源への触れ”に関わる敵味方キャラは現れなかったが、その代わりに『絶望』という“深淵”の危機が常に忍び寄っており、これが物語の深みを醸成する 最序盤から現れる「地下送り」も絶望の深淵の暗喩といえるでしょう
2020-03-29 10:14:215の続編たるGoGoはシロップの正体を探るためにキュアローズガーデンを目指すという、ある程度九条ひかり——シャイニールミナス物語のMHに近いアプローチだったが、GoGoの方は何とも薄く、あっけなく終わったのは残念でした MHの二番煎じは避けたかったか ただ、メルポの伏兵の驚きは大きかった
2020-03-29 10:19:27ハピネスチャージプリキュアの方はどうか “根源への触れ”は一切無く、5の様に(敵味方かかわらず)常に忍び寄る危機としての“深淵”描写もされなかった 神であるブルーが地球を作った過程・思い入れが、人間立場に近しい形で作中描かれれば(具体鑑賞対象としての“根源”たりえて)別だったろうが…
2020-03-29 10:35:56“根源”でこそないが、“深淵”がいかに視聴者の作品評価を押し上げるかは最終盤の愛乃めぐみを襲った危機を観れば明らか しかし真のラスボスも結局“根源”に関わらなかったため、作品展開・設定としてはジャブでぐらつかせた程度 とどめのストレートに至らず、これがハピチャ低評価に繋がったのでないか
2020-03-29 10:36:30今もハピチャにがっかりする層が非難根拠として挙げるものに「真のラスボスが~」というのがある 確かに、愛乃めぐみであれだけ視聴者に衝撃を与えて期待させたが、結局ラスボスでも(ファンタジー作品特有の)“根源への触れ”が無く、あまりに日常現実的に‘せせこましく’思われたのかもしれません
2020-03-29 10:42:14補足 ブルーと○○の惑星作りは、確かに「生み出された」ものに関してだが、“根源”として見るには(惑星は)主体性が無く、創世から今に至る生命の誕生・息づきも十分描かれなかったため、作中納得いく形での“根源への触れ”たりえません また、ブルー、○○もどこからどう生まれたのか触れられなかった
2020-03-29 10:59:10プリキュア5について補足 5では敵味方共に「何のために生まれたのか」の“根源への触れ”が行われる登場キャラはいなかったが、これは5での『夢』『希望』の作品テーマと衝突を起こさないためと思われる 逆に言えば、のぞみ達プリキュアが夢・目標に向かって努力する自己実現の様がその補償となっている
2020-03-30 14:41:015は「何のために生まれたのか(生み出されたのか)」の“根源”に関しての触れこそ行われなかったが、“根源”の葛藤ドラマとしての必然の「どこへ向かうのか」を、プリキュア達自身が引き受けた(またこれは後のGoプリ以降の自己実現系路線の先取りとなる)
2020-03-30 15:08:055のプリキュア達がすでに持ち、あるいはこれから見つけ出そうとしている“夢”の自己実現は、初代やS☆Sのような目の前への全力投球と異なり、将来への茫洋さを孕んでおり、「このままでいいのか」といったようなアイデンティティの揺らぎを常に生ずる これが他シリーズでの“根源”葛藤ドラマの代りとなる
2020-03-30 15:11:59初代、MH、S☆Sと強調し続けてきた“根源”を5でも繰り返すとマンネリになるのもあったでしょう もちろん(視聴者の現実にリンクしうる)将来の『夢』への自己実現だけでは“実存の驚異”のインパクトに欠けるから、先に述べた対の『絶望』の“深淵”と合わさることでファンタジーの深みを出しているわけです
2020-03-30 15:47:58Goプリ以降の本格的な自己実現系様式と異なり、(人々を助けるヒロインでない)妖精手助け路線としての初期作で(お互い性質が似ている)自己実現と“根源”両方を取扱うと散漫になるのかもしれません ・妖精物語 ・“根源” ・プリキュア達の自己実現 3つの相性は悪いかもで、GoGoはそれで失敗したのかも
2020-03-30 16:14:37