茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第2507回「脳の中に発見された、利他性で価値を生み出す「ブレインコイン回路」の画期的な意味」

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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート2507回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

2020-04-01 07:02:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

新型コロナウイルスの感染の広がりで、学会もリアルなミーティングが中止になり、ヴァーチャルな開催になるところも続出しているのだけれども、先日参加した学会で画期的な研究が発表された。脳の中に、利他性をもとに価値がつくられる回路があるのだ。研究者たちは「ブレインコイン」と名付けた。

2020-04-01 07:03:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

ブレインコインの回路は、頭頂葉、前頭葉、側頭葉にまたがっており、一部、ディフォルトモードネットワークと重なっている。そして、このブレインコイン回路は、その脳の持ち主が、他人のためやコミュニティのために利他的な行動をすると、その分活動することがわかった。しかも、扁桃体に記憶される。

2020-04-01 07:04:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

どれくらい他人のことを想像して、他人のために働くかということによって、脳内のブレインコインの回路が活性化し、その活動のレベルと継続時間の積に比例する活動を見せる神経細胞が、扁桃体や線条体などの領域で見つかっている。しかもその記憶は長期続く。つまり、利他性活動が「貯金」されるのだ。

2020-04-01 07:06:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

今回の研究で画期的だったのは、確かに他人のためにがんばっているという検証が、脳のネットワークで行われているということ。誰かがどれくらい他人のためにがんばっているかという「プルーフオブワーク」が、その人の脳だけでなく、いろいろな人の脳に、「分散台帳」として記録されている。

2020-04-01 07:07:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

お互いに相手を見て、あいつがんばっている、あの子他人のために力を尽くしているという貢献性が脳のネットワークに分散台帳として記録される。このような「ブレインコイン」のメカニズムが明らかにされ、実例としてトマスエジソンやフローレンス・ナイチンゲール、日本では志村けんがとりあげられた。

2020-04-01 07:10:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

この、「ブレインコイン」の研究が画期的なのは、価値の想像が個人にとどまらず、人間の脳のネットワークによって支えられているということ。「ブレインコイン」をマイニングするためには、他人と協力し合わなければならない。脳の社会性、利他性を象徴する研究として、脳科学界に衝撃を与えている。

2020-04-01 07:11:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

脳科学の歴史を振り返ると、ヒューベルとウィーゼルによる視覚野における特定の刺激に反応する細胞の発見や前頭葉のミラーニューロンの発見、さらには脳がアイドリングしている時だけに活動するディフォルトモードネットワークの発見などがあった。今回のブレインコイン回路の発見はこれらに匹敵する。

2020-04-01 07:13:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

ブレインコイン回路は、単一の脳の活動が、他の脳との関係性によって調整され、その価値創造の「プルーフオブワーク」が社会性を通してしか認証されないという点で画期的。学びも一人でやるのではなくお互いに教え合う、仕事も手柄を独り占めするのではなくお互いに支え合うことが必要である。

2020-04-01 07:14:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

なお、脳内のブレインコイン回路の活動を世界的にモニターする研究がすでにスタートし、この一二週間は、特に、病院で患者さんのためにがんばっている医療関係者とそれを応援し、支える脳の中で、いちばん多くのマイニングが確認されているという。みんなで、利他性の活動を支えたい。

2020-04-01 07:16:40
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート2507回「脳の中に発見された、利他性で価値を生み出す「ブレインコイン回路」の画期的な意味」について、9つのツイートをお届けしました。

2020-04-01 07:18:41