書籍スキャン代行業者の適法性を検討することについて

島並良先生の一連のtweetをまとめました。
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SHIMANAMI Ryo / 島並良 @shimanamiryo

すみません、責任感じてます。結論を聞かれたもので。。。RT @dankogai: それにしても…まだ誰も被害者がいない時点で著作権法違反うんぬんを言い出すという点が日本的。そんなこと言ってるとみんなオフショアにいっちゃうぞ。そんなに法令遵守して日本滅ぼしたい?…

2010-04-16 22:17:17
SHIMANAMI Ryo / 島並良 @shimanamiryo

書籍スキャン業者の件、「誰も被害主張してないのに新規事業を叩くな」という旨の@dankogai見解には、2つの要素が含まれている。1)単に「著作権者が何も言わない時点で」というタイミングの問題であれば、この見解は正当ではない。

2010-04-16 23:33:03
SHIMANAMI Ryo / 島並良 @shimanamiryo

適法・違法は、著作権者による権利行使の有無とは独立に判断できるし、判断するべき。そうでないと、権利者は権利行使できるかどうかが分からない。また、権利行使されなければ(見つからなければ)行為が正当化されるというものでもない。

2010-04-16 23:36:12
SHIMANAMI Ryo / 島並良 @shimanamiryo

2)他方で、「著作権者にとって実質的な損害がないのに著作権侵害とされるべきでない」という問題であれば、著作権法(学/実務)にとって、この見解は大変重要な課題を含んでいる。

2010-04-16 23:38:32
SHIMANAMI Ryo / 島並良 @shimanamiryo

著作権侵害をどう捉えるかについては、大別して2つの考え方がある。(ⅰ)私に経済的損失(市場の喪失)を及ぼしたのがけしからんというものと、(ⅱ)とにかく私の作品を勝手に使うことが許せん(他人のふんどしで相撲を取るな)、というもの。

2010-04-16 23:42:05
SHIMANAMI Ryo / 島並良 @shimanamiryo

現在の著作権法は、基本的に(ⅱ)の考え方をとり、差止請求については損害の発生が要件となっていない。つまり、土地に一歩でも足を踏み込めば排除請求可能、という物権(所有権)制度を借用している。

2010-04-16 23:49:22
SHIMANAMI Ryo / 島並良 @shimanamiryo

ただ、有体物を前提とした制度を、著作物のような情報財に今後も押し及ぼして良いのかは深刻な課題。

2010-04-16 23:53:30
SHIMANAMI Ryo / 島並良 @shimanamiryo

本件に限らず様々な論点で、著作権(法)に対する違和感・反発が近年高まっているのは、結局、「著作権者は損してない(売り上げ減ってない)からいいじゃないか」という素朴な肌感覚に、有効な反論を著作権法が提供できていないからでもある。(おしまい)

2010-04-16 23:54:36
shoya @sho_ya

別分野の話ですが行為規範性vs結果規範性という議論を思い出しました RT @shimanamiryo: 著作権侵害…については、大別して2つの考え方がある。(ⅰ)私に経済的損失(市場の喪失)を及ぼしたのがけしからんというものと、(ⅱ)とにかく私の作品を勝手に使うことが許せん(他人

2010-04-16 23:49:23
SHIMANAMI Ryo / 島並良 @shimanamiryo

うーん、ちょっと違うかな。ぜひ新堂編『特別講義民事訴訟法』所収の内田貴論文をお読み下さい。RT @sho_ya: 別分野の話ですが行為規範性vs結果規範性という議論を思い出しました RT @shimanamiryo: 著作権侵害…については、大別して2つの考え方がある。

2010-04-17 21:35:49
mohno @mohno

@shimanamiryo @sophizm 素朴な疑問ですが、自分の本がスキャンされるかどうかもわからない時点で、(自分の本をスキャンするな、ではなく)“業務そのもの”を差し止めできるものなのでしょうか。

2010-04-16 23:52:30
SHIMANAMI Ryo / 島並良 @shimanamiryo

侵害のおそれの立証が必要です。ただ立証さえできれば、「自己の著作物を複製するな」+「複製機器を廃棄せよ」と請求できるので、結果的に業務が止まりますね。RT @mohno 自分の本がスキャンされるかどうかもわからない時点で、業務そのものを差し止めできるものか。

2010-04-17 21:45:30
@hiroxaito

@shimanamiryo 実質的な違法性を求めるとすれば、「本」という、複製の作成が事実上面倒な複製物を、複製及び送信容易なデジタルデータにしてしまう、という説明の可能性があります。技術的制限手段の回避による私的使用目的複製の違法性に近い考え方。

2010-04-17 00:17:35
SHIMANAMI Ryo / 島並良 @shimanamiryo

加えてDRM管理が困難な点も。ただ私的使用者自身の複製は適法なので、それとの整合性は残るかと。RT @hiroxaito: @shimanamiryo 実質的な違法性を求めるとすれば、本という複製の作成が事実上面倒な複製物を、複製及び送信容易なデジタルデータにしてしまうという説明

2010-04-17 21:49:47
小倉秀夫 @Hideo_Ogura

著作権者に実質的な損害を与えない行為を制限することが憲法上許されるのかという問題もありそうです。RT @shimanamiryo: 2)他方で、「著作権者にとって実質的な損害がないのに著作権侵害とされるべきでない」という問題であれば、著作権法(学/実務)にとって、

2010-04-17 00:26:21
SHIMANAMI Ryo / 島並良 @shimanamiryo

金銭的損害不要論者にとっては、著作物をどう使うかという決定機会の喪失そのものが損害なのでは。RT @Hideo_Ogura: 著作権者に実質的な損害を与えない行為を制限することが憲法上許されるのかという問題もありそうです。

2010-04-17 21:52:26
noodlemania @noodlemania

@shimanamiryo デジタル著作物のみならず、物権性がさらに強いソフトウェア特許も「損してないならいいじゃないか」「邪魔」という理屈がIT系(特に研究畑)の人から聞こえてきますが、全体としては声の大きさが小さめです。この相違はどこに起因するのでしょうか。

2010-04-17 08:28:13
SHIMANAMI Ryo / 島並良 @shimanamiryo

そうなのですか、面白いですね。原因考えてみます。RT @noodlemania ソフトウェア特許も「損してないならいいじゃないか」という理屈がIT系の人から聞こえてきますが全体としては声の大きさが小さめ。この相違はどこに起因するか。

2010-04-17 21:59:43