「血しょう投与試験」~血清療法の話~
新型コロナウイルスを治すための薬。
世界中で色々研究・開発されていて、日々様々な情報を目にしますが、その中でも「おっ」と思ったのがこちら。

「血しょう投与試験」。これ、血清というものとは違うのかしら。 そして、そのリスクは低めなのかしら。 /回復者の血しょう投与試験もスタート 新型コロナ治療の最前線に立つ医師が見ている風景 buzzfeed.com/jp/naokoiwanag…
2020-04-10 15:33:17
@Butayama3 血漿って、私がいつも献血で選んでるやつ(赤血球を抜いた血液)老廃物とか入ってそうでリスクもたかそうだけど、抗体があるんだろうね 血清はさらに凝固成分を取り除いてんじゃなかったっけ
2020-04-10 15:38:41
@Butayama3 治った人の血漿ぶちこんでみるってものすっっっっごい荒療治の気もするけど、何か糸口が見えるといいですね
2020-04-10 15:46:32この質問に答えるべく、先生が来ました。

@y_tambe @geishawaltz @alchmistonpuku ヒト免疫グロブリン! あらま。本当だ。
2020-04-10 15:53:56ここから、血清療法について。

@geishawaltz @alchmistonpuku @Butayama3 「血清療法」で、多分いちばんわかりやすいのは「毒ヘビに噛まれたとき」の話だと思う。これはヘビ毒を中和できるような抗体を含んだ血清(=抗血清)を投与することで無毒化するもの。同様に、感染症の中では「毒素性疾患」と呼ばれる、菌そのものよりも、ヤバイ毒素が悪さするタイプの疾患で使う(続
2020-04-10 15:54:39
@geishawaltz @alchmistonpuku @Butayama3 承前)んでまぁ、ヘビ毒もそうなんだけど、「抗体」を作るためには、いちどその「抗原」が体内に入らないといけないのね。つまり、もしヒトで抗血清作ろうと思ったら、破傷風毒素とかボツリヌス毒素とかジフテリア毒素を誰かに注射しないと……という問題になる。なので、通常は(続
2020-04-10 15:59:46
@geishawaltz @alchmistonpuku @Butayama3 承前)毒素を加熱するとか薬剤処理して、ウマとか(血液の量多いから)に注射して「抗血清」を作らせることが多い。ヘビ毒に対する抗血清もそう。ただ、これだと一つ、別の問題が出てくる。「1回目は効くけど、2回目以降は効かない&変な副作用が出る」(続
2020-04-10 16:02:21
@geishawaltz @alchmistonpuku @Butayama3 承前)何でかと言うと「ウマの抗体」ってのもヒトにとっては「異物」なんです。だから、一度、ウマならウマの抗血清を打って治療すると、患者の体内にウマ抗体を排除する抗体が作られてしまう。これで2回目以降効かなくなったり、「血清病」という一種のアレルギー反応起こしたりする(続
2020-04-10 16:04:44
@geishawaltz @alchmistonpuku @Butayama3 承前)これは、ウマという「ヒトとは異種の動物」だから起きること。なので、じつは「ヒトで作った抗血清」なら、この問題が生じない。だから、本当はヒト抗血清の方がいいんです……が、大抵は、さきほど言った「お前、その毒素、ヒトに打つの?」問題がでてくる。唯一それがないのが、破傷風(続
2020-04-10 16:07:03
@geishawaltz @alchmistonpuku @Butayama3 承前)というのは、僕らみんな破傷風ワクチン打ってるし、破傷風菌ってじつは割と身近にいることもあって、普段から抗体たくさん持ってる人(多分、何かの拍子に感染しかけたけど、知らないうちにワクチンのおかげで助かってた人)がいたりする。なので理想的なヒト由来の抗血清が手に入りやすい(続
2020-04-10 16:11:00
@geishawaltz @alchmistonpuku @Butayama3 承前)もちろん、いわゆる「血液製剤」にあたるので、いろんな感染症の病原体(HIVとかB/C型肝炎ウイルスとかプリオンとか)の確認は必要だけど、破傷風(とかボツリヌスとかジフテリア)はヘビ毒と一緒で、発症したらどれだけ早く抗血清で中和するかのスピード勝負。
2020-04-10 16:13:23で、ここから、血清療法と新型コロナウイルスについて。
あくまでも、今検証中なのよね。

@geishawaltz @alchmistonpuku @Butayama3 承前)で、今回のSARS-CoV-2の場合に戻るけど、実際に効くかどうかは、やってみて結果が出るまでわからないのが正直なところ。 特にコロナは肺に感染するので、血中の抗体がどこまで有効かが不透明。 ただし、以前からインフルエンザワクチンが効く/効かないに絡んだ議論があって(続
2020-04-10 16:18:10
@geishawaltz @alchmistonpuku @Butayama3 承前)僕らが打っているインフルエンザワクチンのうち、注射(皮下接種)するタイプでは、血中の抗体(IgGが主体)は上がるけど、気道粘膜の抗体(分泌型IgAが主)は上がらない。これが、インフルエンザワクチンの感染予防効果が十分ではない理由の一つだと言われてた(続
2020-04-10 16:21:06
@geishawaltz @alchmistonpuku @Butayama3 承前)それでまぁ最近は「フルミスト」みたいな経鼻ワクチンなんかも出てきたわけだが、それはさておき。でも、従来の「注射するワクチン」でも、インフルエンザの「重症化予防」には効果があると言われてる。つまり「呼吸器感染症でも、血中抗体が重症化を防ぐ」という例が一つあるわけ(続
2020-04-10 16:23:50
@geishawaltz @alchmistonpuku @Butayama3 承前)んで、COVID-19でも致命的になるのは「重症化」の場合、というのはご存知の通り。だったら、もし重症化だけでも防ぐ効果があるんなら、それは治療に使えるんじゃ?…という発想になるわけです。それで、今、実際に効果があるかどうか検証中、というお話。
2020-04-10 16:25:55