人口僅か2名の萩市「櫃島」に行ってみた。

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R774@まとめ屋 @kendou774

スレッドにします。 『一枚の航空写真』そこに写る島は、周囲を断崖に囲まれながらも、内陸に整然とした耕作地といくつもの家屋が存在する。一見、華やかそうに見えるが、現在の人口は僅か2名という。華やかな写真の先はどうなっているのか。現状を確かめるために、萩市の『櫃島』に行ってみた。 pic.twitter.com/lWTX8Yvnnd

2020-04-12 16:44:52
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櫃島(ひつしま)は、萩市街地から約10km、一番近い有人島の大島から約1.5kmの位置にあり、萩市沖にある6つの島、いわゆる萩六島のうちの一つである。東京ドーム17個分の面積を有しており、島の周囲には断崖が続き、内陸には平坦地が広がっている。その形状は何とも不思議な形をしている。 pic.twitter.com/weP053igPe

2020-04-12 16:46:04
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過去から現在に至るまで、櫃島へ向かう定期船は無い。故に、櫃島へ向かうためには、個人の船、渡船等を利用しなければならない。島民の方は、今も昔も自家用船で行き来している。今回は萩漁港から渡船を利用した。渡船の船長は『今日は人が多い』と仰る。その言葉通りに、彼方此方に釣り人を見かけた。 pic.twitter.com/k5Uq6N6Kap

2020-04-12 16:47:49
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櫃島を目指して北上する。渡船は、羽島、肥島、大島の脇を通っていく。いずれの島も溶岩台地であり、テーブルのような平たい形状をしている。また、今では大島以外は無人島化してしまったが、以前は有人島であったという共通点も持つ。萩漁港から20分ほど走ると、目の前に櫃島が迫ってきた。 pic.twitter.com/w8wWvLp4zs

2020-04-12 16:49:16
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『櫃島』 大きさの関係で渡船は港に入れない。渡船の舳先からテトラポッドに飛び移る。小さな港だが、多い時でも100人程度の島民を支えるには十分だったのだろう。船の引揚げ場には数隻の船が放置され、脇にある倉庫は朽ちていた。この光景だけでも、櫃島に住む人は極少であることが容易に想像できた。 pic.twitter.com/ye7EOVkzck

2020-04-12 16:51:15
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港から島を見上げる。断崖に一本の道路が延びる。これが内陸への唯一の道だ。櫃島に人が住み始めたのは、平安時代とも、室町時代とも言われるが、明確な時期は分からない。ただ、少なくとも500年以上の歴史がある。それにしても、この島の祖先はどのようにしてこの断崖を登っていたのだろうか。 pic.twitter.com/cOOPvKYe1f

2020-04-12 16:52:52
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早速、集落へ向かう。道の入口には、ナンバーの無い軽トラが停まっていた。この軽トラは、港と集落間の荷物運搬用として島民の方が使用している。道は軽トラ程度の道幅しか無いが、他に通る車がないのでこれで十分だろう。港から約800m、木々のトンネルを抜けると、目の前が明るくなってきた。 pic.twitter.com/31x6aYJUQj

2020-04-12 16:54:54
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『集落』 島の内陸には果樹園が広がっていた。木々には多くの甘夏が実っている。果樹園は今も手入れされているようだ。その先にはいくつかの家屋が見える。賑やかだった波の音は聞こえなくなり、周囲は静まり返っている。ここが海に囲まれた島であることを忘れてしまうような情景だ。 pic.twitter.com/ijv27c7ouP

2020-04-12 16:57:26
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廃屋が立ち並ぶメインストリート。どことなく風鈴の音が聞こえてくる。どの家屋も立派な造りをしているが、その殆どが荒れ、無住化してからの月日を感じる。また、多くの蔵には乾燥機があり、葉タバコ栽培が盛んであったことが窺える。人影は無く、唯一真新しい櫃島交流施設だけが異彩を放っていた。 pic.twitter.com/CehODTOcDL

2020-04-12 16:59:02
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島の数箇所には井戸がある。水源の無い櫃島は水に乏しく、天水、井戸を利用している。また、電気・電話は海底ケーブルにより確保されているが、以前は燃料発電機による時間限定給電であった。そのような厳しい環境、及び定期船すら来ない利便性の悪さから、ここ20年で人口が急激に減少してしまった。 pic.twitter.com/l4JAqoqgCA

2020-04-12 17:00:36
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程なくして島民の方が来られたので、ご挨拶させていただいた。先のツイートで『櫃島の人口は2名』と書いたが、実は櫃島に常住者はいない。島民の方は、耕作のために本土から通っておられるのだ。これが『櫃島が無人島になるのも間近い』とされる所以である。無人島に限りなく近い島、それが櫃島だ。 pic.twitter.com/EeAT4AR2BG

2020-04-12 17:02:27
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『櫃島分校』 萩市立大島小学校櫃島分校(S.40年廃校)。市内の浜崎町に寄宿舎が整備されたことにより廃校となった。集落の家屋に比べて建物の傷みは少ない。近年は倉庫等として利用されていたようだ。島からは人がすっかりいなくなってしまったが、桜は何事もなかったかのように咲いていた。 pic.twitter.com/DYyXxTmmBz

2020-04-12 17:04:08
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『八幡宮』 樹齢数百年のリュウキュウエノキに囲まれて社殿が立つ。御神体は既に無く、もぬけの殻であった。島民の方によると『(御神体は)既に移動した』ということだった。それにしても倒木が直撃したのだろうか、悲しいくらいの荒れ方だ。見捨てられた神社は見守る人もなく、このまま朽ちていく… pic.twitter.com/fgW9BAGhd6

2020-04-12 17:05:55
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一旦集落へ戻り、畑の方へ向かってみた。島の平坦地には葉タバコ畑が広がっていた…はずだが、それは過去のことである。今は、僅かな耕作地が残るのみで、殆どが耕作放棄地という名の荒れ地になっている。どうやら、航空写真(2008年)に見えた耕作地は、大部分が放棄されてしまったようだ。 pic.twitter.com/FlWmpeeqTw

2020-04-12 17:07:01
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荒れ地にある轍を追ってみる。平坦地の先には断崖、そして海があるのだが、平坦地がどこまでも続いているような錯覚に襲われる。轍の終わりは小さな果樹園だった。ここまで来ると、集落内では消えていた波の音が聞こえる。荒涼とした風景が広がる。無人島化していく島の過程とはこのことだろう。 pic.twitter.com/8iJgDmdyS5

2020-04-12 17:08:28
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午後になる頃から海風が吹き出し、波が出てきた。港には、午前中に無かった自家用船が係留されていた。島民の方は、この船で本土との間を行き来されている。既に櫃島に常住する人はいない。ここにあるのは住民票だけだ。港でしばらく待っていると迎えの渡船がやってきた。 pic.twitter.com/JGjO0of5vw

2020-04-12 17:09:43
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かつて萩六島(大島、羽島、肥島、櫃島、尾島、相島)は、いずれの島にも住人がいた。しかし、羽島、肥島、尾島の3島からは住人が消え、島は人が住む以前の姿に戻りつつある。そして今、櫃島も同じ道を辿ろうとしている。『一枚の航空写真』に隠されたもの。それは徐々に消えゆく島の姿だった。 pic.twitter.com/1khURWxH9I

2020-04-12 17:11:12
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以上で櫃島についてのツイートは終わりです。この場をお借りして、お世話になりました船長、問い合わせさせていただいた萩市役所の方々、及びお話を伺わせていただいた島民の方にはお礼申し上げます。 pic.twitter.com/iUeJI2iVKL

2020-04-12 17:12:25
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