剣と魔法の世界にある学園都市でロリが大冒険するやつ3(#えるどれ)

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まとめ 【目次】エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系の話(#えるどれ) 人間とエルフって寿命が違うじゃん。 だから女エルフの奴隷を代々受け継いでいる家系があるといいよね。 という大長編ヨタ話の目次です。 Wikiを作ってもらいました! https://wikiwiki.jp/elf-dr/ 21786 pv 167 2 users

前回の話

以下本編

帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 夜空の星が輝く陰で 異形の笑いがこだまする 土地から土地に泣く人の 涙せおって“遺物”の始末 妖精騎士ダリューテ お呼びとあらば即参上

2020-04-25 19:07:31
帽子男 @alkali_acid

この物語はエルフの女奴隷から騎士へと蘇ったダリューテが仇敵たる黒の乗り手を追うヒロイックファンタジー 略して #えるどれ 過去のまとめは以下から閲覧できます。 togetter.com/li/1479531

2020-04-25 19:09:10
帽子男 @alkali_acid

妖精や魔法の消えた狭の大地に、 代わって跋扈する異形の存在「遺物」。 人類の脅威となるそれらを確保、収容、防護するのが秘密結社「財団」。 財団は遺物と対抗できる最高戦力として機動部隊が幾つか編成し、 うちとりわけ強大なのが「終端の騎士団」である。

2020-04-25 19:11:41
帽子男 @alkali_acid

妖精の騎士ダリューテも終端の騎士団の一員。 しかしどこか頼りないダリューテを守護(まも)る頼れる男がいた。 そう、終端の騎士団第一番こと絶滅請負人ガウドビギダブグだ。 太古に衰え滅んだ牙の部族の末裔にして蛮族の膂力をもって近代文明が生んだ銃火器を操る無双の傭兵。

2020-04-25 19:14:37
帽子男 @alkali_acid

「食らいやがれええええ!!!!」 ガウドの構えた蒸気圧式多塔連装砲から火炎弾、硫酸弾、瓦斯弾が次々と飛び出し、黒の乗り手を直撃する。 「ヤ・ラ・レ・タ!!!!!」 漆黒の甲冑はぼろぼろに溶け崩れ、中からあらわれたむかつく尖り耳に暗い膚の巨漢は断末魔の叫びをあげて爆発四散する。

2020-04-25 19:17:10
帽子男 @alkali_acid

「ガウド様…!ありがとうございます…」 首に鎖をつながれ、うなだれていた乙女が細首をもたげ潤んだ瞳で礼を述べる。乳を凝らせたような肌に、特徴ある尖り耳をした可憐な面差し。 「待ってろ」 絶滅請負人は剛腕で鎖を引きちぎり相手を抱き上げた。 「何と逞しいのでしょう」 「当たり前だろ」

2020-04-25 19:19:49
帽子男 @alkali_acid

若者はにやりと笑り、白い犬歯を覗かせる。 「俺は牙の部族の長ガウドビギダブグだ。女衆に迎えると決めた女は必ず助ける」 「…私を…あなたの…牙の部族の女衆に加えて下さるのですか」 捕虜になっていた妖精の騎士ダリューテはうっとりと救い主を見つめてから、やがて思い出したように告げる。

2020-04-25 19:22:15
帽子男 @alkali_acid

「どうかあの子も助けてあげて下さい…」 弱々しく指し示した先には、暗い膚に尖り耳をした幼げな童女が不安そうに震えている。やはり首は鎖につながれている。 「ガウドさん…助けて…」 「ウィスト!しょうがねえな。まったく女ってのはほっとけねえ」

2020-04-25 19:24:18
帽子男 @alkali_acid

同様に鎖をちぎると、左腕に白い乙女を右腕に黒い童女を軽々と抱きかかえ、最強の男は悠然と戦場を後にする。 気づくと三人は毛皮の床にいた。ガウドの左右にダリューテとウィストは裸身のままひしとしがみついている。この世でほかに安心できる場所はほかにないというように。

2020-04-25 19:27:28
帽子男 @alkali_acid

若者の逞しい胸板に年嵩の女と年下の娘は身をそろって這いあがり、乗り出す。大人と子供、明るい肌と暗い膚、しかしよく似た佳貌を寄せ合って見上げる。 「ガウド様どうか私に子を」 「あの…僕…僕も…」 「はっ…任せとけ。まとめて面倒みてやる」

2020-04-25 19:29:09
帽子男 @alkali_acid

ガウドが腕に力を籠めると、しかしいきなり大小二人の嫁はばふっと破裂し、羽毛をまき散らした。 「あ?」 かっと瞼を開くと、西方式の狭苦しい部屋の中だ。両腕に抱え込んだ布団と枕が締め付けすぎて破れている。 「あ"あ??」

2020-04-25 19:30:51
帽子男 @alkali_acid

とりあえず天井に向かって威嚇してみるが、誰も返事はしない。 それはそう。個室だから。 ガウドはぎしぎしと歯をかみ合わせてから、ゆっくりと身を起こした。 「くそが!!!」 誰にぶつけていいか解らない怒りをとりあえず叫びに変える。

2020-04-25 19:32:33
帽子男 @alkali_acid

誰も返事はしない。 個室だから。 「黒の乗り手…許さねえ…」 悪いのはあいつのせい。絶対そう。

2020-04-25 19:33:49
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ さて夢の中ではガウドの愛妻の一人になっていた尖り耳に暗い膚の少女ウィストはどうしていたかというと、名前をウィスティエと変えて、学問の都は古典の府に付属する中等部の学生に身をやつしていた。

2020-04-25 19:35:39
帽子男 @alkali_acid

とりあえず朝の教室にいる。 まわりは全員女学生ばかりだ。 渡瀬の街の三日月の寺院は男学生ばかりだったが、ここは逆。 ウィスティエは独特の躾から、視線を落として周囲の娘等を誰も直視しないようにする。しかしかなり難易度が高い。何せそこらじゅうにいるのだ。

2020-04-25 19:39:23
帽子男 @alkali_acid

「皆さん。転校生のウィスティエさんを紹介します。今日から学園で一緒に勉強するのですから、お互い仲良くして下さいね。さ、では一時限目は水泳です。すぐ着替えて下さい」 女教師が告げる。男教師はいないようだ。 「ウィスティエさんはまだ見学ですね」 「はえ…」

2020-04-25 19:40:13
帽子男 @alkali_acid

とにかく女学生というのは信じられないぐらいうるさい。 叫び囁き、囀り、けたたましく笑い、教師が通りかかるとやや静かになるが一瞬のことだ。男学生もうるさかったが、ここは数が多いせいかいっそうやかましく聞こえる。 「…ホウキボシが…いっぱいいるみたい…」

2020-04-25 19:42:11
帽子男 @alkali_acid

貸してもらった家に置いてきた、歌好きの黒い小鳥を思い出している。 ほかに喧嘩早い黒猫と、馬鹿そうなくせに本好きの黒犬と、図工のたぐいに興味を持つ変な黒い蝙蝠がいる。 どれもすぐ騒ぎを起こすので、離れているのは心配ではある。 「おとなしくしてて…」

2020-04-25 19:44:29
帽子男 @alkali_acid

学校の授業は、正直ぜんぜんついていけなかったが、とりあえずまじめに聞いた。 ほかの生徒はウィスティエに対しては遠巻きにしてくすくす笑ったり、ひそひそ何か噂したりしている。渡瀬の街の東方人地区でも似たようなものだったしまして肌の色の異なる西方人の学校でまともな扱いを受ける筈もない。

2020-04-25 19:51:50
帽子男 @alkali_acid

無駄な努力ではあったができるだけ目立たずにやり過ごそうと思った。 「どうして暗肌がこんなところにいるのかしら」 「獣臭いじゃない」 通りすがりに聞こえがしに言う上級生らしき女学生もいた。

2020-04-25 19:53:38
帽子男 @alkali_acid

とりあえず耳当てを抑えて急いで人間の群から離れる。 近くにいればいるほど厄介が起きる。 「そこの…見かけない子。何て格好してるの」 今度は教師に呼び止められる。 「まあ…堂々と規則違反したものね。裳裾の丈は何?おまけに耳当て…つけてきていいと規則にありませんよ」

2020-04-25 19:55:30
帽子男 @alkali_acid

「ご、めんなさ…」 「とりなさい」 「え、あ…」 「いいからとりなさい」 「ごめんなさ…」 教師が手を伸ばしてくるのを、転入生はじりじりと下がった。 「逆らうの?罰点ね」

2020-04-25 19:56:25
帽子男 @alkali_acid

不意に外で騒ぐ声がする。風紀指導役はそちらに気を取られた。 「何をしているの!」 「先生ー鳥がいます」 「鳥ぐらいで淑女ははしたない声は出さないものですよ」

2020-04-25 19:57:44
帽子男 @alkali_acid

まさかとウィスティエは縮めていた首を伸ばす。 なんと校庭の木の枝に黒歌鳥が止まって、ひょこひょこ行ったり来たり踊っている。 「アタイノウタヲキケ!」 「ちょっと…」

2020-04-25 19:58:43
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