【#ロイヤルトーナメント/4月4週進行まとめ!】

まとめです!
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ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

――炸裂音。 拍手、手拍子、クラッカー、地団駄、全てがひとつに収束し、コロッセウムに鳴り響いた。 地表を千も巨人が往来するような、歓声と喝采はひとりひとりなら僅かの音、微かな振動しかもたらさない。 だが、幾千、幾万の情動が、ひとつの場所に重なったとき、 それは、世界を揺るがす。

2020-04-26 00:06:34
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

コロッセウム、地下空間。 スタッフオンリーの裏側から、設計士複数人の手を経て誰しも全容を知らない回廊の複雑怪奇な迷宮を抜けた先、 そこに、防護魔術――世界の壁を支える中枢がある。 陣術回路は回廊を遥かに超える難解、 維持する宮廷魔術師たちはその奴隷、歯車の一部であった。

2020-04-26 00:53:19
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騎士たちは精鋭である。魔法ひとつとっても出力、その精度も強度も尋常のものではないし、防護がなければコロッセウムは数百回も倒壊していることだろう。 重労働である。 宮廷魔術師の精鋭らは疲弊しきっていたが、最後まで職務を全うしようとしていた。

2020-04-26 00:56:46
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「終わりだ! 掃けろ!!」 広い地下空間、亀甲角に柱の伸びるドーム状の虚空に響く、男の声が響き渡るまでは。 「今すぐ掃けろ、万一死ぬぞ!!!!!」 魔術師たちは訝しんだ。 迷宮を降りることができるのは、法則を理解している担当者たちのみのはずだが――

2020-04-26 01:01:16
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「クソッタレ、なんつうことしやがるあのクソ野郎……!!! ”銀の靴”は、ここまで自分を導いた魔術式の地図をグシャグシャにして破り捨てた。 これを寄越した男は言った。 『クラッカーを待て』、と。 「はやく防護術を解除しろ!!! コロッセウムで止めねえと、ロンドンが吹っ飛ぶぞ!!!!」

2020-04-26 01:09:46
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---------------------------------------- ――それは、天上より現れた。 「オイ、なんだありゃ」 客席をあぶれた屋台村から、誰かが空を見上げて言う。 呪詛の黒煙を巻き上げて、黒い流星のように、 真っ直ぐにグリーン・パーク上空に向けて差し向けられた、幾筋もの軌跡。 なにかが集まってくる―― pic.twitter.com/WhcNIiQgr7

2020-04-26 01:18:05
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遠視鏡を使って覗き込んでみれば、 人によっては、それが形状も大小もばらばらの物体であることまでは気が付いただろう。 だが、コロッセウム上空で暗雲のように巻き上がり「組み上げられる」まで、その正体を察するものはなかっただろう。 飛来したのは、「骨」だった。

2020-04-26 01:25:02
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コロッセウムの膨大な熱量とは裏腹に、 世界に差した影から溢れ出したような呪詛の黒色が、 招来された「骨」を組み上げていく。、 焼け溶けた眼窩は何も観ず、 砕けた喉は吼えず、 破れた翼は足掻くように羽ばたき、 ひとつが家一棟ほどの太さの骨で、防護陣を掻く、 禍々しい「骨の巨竜」、が。

2020-04-26 01:34:13
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存在しない喉で、呼吸した。 -------- 「開けろ!!!!!!!!! 一番外側だけでいい、客席にはライフガーズも騎士どもも控えてるだろうが!!!!!! 閉じたままあれが”吹いて”みろ、コロッセウムを滑り降りたら川からロンドン中に流れるぞ――!!!!!」 --------- 呪いの吐息が。

2020-04-26 01:41:53
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翼を広げれば公園に収まらないほどの巨体が舞い降りる。 骨と骨の擦れる、胸の底に響くほど不快な引っ掻き音を立てながら、しかし奇妙なぐらいに静かに、骨の竜は、 どす黒い靄を吸い、胸中の紫光を明滅させ、 吐いた。 触れたものを「魂」まで「腐食」させる、 呪詛の黒紫煙が――

2020-04-26 01:50:35
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ガラスの破砕するような音を立てて、はじけ飛んで消えた最外の防護魔術から、 コロッセウムの客席、グラウンドに向かって、 真っ黒な雨のように降り注いだ。 血相を変えた警備の魔術師たちが一斉に、客席に防護を張る。 歓声はまだ続いている。 ――熱狂する観衆が気付くのは、数瞬後のことである。

2020-04-26 01:56:28
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@dl6_013_881 @a_hazukiv2 @evui_kikaku @Fuyoukikaku @_3kt @litmus_96 @ice_coffee27 @cherry_ai_27 ツイートを鍵付きの状態でまとめさせていただきました。クリックで公開いただければ幸いです。 togetter.com/li/1499174

2020-04-26 02:16:13
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

------------ザザッ-----------ザッ---------------- 「君のやりたいことは分かってる。  少し手助けしてあげようと思うが、  何かあったらそれは当然、君の責任だ。  それでも良いなら、電報を。  必ずや、後悔させてあげよう」

2020-04-26 20:04:59
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

晴天快晴。 ”ロンドン人”はこの天気をあまり好まない。 石畳の古臭さが台無しになるから、乾いた下水の匂いが厭になるから、高すぎる空が似合う街でないと知っているから、あるいは単に、良いとされるだけのものに対するやっかみなのか。 わからない。しかし、コロッセウムの周囲は賑やかだった。

2020-04-26 20:13:44
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

ポケットに秘密があるとき、気持ちは強くなる。 紙筒の手触り、持ちきれないほどではない適度な重さ、掌に収まるコンパクト、そして不特定多数との約束であるならなおさら。 「ジャンキーズ・クラッカー」はその点完璧だ。 鳴らしたあとは食べることもできる。 検問を無事通過し、客席へ向かった。

2020-04-26 20:21:23
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

初めて観戦する、それは、 「殺し合い」だ。 人と成りとがどう、といった次元を遥かに越え、 見たこともない、想像したこともない、存在について考えることもない、相手を下すためにだけに用いられる、武器と魔術、呪いと魔術とが、凄惨な事故のようにぶつかりあう。 すぐ目前でだ。

2020-04-26 20:28:49
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

膝の上で握った手が震える。 普段、生きているうちに無意識のように扱っている魔法というものが、あれほどまでに常軌を逸した音を立てているところを初めて見た。 「フェザーストンはもう女騎士を認めざる得ないだろうな」「マギスウェルの息子はあれで停学したこともあるんだ、そりゃやるさ!」

2020-04-26 20:33:56
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

グラウンドから鳴り響く、耳を劈く悲鳴めいた軋む風音の合間を縫うようにして、枯れるほど喉を鳴らす野次応援と罵倒、井戸端話も震える我が身を走り抜けていく。 パンフレットのトーナメント・リストで繋がれた点と線、ひとつひとつに「人間」が繋がっている。 あるいは、ここに座る全ての人々にさえ――

2020-04-26 20:40:00
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

奇妙な既視感を覚える。 それは「喪失」の感覚だった。 なにか、例えば、飼っている猫であったり、初めての給料で買ったレコードだったり、かけがえなく大切にしているものが、もし無くなってしまったらどうしよう、と考えるときに胸を吹き抜けていく乾いた風のような、 ここで何かを失ったような。

2020-04-26 20:43:25
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