ハードボイルドDOOM褒め探偵ニック エターナル

アロハ天狗 @Aloha_Tengu

けたたましい呼び鈴の音で目が覚めた。 俺は二日酔いの頭痛に耐えながら、安ソファから身を起こし自宅兼事務所のドアを開ける。 「悪いな、ニック探偵事務所は改装のため長期休業中だ…」 そこまで言って、来客の姿が目に入る。 1

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眩しく光るロングのブロンド・ヘアー。 しなやかな細さと豊満さを兼ね備えた肉体にフィットする黒レザーのキャットスーツ。 知性を感じさせる切れ長の瞳。 開かれたスーツの胸元は豊満なバストの谷間を否応なく強調する。 「おっと、長期休業は昨日までだったな…奥へとどうぞ」 2

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「それで、俺に依頼ってのはなんだい？」 俺は彼女に”とっとき”のコーヒーを出しながら尋ねた。 ディナーの相手探しならたった今解決したぜ、ミス…」 「ステイシー…ということにしておきましょう、今はね」 女は口角を上げた。目は笑っていない。 3

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「なるほど、ミス・ステイシー。それで、ディナーは中華でいいかな？あの通りの中華料理屋のエビ・チリは絶品だぜ」軽口を叩きながら様子を伺う。 「DOOM…」ステイシーは俺の目を見つめて一言こう呟いた。 「悪いな、急な要件を思い出した…エビ・チリはまた今度にしよう、ミス・ステイシー」 4

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DOOM…2016年に発売された偉大なるアクションゲーム。1993年の神話的作品の完璧なリブート。 数年前、俺はその作品を巡って"ちょっとした"騒動に巻き込まれた。ギガカンパニーの陰謀、ガンファイト、殴り合い、そしてとある女の死…探偵にはどれもよくある話だ。 5

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ともあれ、もう終わった話だ。俺はもう、DOOMに関わる気はなかった。 彼女をドアまでエスコートしようとしたが、応接ソファから立ち上がる気配がない。彼女はその代わりに俺の手を取って言った。 「お願い、私の話を聞いて。DOOMに再び動きがあろうとしているの」 6

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彼女の目は真剣そのものだったが、俺は少しだけ安堵して、マルボロに火を付けた。 「なんだ、その話なら知っている…Switchへの移植だな？いつでもどこでもデーモンの首を捻じ切れる。結構なことじゃないか」 「そうじゃないの…これを見て」 7

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彼女が胸元から一枚の写真を取り出す。 これは…DOOMのパッケージ…？いや、なんだ、この違和感は…？ 俺はタイトルを見た。DOOM…エターナル… 8 pic.twitter.com/0CmL8Vx6AI

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「おい、冗談だろ」 俺の手から、火をつけたばかりの煙草がこぼれ落ちた。 「あなたの力が再び必要なの、DOOM褒め探偵ニック」 9

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DOOM褒め探偵ニック　エターナル 第一話　 マサクゥル・イズ・マイ・ビジネス

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「話を整理しよう」俺は再び椅子に腰掛けると、ステイシーに話しかけた。 「新作が出る…DOOMの、しかも完全新作が。そこまでは事実としよう」 「事実よ…紛れもなくね」 「だが、それが何の問題がある？面白いゲームの続編が出る…めでたい話じゃないか」 「ただの続編ならね」10

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「今回のDOOM…その名はDOOM ETERNAL。前作よりも更にハイでブルータルな新作になっているの」 そういうとステイシーは、胸元から一枚の写真を取り出した。　11

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これは…ドゥームスレイヤーだ。前作で余りの皆殺しっぷりに地獄のデーモンたちがドン引きしていた主人公の中の主人公だ。だが…見慣れぬパーツが肩にある。 「どこのマッド・サイエンティストだ…！あのドゥームスレイヤーの肩に、キャノン砲を装着しようだなんて…」12 pic.twitter.com/XuTaBgwAkl

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「それだけじゃないわ…ダブルダッシュ…爆裂パンチ…あのドゥームスレイヤーの性能が更に大幅にパワーアップしているの。チェーンソーを覚えてる？あれは時間制のチャージ方式になった。つまり、デーモンを引き裂き放題になったということ。そしてデーモンを血祭りにあげると弾丸も手に入るって訳」13

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「なんてこった…」冷や汗が頬を伝う。 「しかし、スーパーショットガンは今回は流石に出ないだろ？前作でもあまりにも凶暴な破壊的概念殺戮暴風存在だったし、今回は流石にバランス調整とか倫理的ななんかでリストラが妥当…そうだ暴力的すぎる、子供の教育によくない」14

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「ニック、落ち着いて聞いて…これが、今回のスーパーショットガンよ」 ステイシーが胸元から一枚の写真を取り出した。俺ですら、ステイシーの谷間に意識を向けることが出来なかった。スーパーショットガン…スーパーショットガン！？ 15 pic.twitter.com/NozDSt6gg5

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俺はスーパーショットガンを見た。銃口の下部に…見慣れないパーツが付いている。 「おい、コレはまさか…」 「ミートフック。今回のスーパーショットガンは、敵に射出したフックチェーンを突き刺してそれでひとっ飛びに飛んでいけるの。敵の目と鼻の先までね」 16

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俺は大きく息を吐いた。その先は明確だ。スーパーショットガンの弾丸の暴風が、目の前の敵を挽肉に変える。 「空気」と「爆弾」よりも相性の良いものがこの世に存在するか？　あった。チェーンフックとスーパーショットガンがそうだ。俺の知っていたとおり、この世に神はいないようだ。 17

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「凄まじい事件だ…俺でも一番弱いピストルをピュンピュン撃ってクールダウンしなければ危険な領域だぜ。そうだ今作のピストルの画像を見せてくれ」 「そこなんだけど…よく聞いてニック、今回はピストルは出ないの」 背筋が凍った。 「なんだって…？」 18

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「序盤に手に入るアサルトライフル的な武器が『ヘビーキャノン』なの。わかる？他にもプラズマライフル、チェーンガン、スナイパービームクロスボウ、破壊的でデバステイティングな終末殺戮兵器しか出ないわ。ピストルをピュンピュンしている余裕はもうないの、私にも、あなたにも、この世界にもね」19 pic.twitter.com/qoC8ZwVlzE

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混乱する俺の頭に、一つの疑念が浮かんだ。 「ドゥームスレイヤーがそれほど強化されているということは…今回は前回よりもだいぶ簡単になっているということか？」20

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俺はそのまま続ける。「なるほど、前作はあまりにも超タフなハードコア・アクション・ゲームだったからな…そして、DOOMの続編がポチポチと連打しているだけでクリアできる簡単なゲームになってしまった。それが君がここに来た理由だ、そうだろ？」21

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「DOOM褒め探偵ニック…私が買いかぶっていたのかしら？」 ステイシーはため息をつくと、胸元から三枚の写真を取り出した。 これは…そこにいたのは三体のヘヴィ・メタル・クリーチャーだった。22

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サイバーデーモン…！？前作のリメイク的デザインとは異なり、オリジナルに近しいサイバーデーモンだ…！ヤツが、再びＤＯＯＭに降臨するというのか。23 pic.twitter.com/Y3FlvfneNn

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