『かまいたちの夜 弘前夜桜編』(完結)by @tokurontinus

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トクロンティヌス @tokurontinus

青森県弘前市の彼女と大分県佐伯市の彼氏が結婚式を前にコロナウイルスで会えなくなってしまうものの、テレビ電話で愛を育んでいたのだが、徐々に彼女からの返信が遅くなっていき…… というミステリードラマまだでしょうか

2020-04-29 09:01:41
トクロンティヌス @tokurontinus

弘前大学で知り合ったカップルという設定。彼氏は卒業とともに地元・大分の会社に就職。現在は実家通い。彼女は教授の薦めで大学院に進学。今回の騒動がなければ5月に福岡の式場で挙式予定だった……という設定

2020-04-29 09:15:33
トクロンティヌス @tokurontinus

せめて毎日夜に話そうということで、Zoomで会話を始める二人。しかし、あるときから「大学の研究が忙しい」と彼女がなかなかオンラインで会話したがらなくなっていく。同時に、久々に繋がったときに聞こえる謎の男の笑い声……

2020-04-29 09:18:48
トクロンティヌス @tokurontinus

僕は思い切って陽子に問いただしてみる。しかし、陽子は「そんなの気のせいだよ……」と顔を逸らす……。

2020-04-29 09:08:57

トクロンティヌス @tokurontinus

僕はさらに問い詰めてみた……陽子はあからさまに機嫌が悪くなり、Zoomを切ってしまう……。ちょうどその時、結婚式を上げる予定だった式場『シュプール』からキャンセル料についてのメールがスマホに届いた。

2020-04-29 15:19:40
トクロンティヌス @tokurontinus

確か今回のコロナウイルスでのキャンセルについてはキャンセル料について大幅に免除される……そんな話を先週したはずだ。僕はなんだろうと思って、メールに書かれていたプランナーの小林さんに電話をする……

2020-04-29 15:23:04
トクロンティヌス @tokurontinus

「あ、あの申し上げにくいのですが……」小林の声はどこか落ち着かない様子で、キャンセル料が変更になったのだろうかと尋ねる。 「い、いえ、そういうわけでは……あの……先程奥様の方からこちらに電話がありまして……キャンセル後の返金を奥様の口座にして欲しいと……」

2020-04-29 15:26:01
トクロンティヌス @tokurontinus

そんなことは聞いてない!僕は慌てて否定する。 「そ、そうですよね……先程奥様から急にご連絡いただいて、私達も混乱しておりまして……」 小林との通話を切り、すぐに陽子に連絡するが繋がらない。一体どうなってるんだと不安と混乱がごちゃごちゃになったまま、何度も通話ボタンを押す

2020-04-29 15:35:51
トクロンティヌス @tokurontinus

『かまいたちの夜 弘前夜桜編』

2020-04-29 15:38:47
トクロンティヌス @tokurontinus

やっと繋がった電話口の声は怒っているようだ。「何……」とそっけ無い陽子に、僕はキャンセル料の話をしようとするが……また、知らない男の笑い声が聞こえる。僕はたまらず「これは誰の声なんだ!」と声を荒げる。 「何を言ってるの?誰もいないけど……今日もこれから研究室だから、切るよ……」

2020-04-29 15:47:09
トクロンティヌス @tokurontinus

僕は何とか陽子の様子を探ろうと、弘前に残っている友人や知り合いを当たる。陽子と同じ学部のアイスホッケーサークルの後輩、弘前で就職した同期、大学時代のバイト先の同僚が力になると言ってくれた。僕は……

2020-04-29 15:58:46

トクロンティヌス @tokurontinus

サークルの後輩・真理に、同じ学部の建物にある陽子の研究室を覗いてもらうように依頼する。サークルでは男子チームと女子チームの違いはあったが、真理は気さくな可愛らしい感じで、どの世代の男女にも人気があった。 真理にメールしたあとで、差出人が自分のメアドになっている奇妙なメールが届く…

2020-04-29 18:56:05
トクロンティヌス @tokurontinus

『よざくら は だれ を みていた ?』

2020-04-29 18:56:34
トクロンティヌス @tokurontinus

気味が悪かったものの、その日は在宅ワークのなか週に二度の出勤日だったため仕事に向かう。仕事から帰宅すると、真理から何度か不在着信があるのに気づき、慌ててかけ直す。すぐに電話に出た真理の声は少し焦っているようにも聞こえた……。

2020-04-29 19:02:44
トクロンティヌス @tokurontinus

「その…言いにくいんですけど……」という真理に何があったのか話すようにうながす。 「先輩の彼女さんの研究室……もう2週間も前から誰も来てないみたいです……まだロックダウン前だったはずなんですけど……」 どういうことだ?陽子は嘘をついていたのか?僕は混乱する

2020-04-29 19:09:00
トクロンティヌス @tokurontinus

「それと、これは今日学科の友達に聞いた噂なんですけど……」と真理は何かを話そうとしたが、「あっすいません!またかけなおします」と電話を切ってしまう。誰かに呼ばれたようだった。 しかし、僕はこの通話の切り際、あの不気味な笑い声を聞いたような気がして不安になっていた……。

2020-04-29 19:14:52

トクロンティヌス @tokurontinus

すぐにかけなおすと、一瞬繋がってすぐに通話終了になる。それ以降は何度かけても電話は繋がらなかった。僕は言いようのない胸騒ぎを感じたまま、朝を迎えた。 思えば、このときとった僕の行動はのちの自分の環境を変化させることになるとも知らず……。

2020-04-29 22:22:36
トクロンティヌス @tokurontinus

夜があける少し前に陽子からLINEでメッセージが届く。 『誰のせいでこんなことに……』 僕は式場のキャンセルのことだと察して、『お互い悪いところはあったんじゃないか?』と返信したが、それ以降は返信はなかった。 その数時間後、僕の携帯が017で始まる知らない番号を表示して揺れる

2020-04-29 22:42:09
トクロンティヌス @tokurontinus

「遠藤さんの携帯ですね?こちらは青森県警刑事部捜査一課の田中です」 僕が突然の警察からの電話でパニックになっていると、男は「落ち着いて。ご自宅にテレビありますか?RAB……どこでもいいので点けてみて」と諭す。『両目のない遺体が発見』と書かれた画面には、あの後輩の名前が出ていた……

2020-04-29 23:01:03
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