連続テレビ小説『スカーレット』とはどんなドラマだったのか?その2 芸術という側面から見た補足考察のまとめ

前回のまとめでは、余り芸術という側面からは語らなかったけど、それでは充分ではないと芸術という側面からの考察もしてみたけど、補足としてはボリュームが大きくなったので、前回のまとめとは別にまとめました。
14
窪田浩一 @ko1kubota

前回のまとめでは、余り芸術という側面からは語らなかったけど、それでは充分ではないと芸術という側面からの考察もしてみたけど、補足としてはボリュームが大きくなったので、前回のまとめとは別にまとめようと思います。 #スカーレット twitter.com/ko1kubota/stat… pic.twitter.com/5UHzk6gju5

2020-05-06 23:45:38
窪田浩一 @ko1kubota

「連続テレビ小説『スカーレット』とはどんなドラマだったのか?放送終了前後からの感想と考察のまとめ 」をまとめました。 #スカーレット togetter.com/li/1491838 @togetter_jpより

2020-04-09 21:00:46
拡大
窪田浩一 @ko1kubota

実を言うと僕は #スカーレット を芸術とは何か?を描いたドラマだという視点で観てなかったし、その視点で語った事もない。それはこのドラマの一部であったかもしれないけど、このドラマで描こうとした本質はそこではないと思っていたからだ。でも、その点でも語っておこうと気が変わった。

2020-04-30 21:45:35
窪田浩一 @ko1kubota

まず、八郎だけど、僕は芸術を愛し、陶芸を愛する芸術オタク、陶芸オタクだと思っている。自分でも陶芸家として成功したいと思っていた。それは自分が芸術で感動した様に、自分も誰かを感動させる事が出来たら素晴らしいと思っていたからだと思う。 #スカーレット

2020-04-30 21:48:10
窪田浩一 @ko1kubota

しかし、いつしか八郎の目標は家族、喜美子や武志を養って行く為にお金の稼げる陶芸家になる事に変わってしまった。純粋に芸術を追求するのではなく、お金の稼げる陶芸家、世間に評価される陶芸家を目指すという事は彼にとっては苦しい事になっていってしまった。 #スカーレット

2020-04-30 21:51:18
窪田浩一 @ko1kubota

しかし、それに耐えて八郎は金賞を取れる所まで辿り着いた。それは素晴らしい成果だと言えると思う。しかし、一度世間に評価された者は、今度はその評価を落とさない事、評価され続ける事を強いられる様になる。それを続ければ続ける程、その道は険しく孤独なものだと思う。 #スカーレット

2020-04-30 21:54:38
窪田浩一 @ko1kubota

それは八郎にとっては益々重荷になり苦しいものになって行く。そに為に喜美子との関係も上手く行かなくなって行くが、ここではその事は考慮しない。純粋に芸術だけに主眼を置いて語って行くと… #スカーレット

2020-04-30 21:57:22
窪田浩一 @ko1kubota

八郎が苦しいのは元々は純粋に芸銃を愛した芸術オタクだった八郎が純粋に芸術を追い求めなくなり、別のものを追い求める様になってしまったからだ。それに気付いた八郎は原点に帰る事を選択し、和食器セットに辿り着く。 #スカーレット

2020-04-30 22:00:23
窪田浩一 @ko1kubota

世間の評価とか受賞とかとは関係なく自分が作りたいものを作り満足を得る。これは完全なる八郎の勝利だと言える。自分が目指すべきものは何なのか?その疑問や葛藤を乗り越えて、本当に自分の作りたいものを見つけて作る事が出来たのだからこれ以上の勝利はない。 #スカーレット

2020-04-30 22:03:15
窪田浩一 @ko1kubota

しかも八郎は家族を養って行く為にお金の稼げる陶芸家になる。世間に評価される陶芸家になるという目標も達成している。勿論世間の評価や賞が全てではない。でも、金賞を取れる陶芸家なんてほんの一握りに過ぎない。それはそれでひとつの勝利である。八郎は二度も勝利していると言える。 #スカーレット

2020-04-30 22:05:47
窪田浩一 @ko1kubota

どんな分野でも、自身が成功したら次の目標は別のものに移って行く。後進の育成とか、自分が愛したものを世間に広めるとかそういう活動に向かって行く事が多い。それを並行して行う者もいる。ジョージ富士川もそんな1人だ。 #スカーレット

2020-04-30 22:08:49
窪田浩一 @ko1kubota

八郎も自分が陶芸家として満足出来る所に辿り着いてからは喜美子を陶芸家として成功に導くという新しい目標に向かって行く。そして、それには紆余曲折あったけど、結果だけ言えばその目標にも成功する。更に八郎は息子である武志も陶芸家として指導して成功に導いている。 #スカーレット

2020-04-30 22:11:10
窪田浩一 @ko1kubota

八郎は芸術を愛する芸術オタクなので、単に自分が陶芸家として成功する以上に、自分以外の誰かに陶芸という芸術の素晴らしさを伝え、それで陶芸に目覚めた者が才能を開花させて素晴らしい作品を作る事は無常の喜びだったと思う。八郎はその生涯で4度も勝利していると言って良い。 #スカーレット

2020-04-30 22:13:22
窪田浩一 @ko1kubota

しかし、八郎はその勝利とは別にプライベートでは家族を失うという敗北も経験している。しかし、最終的には最愛の家族と再び家族に戻る事も出来た。最終的には八郎は欲しいと思ったものは全て手にしている。八郎こそ人生の完全勝利者だと言えるだろう。 #スカーレット

2020-04-30 22:16:58
窪田浩一 @ko1kubota

一方の喜美子を考えてみよう。喜美子は元々は誰かに使って貰える食器を作り、それでお金を得る事に喜びを見出していた。陶芸家になる気は無い。自分はそんなんじゃないと言い続けて来たが、それは喜美子が抑圧を受けていたからで、最終的にはその抑圧からは解放されて… #スカーレット

2020-04-30 22:22:35
窪田浩一 @ko1kubota

自分の作りたい作品を作ろうとする。喜美子をその抑圧から解放したのは八郎であり、喜美子に陶芸の素晴らしさを教えたのも八郎である。喜美子はその八郎に応える為にも幸せの証としての作品を作りたいと思い、最終的にはそれを達成する。その事において喜美子も勝利したと言える。 #スカーレット

2020-04-30 22:25:55
窪田浩一 @ko1kubota

その事で喜美子は世間に評価されて名声を得たが、喜美子はそれには関心がない。ただ、結果的に陶芸をする事で、お金になり生活が出来る事には感謝している。しかし、その過程で最愛の八郎を失い、幸せの証としての作品を作りたいという作品を作る目的を見失ったと言える。 #スカーレット

2020-04-30 22:29:00
窪田浩一 @ko1kubota

それ以後の喜美子はただ生活の為に陶芸を続け、その過程で陶芸の面白さを再発見しながら、技術的には進歩していったと言えるだろう。しかし、自分の作品が高い値段で売れる事にも疑問を感じていたし、陶芸家として目標も目的も見出せていなかったと思う。 #スカーレット

2020-04-30 22:32:16
窪田浩一 @ko1kubota

しかし、アンリと出会ったり、武志の病気を通して考えが変わって行く。自分が八郎から陶芸の素晴らしさを教えられた様に、自分も誰かに陶芸の素晴らしさを伝えたいと思うようになって行く。喜美子もまた八郎と同じく、自分の成功の先に別の目標を見つけたのだ。 #スカーレット

2020-04-30 22:35:05
窪田浩一 @ko1kubota

しかし、その方向性は素人には良く理解出来ない芸術性を高く評価された陶芸家としては、大きく方向性が異なるやり方の素人相手の陶芸家教室であり、その事からも喜美子は実際には芸術を極めようとか、芸術を極める為には家族を犠牲にするのも厭わないタイプではない事が分かる。 #スカーレット

2020-04-30 22:37:45
窪田浩一 @ko1kubota

喜美子は明示的に、家族より芸術を取る様な芸術家タイプではない。穴窯に取り憑かれて行ったのは、むしろ喜美子が長年の抑圧から解放された反動であって、本来は家族がいて幸せだからこそ、その証として作品を作りたいと思う様なタイプだった。 #スカーレット

2020-04-30 22:40:44
窪田浩一 @ko1kubota

だから、陶芸家としての成功は決して喜美子が望んだものではなく、その成功によって人生が大きく変わってしまった事を考えると喜美子は敗者だと言う事も出来る。そして、そこから喜美子を救ったのは武志であり、八郎であり、家族だった。 #スカーレット

2020-04-30 22:43:11
窪田浩一 @ko1kubota

形は違っても陶芸家として成功したという意味では八郎も喜美子も同じだし、世間の評価とは関係なく最終的には自分が作りたいと思う作品を作る事が出来たという意味でも同じだと言える。でも、八郎がその両方を自分の意思で成し遂げたのに対し… #スカーレット

2020-04-30 22:46:28
窪田浩一 @ko1kubota

喜美子の場合は抑圧からの解放という大きなものに振り回された結果としてそうなったという点では大きな違いがある。また、八郎にとっては世間の評価というのは重荷だったのだが、経緯は別にして最終的にはそれから解放されて自由になれた。 #スカーレット

2020-04-30 22:49:12
窪田浩一 @ko1kubota

それに対し、喜美子はそれを背負い続けているという違いもある。人生を勝ち負けで測る事は出来ない。でも、世間はそれをしたがるものだし、世間は喜美子が人生の勝者で八郎は敗者だと言うかもしれない。しかし、このドラマはそんな事は関係ないという事を描いたドラマだと思う。 #スカーレット

2020-04-30 22:51:22
窪田浩一 @ko1kubota

どちらかと言うとトータルでは勝利をしたのが八郎だと思うし、喜美子は大きな成功をした代わりに大きな敗北もしたと思う。どちらの人生が良かったと言う事は出来ない。突き詰めていけば、八郎は喜美子と出会えた事、喜美子は八郎と出会えた事が最大の勝利だったと思う。 #スカーレット

2020-04-30 22:54:41
1 ・・ 4 次へ