ヨーロッパの図書館は新型コロナ危機にどう対応しているか:EBLIDAの19項目のチェックリストによる調査(2)

欧州図書館・情報・ドキュメンテーション協会連合(EBLIDA)が、新型コロナウィルス(COVID-19)による危機に際し、会員機関などに各国の図書館協会や図書館・情報機関での対応を調査し、共有するため、19項目のチェックリストへの回答を求めました。 すでに作成されている、サービス再開のためのガイドライン類も共有されはじめました。 このまとめでは、特集の3~4回目の回答者の一覧を中心にまとめます。
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EBLIDA Newsletter(No. 6. April 2020)

EBLIDA Newsletter Special issue (3): Guidelines on access policies, personnel security, social distancing and sanitation of collections

「特集(3):アクセスポリシー、職員のセキュリティ、ソーシャルディスタンス及びコレクションの衛生に関するガイドライン 」

  • この号では、19項目への回答ではなく、サービスの平常化に向けて、各国や州レベルで策定されたガイドラインを紹介し、共有しています。
リンク www.eblida.org EBLIDA April 2020 Newsletter: Special issue - Guidelines on access policies, personnel security, social distancing and sanitatio Guidelines on access policies, personnel security, social distancing and sanitation of collections (No. 3) 14

巻頭言より

巻頭言(25 April 2020)

  • 感染症拡大期の中でも、今後、危機を脱した後でも、図書館の実務は3つの要因によって動かされる。

    a. 各国の保健規制は、世界保健機関(WHO)が提供する一般的な枠組みの中で国ごとに異なる。

    b. リスク認識。これは、図書館がどこに拠点をおき、入院患者の半数がどこにいるか(例:サーレ島かイタリアかスペインか)で異なる。

    c. 図書館の空間の大きさと配置は、図書館の施設によって異なる。

  • 各国は、すでに(注:サービス再開に先立ち)図書館での物理的な資料の取り扱いに関する勧告やガイドラインを作成している、興味深いことに、これらの勧告が基本的な点では一致していても、異なる見解を示す点もある。

  • 今号では、ヨーロッパの4カ国で制定されたアクセスポリシー、職員のセキュリティ、社会的な距離感、コレクションの衛生管理に関するガイドラインを示すことにより、ヨーロッパの図書館コミュニティへの有益な洞察を提供したい。

ガイドラインと作成機関


EBLIDA Newsletter(No. 7. May 2020)

EBLIDA Newsletter Special issue: the EBLIDA Checklist in the face of the Covid-19 crisis (4)

「特集(4):COVID-19感染危機下におけるEBLIDA チェックリスト(3)」

リンク www.eblida.org EBLIDA May 2020 Newsletter: Special issue - the EBLIDA Checklist in the face of the Covid-19 crisis (No. 4) - European Bureau of EBLIDA Newsletter Special issue: the EBLIDA Checklist in the face of the Covid-19 crisis No. 4
stk @shima_mossa

EBLIDA欧州図書館・情報・ドキュメンテーション協会連合によるCOVID-19対応チェックリストへの回答第3弾が出ました(5/7付け)。» EBLIDA May 2020 Newsletter: Special issue - the EBLIDA Checklist in the face of the Covid-19 crisis (No. 4) eblida.org/news/eblida-ma…

2020-05-09 16:54:51
stk @shima_mossa

原文読んでいただいた方が誤解がないと思うんです。ツイッターでは、読み手の読みたい部分がクローズアップされて伝わりやすいし…… 肝心のチェックリストの試訳もひどいし、CCライセンスの表示もないから、いま全部は公開できない。

2020-05-10 20:09:00
まとめ ヨーロッパの図書館は新型コロナ(COVID-19)危機にどう対応しているか:EBLIDAの19項目のチェックリストに.. 欧州図書館・情報・ドキュメンテーション協会連合(EBLIDA)が、新型コロナウィルス(COVID-19)による危機に際し、会員機関などに各国の図書館協会や図書館・情報機関での対応を調査し、共有するため、19項目のチェックリストへの回答を求めました。 このまとめでは、19項目の試訳と、特集の1~2回目の回答者の一覧を中心にまとめます。 1867 pv 24 11 users

にありますが、あくまで試訳であり、日本語を読んだだけでは理解しにくいと思われます。原文と対照して読んでいただけると幸いです。


チェックリストに対する回答機関

  • チェックリストへの回答国及びガイドライン紹介国の合計は、全部で18か国になりました。太字は今号掲載。原文では17か国としていますが、18か国の誤りです。
    ABC順にブルガリア、キプロスデンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ラトビア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイスです。

以下の4号に掲載されています。

巻頭言から

巻頭言

  • EBLIDAでは今号でチェックリスト調査回答の掲載を終わりとし、現在、報告書「ポストCOVID-19時代のための欧州図書館アジェンダの準備」を作成しているとのことです。

  • 引きつづき情報の提供を呼びかけています。

  • また、巻頭言のしめくくりに、Ton van Vlimmeren氏(EBLIDA会長)は、

    図書館の復旧は容易ではありませんし、アウトブレイクが終わっても通常の業務に戻ることはありません。世界の多くの国が、文化・教育政策を含む公共政策の優先順位を再設定し、見直す可能性があります。ヨーロッパで活動する組織として、EBLIDAはこれらの動向を注意深く監視しており、図書館がどのようにして積極的に新しい優先事項に対応できるかを探っていきたいと思います。
    この困難な時代に、すべてのヨーロッパの図書館が良き再出発ができるよう祈りたいと思います。

 と、感染症対応後の状況下における新しい優先事項の再設定と見直しの可能性、そして、新しい優先事項への対応手段の探求を述べています。


今号における回答国及び回答者一覧

  • アイルランド図書館協会(アイルランド)
    Library Association of Irelandand and the EBLIDA Checklist by Marian Higgins
    https://mailchi.mp/6be6ba69f5e4/eblida-newsletter-4155773?e=cf0fcc37d0#IE

    (4)で、図書館協会に所属する図書館員がアイルランド社会に対して行ったサービスが紹介されています。
    ・オンライン・ストーリー・タイム、病院への機器の寄贈、公衆衛生の同僚のための3Dプリント顔面シールドの製作、精神保健サービスとの連携によるサービスの提供、オンライン・レクチャーやインタラクティブ・ワークショップ、地域社会の弱者に読み物の入ったケアボックスの配布、オーラル・ヒストリーや現況をアーカイブするオンライン・プロジェクトなどが挙げられます。
    ・感染者の連絡先追跡を含む全国的な対応をサポート(注:これはどういうこと?)
    ・アイルランド全土にコミュニティ支援ヘルプラインが設置され、弱者や孤立した人々のニーズをサポートしていますが、これらのサービスは、多くの場合、図書館員によって運営されています。
    とのこと。

  • ラトビア国立図書館(ラトビア)
    National Library of Latvia and the EBLIDA Checklist by Silva Vucena, Evija Vjatere and Māra Jēkabsone
    https://mailchi.mp/6be6ba69f5e4/eblida-newsletter-4155773?e=cf0fcc37d0#LV
    ・文化省はラトビア国立図書館と協力して、「COVID-19ウイルス拡散を制限するための緊急事態における公共図書館のサービス提供のための勧告」を作成し、学術図書館、特別図書館、学校図書館もまた、これらの勧告を業務に利用するように呼びかけられているとのことです。

    各項目に丁寧な回答がついています。

    (9)と欄外のレポート(https://mailchi.mp/6be6ba69f5e4/eblida-newsletter-4155773?e=cf0fcc37d0#LV2)によると、ラトビア国立図書館とラトビア著作権・通信コンサルティング機関及び作家連盟(AKKA/LAA)は、非常事態の期間中、電子的雑誌・電子新聞ポータルに無料でアクセス可能することで合意したそうです。なお、電子書籍は有償とのことです。

    これに関連して、チェックポイント外のコメントの最後に、
    多くの人達が、遠隔サービスやデジタルサービス、とりわけデータベースやデジタルコレクションの利用に習熟しています。そして、継続して利用していくでしょう。この緊急時こそ、図書館員が新たなスキルを身につけ、遠隔・デジタルサービスの充実を図り、社会に浸透させていくことができるのではないでしょうか。」
    と書かれています。

ほか状況は回答を参照。

  • Bibliomedia 及びBibliosuisse(スイス)
    (注:定訳はないようです)
    Bibliomedia / Bibliosuisse and the EBLIDA Checklist
    By Franziska Baetcke
    https://mailchi.mp/6be6ba69f5e4/eblida-newsletter-4155773?e=cf0fcc37d0#CH

    スイス国内の図書館は5月11日再開予定だそうです。

    (注:https://bibliosuisse.ch/ に主要な動きやガイドライン等へのリンクが掲載されています。ドイツ語もフランス語も不得手ゆえ、詳しくはリンク先をご覧ください)

    (2)によると、雇用者としての図書館の役割、権利、義務に関する法的アドバイスを提供
    (8)によると、孤立した図書館員との関わりと交流のために、Bibliosuisseは、読者と連絡を取り合い、ベストプラクティスの経験を拡散し、読者のニーズを満たす方法について議論するために、オープンなZoomビデオ会議を開催している、とのことです。

Bibliomedia 及びBibliosuisse(スイス)などの、スイスの図書館関係団体について

  • スイスで図書館員をなさっている@kamiyanoさんから、追加情報をいただきました。公用語が4つある国で、みなさんどのように連携しているのか、興味は尽きません。
Nbt Kmy @kamiyano

@shima_mossa いつも情報ありがとうございます。ドイツ圏スイスで図書館員やってます、神谷と申します。スイス図書館員協会Bibliosuisseが「Lesen in Zeiten von Corona(コロナの時代の読むこと、とでも訳しましょうか、多分マルケスの小説タイトルのもじりかと)」というウェブサイトでスイスの図書館 続く

2020-05-12 01:37:17
Nbt Kmy @kamiyano

@shima_mossa ドイツ語かフランス語で読めるようです。

2020-05-12 01:39:38
Nbt Kmy @kamiyano

@shima_mossa 公共図書館の記述が多いです。大学図書館に関しては各大学ごとに見ていった方がいいみたいです

2020-05-12 02:00:34
stk @shima_mossa

@kamiyano ご教示ありがとうございます!Bibliosuisseは専門職団体と考えてよいでしょうか。マルケスの小説タイトルをもじってくるとは、流石ですね。独仏語ともに読めないもので、サイト翻訳で英語にして斜め読みしてみます。翻訳精度がどうかも判断がつかないのが問題ですが……(つづく)

2020-05-12 08:09:19