創作:サラとデルテ

フォロワッさんからリクエストを受けて 5秒で考えました
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ぱすかる❄ @pascal_syan

「我が名は世界を滅ぼす者 ヴォンギルブレポデルテ 人間よ 我に頭を垂れよ………服従を誓うならばお前を生かしてやらぬこともない……」 「ご飯食べる前は手を洗いなさい」 「黙れ人間!我に指図をするな!」 「あ、そこ屈まないとぶつかるよ」 「いたぁい!!!!」

2020-05-09 23:11:05
ぱすかる❄ @pascal_syan

「なんで先に言わないの」 「言ったでしょ ていうか口調とれちゃってるけどいいの」 「我……我おでこいたい たすけて」 「オロ○イン塗るから屈んで」 「うっうっ」 「ここ痛いの?」 「あーんあーん……」 「泣いてないで答える!!」 「いたいです」

2020-05-09 23:12:56
ぱすかる❄ @pascal_syan

「はい しばらくほっとけば治るよ」 「我めっちゃ跡残りやすいけど大丈夫かなぁ」 「世界滅ぼす者なのにそんなに虚弱でどうするのよ……」 「だから毎日肉を喰らうのだ!肩書に負けぬ魔族に我はなるのだ!」 「今日は焼きもろこしだよ」 「どうしてぇ!!!!!!」

2020-05-09 23:14:40
ぱすかる❄ @pascal_syan

「野菜も食べなきゃ強くなれないでしょうが」 「人間の視点で語るな!我に消されたいのか!!!???」 「私消したら人類滅亡するからダメでしょうが」 「…………………冗談だよ」 「はい 手洗って」 「………………」

2020-05-09 23:16:37
ぱすかる❄ @pascal_syan

昔々あるところに、恐ろしい怪物が封印されていました。 名前は■■■■■。悪い魔法使いが、世界を滅ぼすために生み出したと言われています。 ある日、その怪物の封印が、何者かによって解き放たれてしまったのです!

2020-05-09 23:30:04
ぱすかる❄ @pascal_syan

正義の魔法使いたちは、怪物を食い止めるために、あらゆる魔法をぶつけました。 唯一怪物に効いたのは「呪い」の魔法。しかし、呪いの魔法は悪い魔法使いが得意なもの。正義の心を持つ魔法使いたちには、弱い呪いをかけることしかできなかったのです。

2020-05-09 23:32:20
ぱすかる❄ @pascal_syan

例えば。 明日からへんてこな名前になる呪いとか。 おでこをぶつけるとやたら痛くなる呪いとか。 毎日バランスよくご飯を食べないと具合が悪くなる呪いとか……… 正義の魔法使いたちには、それが精一杯なのでした。

2020-05-09 23:33:40
ぱすかる❄ @pascal_syan

当然、そんなもので怪物を止めることはできません。魔法使いも、魔法使いでない者も、みんなまとめて食い殺されてしまいました。 最後に残った魔法使い・カティリーナは、妹を助けるために、怪物に呪いをかけました。

2020-05-09 23:35:23
ぱすかる❄ @pascal_syan

人類を完全に滅ぼしたら、 お前の寿命も尽きるぞ。 彼女は正義の魔法使いでしたが、強力な呪いを怪物にかけることに成功しました! しかし、呪いをかけた反動で、その身は砂となって消えてしまったのでした。

2020-05-09 23:37:13
ぱすかる❄ @pascal_syan

さて、カティリーナには、かわいいかわいい妹がいます。 名前はサラ。魔法の才能はありませんが、子どもたちを躾ける才能に恵まれた女の子です。 そして最後に残った、たった一人の人類でもあるのでした。

2020-05-09 23:39:00
ぱすかる❄ @pascal_syan

「……姉貴は馬鹿だよ」 「カティリーナのことか」 「あのときさ、私と姉貴しか生き残りがいなかったでしょ?なのに姉貴……土壇場であんな呪いをかけるなんてね」 「我からお前を守りたかったのではないのか」 「そう、それ!それが馬鹿なの!」

2020-05-09 23:41:02
ぱすかる❄ @pascal_syan

「……何もかもみーんな食べちゃった怪物と、何もかも失った私が、二人きりで生きることになるんだよね!……それがどんなに地獄か、姉貴には想像つかなかったのかな」 「無我夢中だったんじゃないのか。 人間、同胞を守るときのガッツはすごいぞ」

2020-05-09 23:43:40
ぱすかる❄ @pascal_syan

「そりゃあね。人間には心があるし、愛だってあるもの。大切な人を守るためなら、私だってガッツ出すわ」 「お前はそのガッツを出したカティリーナを侮辱しようとしている。人間的にそれはアリなのか?」

2020-05-09 23:45:26
ぱすかる❄ @pascal_syan

「……呪いってね。悪い心が生み出す魔法なんだって。姉貴は正義の魔法使いなのに、なんで強い呪いを生み出せたんだろう?」 「………天才だったとか?」 「ポジティブか?」 「前向きになる呪いをかけられた」 「呪いじゃなくて長所じゃない?それ」

2020-05-09 23:47:53
ぱすかる❄ @pascal_syan

「私……姉貴と、仲悪かったんだよね」 「……そうなのか?」 「姉貴からよくいじめられてた」 「例えば?」 「おもちゃ取り上げられたり、絵を破かれたり、殴られたり、パンツにうんこの絵描かれたり……」 「我から見ると星のように小さいぞ スケールが」

2020-05-09 23:50:00
ぱすかる❄ @pascal_syan

「とにかく、仲が悪かったわけ。姉貴の呪いも、きっと私に対する意地悪だ」 「意地悪で命拾いとは、人間にしてはセンスが良いな。我そういうの好きだよ」 「前向きだなぁ」 「そういう呪いだ」

2020-05-09 23:51:40
ぱすかる❄ @pascal_syan

「私ね……姉貴のことも、君のことも嫌いだよ」 「嫌われても平気だもん………ぐすっ………あっ違う!傷ついてないぞ!これも呪いの影響で!」 「あはは、冗談だよ」 「ほんと?」 「いやごめん、やっぱ嫌い」 「うわーーーーーーー!!!」

2020-05-09 23:54:10
ぱすかる❄ @pascal_syan

「あんな姉貴でも、私の家族だったからね。死ぬきっかけになった君のことは……」 「恨んでいると」 「うん。そして、馬鹿みたいな呪いかけて姉貴も恨んでる。私が苦しむのを、空の上から笑ってそうだなぁ」

2020-05-09 23:56:11
ぱすかる❄ @pascal_syan

「笑っているなら幸せなのだろうな、カティリーナは」 「だからさ……私、君と仲良く暮らすことにした。意外と楽しそうにしてたら、気に食わないだろうから」 「死んだ人間に仕返しか。なるほど、我からするとものすごく無駄な作業に見えるぞ」 「だまらっしゃい!」 「いたい!」

2020-05-09 23:58:13
ぱすかる❄ @pascal_syan

「それと、君の躾もする」 「ええ!?」 「これは君に対する仕返し。………ご飯食べるときクチャクチャして嫌だし、そこから直してもらうね」 「我そんなにみっともなくご飯食べてないもん!!!」 「みっともないと思う感性はあるのね………」

2020-05-10 00:00:54
ぱすかる❄ @pascal_syan

「さてと、休憩はもう終わり。畑に水やったらご飯にしようね」 「野菜はできるのが遅い割においしくないから嫌いだ」 「子供ねぇ〜」 「千年は生きてるぞ、口を慎めにんげ………ああっ虫!!!ダンゴムシ!!!!いやーーー!!!」

2020-05-10 00:03:16
ぱすかる❄ @pascal_syan

「デルテ 掃除して」 「あの鹿を食べればいいのだな!任せろ!」 「任せろ!じゃなくて!この街の掃除をしてほしいの」 「汚れてなんかいないが」 「この黒いの、何だと思う?」 「人間の血だ。乾くとこうなる」

2020-05-10 00:15:54
ぱすかる❄ @pascal_syan

「人間にとって、これは汚れなの。ばっちいの。衛生的じゃないの。だからね、汚した人がちゃんと掃除しなきゃ」 「人間は潔癖症だなあ」 「少しずつでいいから、磨いて落としていって。頑張ったぶんだけお肉を増やします」 「我がんばるね!」 「えらいぞ」

2020-05-10 00:17:40
ぱすかる❄ @pascal_syan

「サラも掃除をするのか」 「そりゃあね」 「? サラが汚したわけではないだろう。なぜ掃除をする必要がある?」 「お手伝い。君ひとりじゃ何日もかかりそうだしね」 「おてつだい…………」

2020-05-10 00:20:21
ぱすかる❄ @pascal_syan

「我、世界を滅ぼす仕事を一手に担ったわけだが」 「うん」 「誰も、おてつだいしてくれなかったぞ。我もしかして嫌われてる…?」 「人間には嫌われてるよ」 「えーーーーーん!!!!」 「泣いたから水汲みに行かなくて済むね〜」

2020-05-10 00:22:01
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