「ホロコーストとイスラエルを考える」パネルディスカッション編
「鵜飼:シンポジウム開催の背景には、ガザ空爆を受けて我々のイスラエル観の転換が迫られたことが挙げられる。サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ』のタイトルに、我々の時代の問題意識が現れているように思う。」
2010-04-18 15:28:03「イスラエル/パレスチナ紛争は、今決定的な転機を迎えている。19世紀以来のシオニズム運動とイスラエル建国との関係を、根底から検討しなければいけない時期にきている。ラヴキンの著作は、その時期において決定的な重要性を持つ。」
2010-04-18 15:28:09「ユダヤ教の信仰、その凄まじさを伝える意味でも重要な著作である。フランス文学、現代思想を研究するものとして、フランスの例をあげたい。」
2010-04-18 15:28:19「フランスにおけるユダヤ人思想家モランが、反イスラエル思想のために告発される、といった事態が発生した。この事件は大きな転機であって、「事態は一線を越えた」という印象をもった。」
2010-04-18 15:28:25「私にもユダヤ人の友人がおり、その多くはイスラエルに対して批判的なのだけれど、その友人からこのような言葉を聞くことが大きくなった。第二次インティファーダ以来ですけれども、「イスラエルこそが反ユダヤ主義だ」、と。」
2010-04-18 15:28:33「重い意味をもつ、この言葉を論争的な言葉として受け売りで使うことは許されない。この言葉をどう受け止めるか、ということが問われている。」
2010-04-18 15:28:38「芝氏は日本におけるホロコースト研究の第一人者。『ショアー』日本上映に際して、芝氏に協力いただいた。それ以来の付き合い。著書『ホロコースト』は優れた研究所。」
2010-04-18 15:28:50「岡氏は、パレスチナ連帯運動の中で、翻訳、字幕作成に携わってきた重要な活動を展開。ガザ爆撃に対する反対行動など。『アラブ、祈りとしての文学』の著者。」
2010-04-18 15:28:59「徐氏は、作家。在日朝鮮人二世の立場から植民地主義についての重要な原論活動を展開。と同時に、20世紀における同時代の問題としてイスラエル/パレスチナ問題へ高い関心を持っている。」
2010-04-18 15:29:35「芝:ドイツの近現代史、特にナチスを研究。日本のドイツに対する関心、特にハイカルチャー的な関心とは全く異なるフィールドにおいて研究活動を展開してきた。」
2010-04-18 15:29:43「特に親衛隊、ナチの暴力組織の研究から始まり、その犠牲者であるユダヤ人への問題関心、ホロコースト、戦争犯罪全体とその裁きの歴史について関心を抱いて来た。」
2010-04-18 15:29:56「大学に入ってくる学生の、ホロコーストに対するイメージの最大公約数、というのは、さしずめ、ヒトラー、アウシュヴィッツ、アンネ・フランクの三語に要約されるのではないか。」
2010-04-18 15:30:05「日本に置ける関心、ユダヤ人問題への関心が、特定の人物(アンネ・フランク)に固定されていて、なかなか広がらない、という問題がある。少女の悲劇がイスラエル建国、イスラエルの軍国主義の正当化に利用される。」
2010-04-18 15:30:36「文学、美術、哲学、科学等の分野において傑出したユダヤ人の名前があげられる、ということは多いのだが、そこに理解が限定され、ユダヤ人の多様性理解が非常に貧困。」
2010-04-18 15:30:50「特にシオニズムに対して批判的なユダヤ人の存在についての知識が皆無。非シオニストのユダヤ人ということで、プリーモ・レーヴィ、マレク・エーデルマンなど。」
2010-04-18 15:31:00「日本人にとっては日本の東アジアに対する戦時行動はホロコーストと比べればましである、イタリア人にとっては、ムッソリーニはヒットラー程には反ユダヤ主義ではない、といった形で消費、受容されてきた。」
2010-04-18 15:31:11「1995年、『ショアー』日本上映を機に、ホロコースト研究が盛んになった。シオニズムの研究そのものも、日本においては著についたばかり。」
2010-04-18 15:31:17「日本に置ける、ホロコースト理解の単純さ。シオニストとナチスとの間に、パレスチナ移送の密約がなされていた、ドイツ総力戦のために資金獲得の必要があり、シオニストの協力が必要であった、といった複雑な事実もある。」
2010-04-18 15:31:25「ドイツにおいても、シオニストのこうした側面について研究することはタブー視されている。日本に置ける、特定の個人に限定され、また極端に単純化されたホロコースト理解の問題性を指摘したい。」
2010-04-18 15:31:32「岡:パレスチナ問題を思想的な立場から発表したい。1月27日は、アウシュヴィッツの解放がなされた日。今年、62回目のアウシュヴィッツ解放記念日に際して、例年通り各国の代表が声明を発表。」
2010-04-18 15:31:38「オバマ大統領は「ここで起きた暴虐非道を記憶することは、我々の聖なる責務である」と発言。この雄弁さに対して、大統領就任前、昨年初めのガザに対する沈黙を思い出したい。」
2010-04-18 15:31:43