『ボーン・アイデンティティー』編 第二回【映画作品の構成についてあーだこーだ言う会】

ツイッター上にて【映画作品の構成についてあーだこーだ言う会】の第二回が行われました。 課題作品は、脚本構成に革新的な変化を与えたとも言われる『ボーン・シリーズ』第一作、『ボーン・アイデンティティー』です。
4
狂猫病 @kyobyobyo2

・国家権力に追い回される ・ローマでベスパ といったところです これだけだとただのオマージュって気もするんですが、作品テーマが「生まれ変わり」という点が最も重要だと考えます #物語構成あーだこーだ pic.twitter.com/Ag1VPn7klS

2020-05-16 21:57:48
拡大
拡大
狂猫病 @kyobyobyo2

『ローマの休日』における散髪は 「自己の身体性の決定」 ということで、自分の決断に責任を追う、つまり「大人になる」という意味合いでした 『ボーン・アイデンティティー』において、マリーはボーンに散髪させます つまり、ボーンの手によってマリーは生まれ変わりを遂げる #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:02:08
狂猫病 @kyobyobyo2

マリーはボーンが記憶を失ってから得た唯一の友人で、それを自分の手によって「転生させる」ということに、非常に大きな意味があります これによってボーンはマリーを守る強いモチベーションを得ることになり、後半のプロフェッサーやコンクリンとの戦いに意義が生まれています #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:06:45
横紙やぶり @d_yokogami

@kyobyobyo2 MP以降で、マリーの2幕、つまり非日常の世界が始まるわけですが、日常の世界から離れた人物はそこで象徴的な死を迎える。それが、身体の一部の欠損で表現されてると私も思いました。 #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:08:18
狂猫病 @kyobyobyo2

@d_yokogami まさにそれですね 私はもう絶対に「散髪ミッドポイント説」を推したい 譲りませんよ(笑 #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:10:50
横紙やぶり @d_yokogami

@kyobyobyo2 狂猫病さんの考えは分かります。 雰囲気なら、あそこのラブシーンのほうがMPに相応しい。 私なら、そういう風に書きます。 でも、MPの「中間での転換点」という機能を考えるなら、私のほうかなと(笑) #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:16:45
狂猫病 @kyobyobyo2

@d_yokogami ラブシーンということで思い出しましたが、あの市警とのカーチェイスはすごくラブシーンっぽく撮られていますね マリーの喘ぎがやたら色っぽいし、よそ見するとボーンが叱るし、終わった後の雰囲気が完全に事後 #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:19:57

オープニングとエンディング、神話

横紙やぶり @d_yokogami

『ボーン・アイデンティティ』のオープニング。 ボーンが嵐の海から救出されるシーンは、死と再生、記憶を喪失したボーンの新たな人生が始まるメタファーじゃないかな。 後にそのーシーンは、ボーンが撃たれて(死)漂っていたと分かるしテーマにふさわしいオープニングだと思う。 #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:05:07
狂猫病 @kyobyobyo2

@d_yokogami エンディングがミコノス島の海辺というのも、オープニングからの「振り」ですよね 海で死に、海で生まれて、海辺に帰っていく 本編の戦いが徹底して陸地で行われていることにも繋がっていると思います #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:13:26
横紙やぶり @d_yokogami

@kyobyobyo2 ギリシアの島だったんですね。 『ボーン・アイデンティティ』は、SAVE THE CATで言う「難題に直面した凡人」、いわゆる脱出ものや巻き込まれ系と言われるジャンルですね。 このジャンルの祖先って、テーセウスの神話だと思っているんですが、その舞台のクレタ島に近いですね。 #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:23:56
狂猫病 @kyobyobyo2

@d_yokogami 神話はあまり詳しくないのですが、ざっと調べた感じだと ・プロメテウス(追放者) ・オデュッセイア(漂流、報復) ・オイディプス(捨て子、父殺し) あたりと関連があるのかなって思ってました #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:28:48
横紙やぶり @d_yokogami

@kyobyobyo2 私もまだ断言できないのですが、物語のあらゆる原型は神話で出揃っているのかなと思ってます。 人間が出会うテーマって大きく分けるといくつかあって、そのそれぞれに神話があり、そのテーマを表現しようとすると論理的に共通する設定ができるのかなと。 #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:37:05
横紙やぶり @d_yokogami

狂猫病さんの構成に追加すると、 ピンチ1がパリのアパートでジョン・マイケルケーンの情報を得るところ、 ピンチ2がワンボージの死を知るところかなと。 #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 23:18:08

※注
ピンチとは、第二幕前半・後半のそれぞれの中間点にあるイベントのこと

ヒロイン・マリーについて

狂猫病 @kyobyobyo2

#物語構成あーだこーだ ②【物語上でのマリーの役割】 『ボーン・アイデンティティー』のヒロインであるマリーは、物語を進める上でどのような役割を担っているでしょうか。 ・どのような決断を下しているか ・なぜ主人公ボーンと惹かれ合うのか という点についても考察してみましょう。

2020-05-09 22:01:36
横紙やぶり @d_yokogami

マリーは「アリアドネの糸」。 ヒロインは、主人公の問題解決の手助けと、「帰還」した時の新たな現実との繋がりになる。 #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:26:41
狂猫病 @kyobyobyo2

マリーというキャラクターについて、個人的に掘り下げて考えてみました なぜボーンと惹かれ合うのか、という点において物語上の必然性がどのように設定されているかです #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:34:21
狂猫病 @kyobyobyo2

登場時点でマリーはかなり強引な手段でアメリカに渡ろうとしており、金欠に目をつけられてボーンと結びつきます 彼女は祖母と義弟以外の血縁が辿れず、住所もヨーロッパ中を転々として納税やカードの記録も乏しいため、CIAのコンクリンは露骨に顔をしかめて嫌悪します #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:39:29
狂猫病 @kyobyobyo2

彼女は「権力から忘れられた存在」です 自由な人生と言えば聞こえがいいですが、実際には苦しい経済状態に加え、友人関係も疎遠になっていたことが言葉の端々から窺われます マリーは自分が「誰からも忘れられた存在」であることを、どこか過去の時点で自覚していたはずです #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:44:43
狂猫病 @kyobyobyo2

マリーは物語開始時点で「生まれ変わり」を強く望んでいたということになります(アメリカ行きもその表れ) そして目の前に現れたボーンは、「生まれ変わり」を遂げた人間そのものです ここに、マリーがボーンに惹かれたきっかけが一つあります #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:48:00
狂猫病 @kyobyobyo2

パリのアパートに到着した場面が秀逸な会話です すでにここで、マリーは報酬としての金を望んではいません(催促したように見えたのはボーンの勘違いで、実際には引き止めてもらいたがっている) ボーンの感謝に「いつでも(Anytime)」と答えたところでボーンも気がつきます #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:52:31
狂猫病 @kyobyobyo2

「ここで待ってる?」と問うボーンに 「私のことなんて忘れちゃうでしょ」と答えるマリーにはコンプレックスと臆病さが滲んでいます 「君は僕が知ってる唯一の人だよ。忘れられるもんか」 というボーンの返答が天然ジゴロ #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 22:56:35
狂猫病 @kyobyobyo2

ボーンの手によって「生まれ変わり」を遂げたあと、二人の関係に亀裂が生じます ボーンの暗殺者としての過去が明らかになったところからです これは、ボーンが本来は権力側の人間であることが判明したため そして記憶が戻れば自分が忘れ去られることを恐れているためでしょう #物語構成あーだこーだ

2020-05-16 23:00:33