シャンソン「Tant que vivray」考
別の説明として、フェンリャーナが盲目だったという事実とは無関係に、彼がTant que vivrayの原曲パート譜にアクセスしづらい環境にあったのではと考えることも可能です。スペリウス声部の記憶を頼りに、対位法の基本的「お約束」とビウエラの「手ぐせ」に依拠して、出来上がった編曲がこれなのでは?
2020-05-19 22:12:23フェンリャーナのTant que vivrayの編曲は、彼の作品中最も演奏頻度の高いものですが、それと裏腹に、彼の他の声楽編曲や自作のファンタシアを弾いた後、改めてこの曲に立ち戻った時に、どうしてもある種の「弱さ」を感じてしまいます。ですがそのことで編曲者を責める気には、やはりなれないのです。
2020-05-19 22:35:20・ビアンキーニのリュート用
フェンリャーナの曲集と同年に、ヴェネツィアで出版されたD.ビアンキ―ニのリュート曲集。現時点でイタリア語圏内の出版譜に現れた唯一の「Tant que vivrai」(イタリア式綴りに注目!)ですが、またしてもスペリウス以外の声部は自由に処理されています。これが当時の器楽奏者たちの自然な反応でしょう。 pic.twitter.com/pF0GLzPkDZ
2020-05-20 00:47:34ファレーズのシターン用
これは4コースのシターン用に編曲されたTant que vivrayで、1570年にルーヴァンのファレーズが出版したもの。ファレーズにはこれより前に出たリュート用編曲もあります。シターン版は再版を重ねて1582年に出たものが最後。つまりこのシャンソンが大衆に認知されていたのも、概ねその頃まででしょう。 pic.twitter.com/c7UfacKG8K
2020-05-20 09:38:58まとめのまとめ
これまで長々と書きましたが、お伝えしたいTant que vivrayの要点は以下です。①セルミジの作曲と明記する16世紀の資料は初版の数年後に出た一点のみ②器楽用の編曲は早くから出たが、概ねフランス語圏に限られる③器楽奏者たちはスペリウス優先で自由に編曲する傾向あり④この曲の流行は50年ちょっと twitter.com/smrtaccompanis…
2020-05-20 09:42:21#SA新着情報 坂本龍右さんによるセルミジのTant que vivrayが公開となりました!a=415のルネサンスリュートによる演奏です。ふだん聴き専の方でも楽しく気軽に口ずさめます(免疫力も高まるらしい)!もちろん奏者の方も初学者からディミニューショニスト?まで幅広にお勧め! filmuy.com/smartaccompani…
2020-05-13 12:12:47いかがだったでしょうか?今回 #SA 用にTant que vivrayのリュート伴奏の動画を撮るにあたり、この曲に関する当時の資料を調べていくと、次々に面白い発見がありました。どうしても後半は器楽奏者の側に偏った内容が並びましたが、できればこれを歌われる方々にも、参考にしていただければと思います!
2020-05-20 09:56:30