渡邊教授(ynabe39)の心理学のやりとり・・6月20日

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渡邊芳之 @ynabe39

少なくとも「もともと科学であったわけではない学問」については「科学的であること」はあくまでも方法論の問題であって研究対象や研究テーマの選択とは別の問題だし,「科学的な方法にはなじまないが研究できるテーマ」があってもかまわないと思う。

2011-06-20 10:05:54
渡邊芳之 @ynabe39

私が「自分たち心理学者が科学でない研究をやる権利」を留保することを目的に長年にわたって「科学とはなにか」ということを勉強し考え続けていることは自分で考えても面白いことである。

2011-06-20 10:07:42
渡邊芳之 @ynabe39

ただ自分のスタートが「もっと科学的になること」だったことは忘れてはいけない。このテーマで最初にやった学会発表のタイトルは「パーソナリティ理論の実証的再構成に向けて」(1988年社心大会)だったのだ。

2011-06-20 10:11:35
渡邊芳之 @ynabe39

「心理学は行動の科学だとか言ってるけど全然科学じゃないじゃないか,とくにパーソナリティ心理学とか,こいつらをなんとか懲らしめなければ」というのが四半世紀にわたる私の研究のスタートだったのだ。

2011-06-20 10:13:31
渡邊芳之 @ynabe39

それを考えているうちに「あれ?別に科学でなくてもいいんじゃないの?」と思い始めたのが1990年代に入ってからで,それと質的心理学の流行は時間的に並行していた。だから私も「質的心理学の人」と思われることが多いが,研究の目的や指向性はずいぶん違っていたし今もそうだ。

2011-06-20 10:17:48
渡邊芳之 @ynabe39

「アプリオリに科学的でなければならない」んじゃなくて「科学的であることによって研究が発展すると考える人が科学的になる」でいいと思うんだ,少なくとも「もともと科学ではなかった学問」については。

2011-06-20 10:27:37
渡邊芳之 @ynabe39

ただ心理学については「もともと科学になることを目指してスタートした新しい学問である」という特殊事情がある。

2011-06-20 10:28:23
だいひこ @daihiko

科学的ではない心理学があっても別に構わないが、質の低い質的心理学の研究が多いという偏見を僕は持っている。

2011-06-20 10:31:54
渡邊芳之 @ynabe39

科学的な方法を用いないで客観性を確立し研究者個人の視点を相対化することは「科学になるよりずっと難しい」ことで研究者の頭がよくないと失敗する。 RT @daihiko: 科学的ではない心理学があっても別に構わないが、質の低い質的心理学の研究が多いという偏見を僕は持っている。

2011-06-20 10:41:04
渡邊芳之 @ynabe39

現代においてあえて「科学でないこと」を選択して成果を挙げるためには研究者自身がとても優秀でかつ厳しい自己批判を伴わなければいけないだろうとは思う。質的心理学が「天才にしかまともな研究ができない」といわれたのはそのため。

2011-06-20 10:46:01
だいひこ @daihiko

そういうことだよね、ふつうのひとは科学的心理学を追求したほうが結果的にいい研究ができる。

2011-06-20 10:48:50
渡邊芳之 @ynabe39

だから学部や修士課程では科学的な方法をきっちり教えるべき。その上で「自力で科学的方法の問題点に気づいた人」に他の選択肢が用意されていればよい。 RT @daihiko: そういうことだよね、ふつうのひとは科学的心理学を追求したほうが結果的にいい研究ができる。

2011-06-20 10:53:02
渡邊芳之 @ynabe39

科学とは民主的なもの。全入時代の大学や乱立した大学院にまず必要なのは科学だと思う。それ以上のものは「必要な人が自由に選択できるようにする」ことが大切。

2011-06-20 10:56:28
daigaku-nekoΦωΦ @Manyaces

@ynabe39 客観的にしたければ自然科学的な方法に近づけることがベターであって、何らかの理由でそれができない、もしくは客観性に意味がない問題の場合に用いるのが質的アプローチ、と考えるのは、自然科学志向に偏った考え方かと懸念しておりました。そうではないと考えてもよいでしょうか?

2011-06-20 10:54:56
渡邊芳之 @ynabe39

「客観性」はすべての「研究」に欠かせないものです。ただ客観性の達成方法は自然科学的方法だけではないよ,という話。このことは「心理学方法論」(朝倉書店)にランダムサンプリングとの絡みで詳しく書いた。 @Manyaces

2011-06-20 10:58:20
渡邊芳之 @ynabe39

なんらかの意味で客観性を担保できないものは「研究」とはいわない。「文系の学問」は自然科学の誕生以前からさまざまな方法で客観性を担保しようとしてきた。「何を言っても認められるものは研究ではないし学問ではない」ということは大昔からどんな学でも同じだったはずだ。

2011-06-20 11:02:38
daigaku-nekoΦωΦ @Manyaces

@ynabe39 私が知っている質的心理学研究をする方たちが以前、客観性は担保不可能という趣旨のことをおっしゃっていたように思っていたのですが、それは私の勘違いか、先生のお考えとは違っているだけ、ということでしょうか?

2011-06-20 11:07:18
渡邊芳之 @ynabe39

私の考えと違うのだと思います。私は「質的な人」ではないので。 RT @Manyaces: 私が知っている質的心理学研究をする方たちが以前、客観性は担保不可能という趣旨のことをおっしゃっていたように思っていたのですが、それは私の勘違いか、先生のお考えとは違っているだけ、というこ…

2011-06-20 11:08:53
子鬼 @tak_konn

@ynabe39 「科学とは民主的なもの」というあたり、もう少し伺いたいのですが。

2011-06-20 11:07:59
渡邊芳之 @ynabe39

一定の手続きを踏めば誰でも基本的なことはできる,という意味です。 RT @take_koni: 「科学とは民主的なもの」というあたり、もう少し伺いたいのですが。

2011-06-20 11:09:33
渡邊芳之 @ynabe39

「心理統計が理解できない程度の頭で質的研究などできるるわけがない」。これは何度でも強調しておかなければいけないことです。

2011-06-20 11:11:35
子鬼 @tak_konn

@ynabe39 なるほど。質的な研究だとしても、思想家の思弁、職人や芸術家の世界とは違うと。

2011-06-20 11:12:38
渡邊芳之 @ynabe39

ですです。「研究」なんですから。まあこれはあくまでも私の考えで質的研究の人には「芸術」だと思っている人もいるかもしれない。 RT @take_koni: なるほど。質的な研究だとしても、思想家の思弁、職人や芸術家の世界とは違うと。

2011-06-20 11:14:06
渡邊芳之 @ynabe39

でも「アート」だというなら全員最低でもやまだようこさんの「家族ライフストーリーが語られる場所としての墓地」レベルのことはやってくれないと。

2011-06-20 11:15:36
子鬼 @tak_konn

@ynabe39 ちなみに僕は臨床家なんで、自分の仕事はアート(芸術~職人技能)だと思ってます。研究発表するときは、科学っぽい作法に従いますが。

2011-06-20 11:20:02
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