「表現の自由戦士」と形容されているのは何者か、あるいは何者と認識されているのか 能川元一氏の発言を中心に
「ネット右翼」への前提となる認識
まあ先行研究との連続性の問題もあろうし、やたらと質問項目増やすわけにもいかないのかもしれない(そのあたりは不案内なので)ので、あまりないものねだりするべきではないのだろう。ただ、今後の課題の一つがここにあるのではないかな、とは思う。
2019-07-22 18:26:39山口さんが第5章でN国について指摘している「生活保護批判」もいやというほど見せつけられてきたものの一つだ。 「ネット右翼」研究が在特の存在によって触発されたこと(山口さんも指摘)や、参照される先行研究が欧米の排外主義研究だということの影響だろうか?
2019-07-22 18:23:59気になるのは、広義のネット右翼のうち保守志向が弱いクラスタをオンライン「排外主義」者と規定している点。たしかに排外主義はネットの右派的言説の主要な要素の一つだが、あしかけ15年くらいネット右翼を見てきた実感からすると「それだけじゃないのでは?」という疑問が湧く。
2019-07-22 18:20:19ネットで活動する右派のなかにも「保守的政治志向」の強弱があるというのは直観的にも「まあそうだろうな」と思うし、データによって二つのクラスタを区別できたことは今後の研究にも活かしていくことができるのだろう。
2019-07-22 18:15:47その意味で本書第1章、第2章のような研究が知見を積み重ねていっているのはありがたい限りだ。 他方で、古くからネット右翼の言動を追いかけてきたひとのなかには、第1章で用いられている「オンライン排外主義者」というカテゴリにどうも座りの悪さのようなものを感じたひとがいる。私もその一人。
2019-07-22 18:12:56まあこれは「言説」として現れたものだけを分析の対象としている以上、必然的な限界だ(と思っていたのだが、第3章の樋口直人さんの調査方法は「ああ、その手があったか!」と思わされた。私自身、フェイスブックよりツイッターの方が圧倒的に利用頻度が高いことによるバイアスで見落としてたのか)。
2019-07-22 18:07:04私が「ネット右翼」について書いていたのは2007年から2013年くらいまでで、その後は右派言説の“上流”に位置する右派論壇人に重点を移して現在に至るのだが、当時も「ネット右翼とは現実世界ではどのような人間なのか?」は(「行動保守」の主な活動家を除けば)まったく手を出せない問題だった。
2019-07-22 18:03:58せっかくなので『ネット右翼とは何か』(bit.ly/2LA6s16)についてもう少し連ツイ。 第1章と第2章は2017年に行われた約8万人規模の調査(2章はそのうち東京都在住者分)を分析したもので、この点が本書のセールスポイントの一つとされている。
2019-07-22 18:00:55山口さんは在特や日本第一党を「ネット右翼が政治運動に直結した姿だという考え方」に拘泥することの問題点を指摘されているが、私も同感。「ネット右翼とはどのような人々なのか?」と並行して、ネット右翼の主張の広がりとそれら主張の論理的連関について、まだまだ明らかにすべきことがある。
2019-07-22 13:35:53今春の統一地方選で議席を獲得したN国がアンチ生活保護の政策を掲げていたこと、また一見NHK批判「だけ」にみえるNHK関連の主張の中に歴史修正主義的な嘘(「JAPANデビュー」訴訟についての)があることを指摘されているのが『ネット右翼とは何か』の山口智美さん(終章)。bit.ly/2LA6s16
2019-07-22 13:33:05ここでもN国が公約の最後にアンチ生活保護の主張をおいていることがスルーされている。N国の右翼性を明確に示す主張なのに。/『NHKから国民を守る党』はなぜ議席を得たのか?(古谷経衡) - Y!ニュース news.yahoo.co.jp/byline/furuyat…
2019-07-22 13:27:57自分の研究に関係する本の書評がいくつも載っているので買った『図書新聞』11月16日号だが、8面〜7面にかつて「日本の戦後責任をハッキリさせる会」(ハッキリ会)のメンバーだった方(現在は在欧フリー記者とのこと)のコラムが掲載されていた。まさかハッキリ会の話が読めるとは!
2019-11-21 01:12:44で、その号に載っている書評の一つが『ネット右派の歴史社会学』(伊藤昌亮、青弓社)の辻大介氏による評。 ところが「バックラッシュ保守」への「サブカル保守」の接近について触れているところで奇妙な記述が。
2019-11-21 07:20:24「他方、そのことはサブカル保守と既成右翼系および新右翼系との間に新たな反目の種をもたらす。既成右翼系クラスタは歴史修正主義にはむしろ批判的であったし(二一〇)」と。えっ? 既成右翼が歴史修正主義に批判的?
2019-11-21 07:20:24で、同書の210ページを見ると、ネットの「新右翼系クラスタを代表する存在」として位置づけられている掲示板「右翼共和派」が「大東亜戦争」史観にも与さないと宣言していたことが指摘されている。それだけである。
2019-11-21 07:20:24「新右翼系クラスタを代表する存在」についての記述をベースに「既成右翼系」が歴史修正主義に批判的だと書いてしまうのは時間の制約によるテクストの誤読もあるのだろうが、それを抜きにしても疑問符がつく記述だ。
2019-11-21 07:20:25既成右派論壇でもかつては歴史修正主義に批判的な論考が掲載され「論争」が生じていたことは、上丸洋一氏の『『諸君!』『正論』の研究』(岩波書店)でも指摘されている。が、はたして「むしろ批判的」だったとまで言えるだろうか?
2019-11-21 07:20:25辻氏の2007年の調査(ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/… で2014年の調査とあわせて報告されている)は計量系の研究の先駆で、この調査で採用された操作的定義は『ネット右翼とは何か』(青弓社)の第1章、第2章で援用されている調査においても踏襲されている。
2019-11-21 07:20:25これはまだ先行研究がない段階で、「最大公約数的」な特徴とされているが、いま見ると当時ちょうど話題になり始めていた在特会のパブリックイメージに強く方向づけられているように見える。
2019-11-21 07:20:26当時すでに歴史修正主義(在特の主張にもバッチリ含まれていた)は主流メディアにも露出し政界でもなにはばかることなく活動できる状態になっていた一方、在特会の排外主義的な主張は“わかりやすく差別的”であり、多くの批判がもっぱらこの点に向けられていたからだ。
2019-11-21 07:20:26この点は以前に twitter.com/nogawam/status… 以下のツイートでも少し述べたことだが、結果として排外主義以外の特徴に十分な関心が払われない結果になっているのではないか、という感じがしてならない。
2019-11-21 07:20:26