若槻泰雄『排日の歴史』読書メモ集

若槻泰雄『排日の歴史―—アメリカにおける日本人移民』(中公新書、1972)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

若槻泰雄『排日の歴史』読了。明治中葉からアメリカを新天地として求めた日本人移民。彼らが受けてきた人種差別の歴史をたどる。いい新書だった。この本で触れられている「写真結婚」は、有島武郎『或る女』での葉子と木村の関係に近いのだろう。

2020-05-29 20:48:11
荒木優太 @arishima_takeo

知ってる人は知ってることが、私は、人種に関する話題ですぐに批判対象を「ナチス」で括る言論に批判的なわけだが、それは一つにはナチスほどの徹底とは異なることは勿論のこと、人種差別といえばナチスという紋切型理解が、むしろ人種問題の根深さを捨て去ってしまっていると思うからだ。

2020-05-29 20:52:21
荒木優太 @arishima_takeo

そういう意味で『排日の歴史』は、わざわざドイツまで足を伸ばさなくてもエグイ現実あったじゃん、ってことを教えてくれる良書なので人々は読むといい。現在絶版のようだが。

2020-05-29 20:53:54
荒木優太 @arishima_takeo

それにしても、黄禍論で日本人移民ががっつり差別され、原爆まで落とされたのに、右翼もふくめて戦後の人々はよく親米になれたよなと思うね。別に皮肉でもなくて、私もアメリカ人に対して特に際立った感想もないので、この淡白さには自分でも驚く。

2020-05-29 20:57:38
荒木優太 @arishima_takeo

『排日の歴史』を読んでいて一つ気になったのは、アメリカ人が日本人種を形容するとき、彼らは誇り高い民族だから我々と簡単に融和しない!(だから入れるな)、というロジックが多いように思えること。

2020-05-29 21:01:11
荒木優太 @arishima_takeo

これは、純血のなかに汚らわしい民族の血を入れるな、というタイプの、それこそナチス的な(?)人種差別ロジックとはやや異なる気がするが。

2020-05-29 21:02:08
荒木優太 @arishima_takeo

そのロジックを支えているのは、外国のなかの「日本人」言説の特殊性なのか、はたまた、移民国家アメリカの「雑」性を前提にしたものなのか。ここ興味深い。

2020-05-29 21:03:55
荒木優太 @arishima_takeo

人種差別の語りの型研究みたいなのもすでにあるんだろうが、純粋な俺たちを汚すな系とあいつらが純粋すぎるんだ系は分類していくとなにかの傾向性が浮かび上がってきそうな気もする。

2020-05-29 21:06:28
荒木優太 @arishima_takeo

次読むべき本。 ・綾川武治『人種問題の研究』 ・小林政男『米国人の人種差別の研究』 ・渡辺己次郎『有色人種の大不平』 ・寺田和夫『人種とは何か』

2020-05-29 21:10:00