宮台真司+永田夏来+かがりはるき『音楽が聴けなくなる日』読書メモ集

宮台真司+永田夏来+かがりはるき『音楽が聴けなくなる日』(集英社新書、2020)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

編集の方から宮台真司+永田夏来+かがりはるき『音楽が聴けなくなる日』をご恵投いただきました。ありがとうございます。ミュージシャンが薬物を使用すると、一斉にその作品が「自粛」される…という自粛社会ニッポンを考える三論考のようです。拝読します。 pic.twitter.com/Ue5P0M1JEY

2020-06-02 16:02:18
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荒木優太 @arishima_takeo

ギデンズの再帰的自己論は自己啓発は勿論のことプラグマティズムへの批判として読めるのではないかと思えてきた。読むか。

2020-06-03 11:09:04
荒木優太 @arishima_takeo

でもどうせ難しいんでしょ? やだなー。

2020-06-03 11:09:26
荒木優太 @arishima_takeo

「夏目漱石の『こころ』では主人公が「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」と友達に言うことで相手を追い詰めますが、それは友情があるから相手を理解した上で厳しく接するという当時の人間関係を描いている訳です。つまり、漱石の時代には全人格的なつながりが当たり前だったことがうかがえます」。

2020-06-03 16:23:00
荒木優太 @arishima_takeo

永田夏来『音楽が聴けなくなる日』p 75。ここよく分かんないな。前提として、①「精神的に向上心」云々は元はKの言葉で「先生」はその意趣返しとして使っているわけですよね、②かつ二人の友情関係は恋愛によって大きな危機を迎えることになり「先生」はKに何も告げないまま求婚するんですよね?

2020-06-03 16:31:12
荒木優太 @arishima_takeo

ここから全人格的なコミュニケーション様式って読めるか? むしろ、ここにあるのは仮面の被り合いのばかし合いであって、なんで「先生」が求婚を急いだかといえば、Kのなかに隠れたお嬢さんへの愛があると勘ぐったからなのでは。

2020-06-03 16:35:02
荒木優太 @arishima_takeo

なんで「精神的に向上心のない奴は馬鹿だ」って言うかっていうと、別に人格をかけて厳しく接するというより、単にKとお嬢さんがくっつくのを牽制したいがためなのでは。そしてそういうことは現代でもよくあることなのでは。

2020-06-03 16:43:15
荒木優太 @arishima_takeo

そもそも私はリキッドモダニティ下の多元的自己論に余り説得力を感じないのだが(昔から多元的じゃん)、それをスルーするとしても、漱石に例示を求めるのがピンとこないような。ギリシャ神話とかならまあ。

2020-06-03 16:56:04
荒木優太 @arishima_takeo

ああ、同じ漱石でも『行人』ならイケるような気がしてきた。

2020-06-03 17:08:01
荒木優太 @arishima_takeo

「テイをなさない人々を「病気になって人間モドキという虫になった」と見れば腹も立ちません。人がカブトムシに腹を立てないのと同じです」(宮台真司『音楽が聴けなくなる日』)。カフカは激おこされてたけどな。

2020-06-04 17:36:38
荒木優太 @arishima_takeo

「ピエール瀧さんの一件で「犯罪者の曲を売るのか」「犯罪を擁護するのか」と反応する虫、つまり言葉の自動機械・法の奴隷が、ツイッターで増殖しましたが」(宮台真司『音楽が聴けなくなる日』)。私の観測範囲が狭いせいか、その種のリアクションって見たことなんだよなあ。

2020-06-04 17:39:36
荒木優太 @arishima_takeo

僕は原発そのものよりも「原発をやめられない社会」をやめようと呼び掛けてきました。この本も同じ。電気グルーヴ作品の販売・配信停止の措置そのものよりも「そうした措置をやめられない社会」をやめようと呼び掛けるものです。by宮台真司『音楽が聴けなくなる日』p212

2020-06-04 17:52:55
荒木優太 @arishima_takeo

宮台真司+永田夏来+かがりはるき『音楽が聴けなくなる日』読了。なんだろう。読めば読むほど、やっぱり自粛しなくていいでしょ、としか思えないのだが、にも拘わらず実際になされたという事実がどうも腑に落ちない。誰が自粛を望んでいるのか?

2020-06-04 17:55:59
荒木優太 @arishima_takeo

宮台章では、電気グルーヴ自粛からあいちトリエンナーレ炎上へ、パブリックアートの社会の外部性の論点においてつなげているが、この二つはちょっと違うように思う。

2020-06-04 18:03:53
荒木優太 @arishima_takeo

つまり、あいトリは、代理的な政治闘争(展示内容に関心はないけど怒っている様をパフォームすると一定の層の歓心を買える)になるが、電グルにはそういう旨味ってないんじゃないか。宮台が批判するような功利主義的に考えたとしても、自粛で得られるものが少なすぎるのでは。

2020-06-04 18:06:00
荒木優太 @arishima_takeo

私の仮説が正しいのならば、実は誰も自粛を音楽作品売買の自粛など望んでおらず、社会成員の先取り過剰が、これを引き起こしている。だとしたら、どうしてそういう過剰性が生まれてしまったのか?というのが次に解消すべき問いになると思うのだが…。

2020-06-04 18:09:30
荒木優太 @arishima_takeo

そういう意味で、かがり章の①ラルクアンシエル(1997年)と槇原敬之(1999年)に自粛ターニングポイントの指摘と、②レコード会社元幹部・代沢五郎氏への取材、は貴重なものなのではないかと思った。

2020-06-04 18:16:14
荒木優太 @arishima_takeo

②ではコンテンツ消費からアーティスト消費への移行(だから犯罪者の作品には厳しく対処せねばならない論)と自粛は安易な反応のようにみえるけれども長期的な損得を考えればむしろ得というある種の功利主義が語られる。

2020-06-04 18:20:37
荒木優太 @arishima_takeo

それがエビデンスある主張なのかどうかは知らんが、少なくとも自粛する側はそのように認識している。そのような認識を強制させるものを今度は分析する必要がある。

2020-06-04 18:24:07
荒木優太 @arishima_takeo

私見でいえば、音楽作品の「配信」というメディア環境が大きく作用しているのでは、と思った。つまり、CDのようなブツの売買だと回収するのにひどく手間がかかるわけだが、データのやりとりならばいくつかのクリックで公開をとりやめることができる。

2020-06-04 18:28:50
荒木優太 @arishima_takeo

が、この形式に慣れ親しんでしまうと、【撤回するのは簡単なんだから、ちょっとでも問題があれば自粛は当然】という主張を強化してしまい、これが逆流するかたちで、ブツの売買規範にも浸食しているのではないか。

2020-06-04 18:32:00
荒木優太 @arishima_takeo

同じことは、そのうち書籍の世界でも起こるのかもしれない。電子書籍が主流な読み方になれば、公開を停止するのは簡単で、その判断に従うのならば紙の本であれ一律に適用されねばならない。

2020-06-04 18:40:59
荒木優太 @arishima_takeo

少し前、盗用で批判されていた『美しい顔』がそれでも単行本になったことがあり、一部では回収すべき論もあったわけだが、私はそこまですることはないだろうと思った。が、これも時代遅れと名指されるときが来るのかもしれない。

2020-06-04 18:42:12