「五代ゆう&榊一郎の小説指南」ライブ版?(後編)

後編は、今度こそ榊先生のターンからです。 CODE-Eの冒頭の描写で、描写に必要な要素を紹介します。
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いきなり始まる、CODE-Eへのプロローグ。

榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

そーいえば。昨日の五代さんのツイートですが、アレは「見た事が無いものを描く」パターンでしたが。勿論、ラノベの場合、現代学園ものとかやったりする場合もある訳で。そういう場合のサンプル(実は数年前にある必要があってちゃちゃっと書いた出だし)。 #sousaku

2011-06-24 14:02:56
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

偶然の出来事の大半が別に深い意味など無い様に――それもまた然したる意味は無かった。 遠い遠い遙か彼方の深淵から飛来した石ころが、それよりも大きな、同じ処をぐるぐる回っている石ころにぶつかっただけの話である。誰かが何かを目論んだ訳ではない。何かを希望した訳でもない。#sousaku

2011-06-24 14:03:51
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

それはただそれだけの出来事。  勿論その石ころ同士には実に数百万倍の大きさの差は在って、片方は『惑星』と呼ばれていたり、片方は『隕石』と呼ばれていたりもしたが、そもそもその差ですらも然したる意味は無い。結果的にその惑星の大気圏に突入した隕石は、#sousaku

2011-06-24 14:04:25
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

空気との摩擦熱でその大半を削り取られたりもしたが、やっぱりその事にはなーんの意味も無い。 隕石が降ったのも偶然なら、それが燃え残って惑星のとある部分に落下したのも偶然。 そしてその中に――その惑星には本来無かった何かが含まれていたのも偶然。 何もかも偶然。 #sousaku

2011-06-24 14:05:28
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

けれども。  その石ころが落ちた時から数えて二十公転周期――もっと簡単に言えば二十年後。  色々な因果関係を経て一人の少女に起こった出来事は、それは偶然ではなく、あるいは必然であったのかもしれない。 #sousaku

2011-06-24 14:05:50
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 海老原家の朝はテレビの画像の歪みと共に始まる。  といっても海老原家の大黒柱――という建前の穀潰したる海老原啓介にとってはそれは昨晩の続きでしかない。 #sousaku

2011-06-24 14:06:58
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創作的文筆業、もっとぶっちゃけて言えば売れない作家なんかをしちゃってる彼は、しばしばネタに詰まったという事を理由に、仕事をサボって徹夜でDVDを見たりする。だから彼は未だ日付が変わる前から寝ていなかった。 #sousaku

2011-06-24 14:07:35
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

「んー?」  啓介は顔をしかめて上の方が奇妙にゆがんでいる画面を眺め――ちなみに画面の中では鎧を着た金髪の少女が剣をぶん回している――ふと視線を頭上に転じた。 「ああ……もう朝か」 #sousaku

2011-06-24 14:08:20
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

 頭上には地下室の天井が在るだけなのだが、まるでその向こうを見透かすかの様な眼で啓介は呟く。ちなみに彼の仕事部屋は地下に在るが、何故かその天井にはびっしりとアルミホイルが貼ってあったりする。#sousaku

2011-06-24 14:08:55
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

余人が見れば何事かと思うだろうが、これは海老原家ではおなじみの室内風景ではあった。 「…………んー」  ぼりぼりと後頭部を掻きながら腰をあげる啓介。 #sousaku

2011-06-24 14:09:18
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 彼はあくびをかみ殺しながらパソコンだのAV機器だのの電源を全て落とすと、一階へと続く階段を上がっていった。#sousaku

2011-06-24 14:09:53

共通認識があれば、描写するのは差分だけでよい。

榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

――って全然学園でもなけりゃ美少女も出てこないのですがw<この後、ヒロインが出てくるんですけどね #sousaku

2011-06-24 14:10:35
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現代ものである場合、実は全ての事物を描写する必要がありません。例えば「トラックが突っ込んできた」のと「ドラゴンが突っ込んできた」では、ドラゴンの場合は大きさやら色やら何やら描写せんといけませんが、トラックの場合は、基本、その一語で読者の頭の中に #sousaku

2011-06-24 14:11:53
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生じるイメージで事足りる。という事は、むしろ小説としての冒頭部、出だしの描写などは、そうそう、情景描写に文字数を割かなくてもいい、という場合もある訳です。先のサンプルの場合、作家の部屋である事が示されているので、「最大公約数的な作家の部屋のイメージ」から#sousaku

2011-06-24 14:14:54
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明らかに違う部分だけをピックアップして特徴として描写する。更に言えばその特徴(天井のアルミホイル)こそが、後々の伏線として機能する、と。#sousaku

2011-06-24 14:15:45
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

明らかに違う部分だけをピックアップして特徴として描写する。更に言えばその特徴(天井のアルミホイル)こそが、後々の伏線として機能する、と。#sousaku

2011-06-24 14:15:45
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

そんな寂しい事、言うなよ(シンジ君口調で) ――私もみたことないがw RT @DARL_Japan: @ichiro_sakaki ラノベみたいな甘酸っぱい青春なんて、見た事無いです。(・з・)

2011-06-24 14:16:23
ぢべた @jibetaP

@ichiro_sakaki テレビで映ってる作品がなにか容易にわかりますw

2011-06-24 14:12:39
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

ついでに言うと、敢えて、軽い、間の抜けた語調を随所に使っていますが、「作家なんかをしちゃってる」「やっぱりその事にはなーんの意味も無い。」こうした文体は、当然、今から始まる作品が「鬱展開シリアスではないです、割と軽いコメディ系」という示唆になり、#sousaku

2011-06-24 14:19:03
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読み手の側の意識は「これはコメディだ」とうっすら認識しつつ、この先を読んでいく事になります。ついでに言えば、隕石だの、パソコンだの、DVDだの、という単語が普通に出てきているので、これが現代社会か、それに類する舞台である事は明白。#sousaku

2011-06-24 14:20:24
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現代もの、学園もの、というタイプの話は、逆に「誰も見た事の無いものを描写する」割合が、異世界ファンタジーとかに比べて著しく低いので、むしろ主人公達の内面描写やら何やらの描写に枚数が割けたりする。#sousaku

2011-06-24 14:23:01
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

更に言えば、特定の単語からどんなイメージを他人が連想するか、というのは、比較的理解しやすい(「ぼりぼりと後頭部を掻きながら腰をあげる啓介。」この動作と表現だけで、啓介が、美形のスポーツマンタイプではないのは何となく分かる)#sousaku

2011-06-24 14:25:28
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