農協「改革」のネオリベ的背景

復興構想会議の「復興特区によって農漁業への企業参入を認める」という提言と、浅川芳裕『日本は世界5位の農業大国』を枕に、農協「改革」のネオリベ的背景に就いてPOSSE編集部の坂倉昇平氏(@magazine_posse)と筑波大教員の五十嵐泰正氏(@yas_igarashi)が語り合う。
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坂倉昇平@『大人のいじめ』(講談社現代新書)/総合サポートユニオン/NPO法人POSSE @magazine_posse

浅川芳裕『日本は世界5位の農業大国』を今更読む。「農家による作物別全国組合の設立」案には注目。地域単位の農協中心の流通が「同じ作物を作る他産地の農家と競合し、産地間競争による値下げ合戦の消耗戦」を生んでいたという農協批判。一種の市場規制型の生産者協同組合の再編案といえそう。だが…

2011-06-22 02:02:08
坂倉昇平@『大人のいじめ』(講談社現代新書)/総合サポートユニオン/NPO法人POSSE @magazine_posse

『日本は世界5位の農業大国』感想続き。事実関係以前に、国家への嫌悪感が満ち溢れていて食傷気味に。開発主義的利権への批判は的確な部分はあると思うが、国家による規制と農業者の保護そのものをここまで敵視するのか。政策、言説ともに、日本のソーシャルな規範や福祉国家の不在による弊害を痛感。

2011-06-22 02:13:21
坂倉昇平@『大人のいじめ』(講談社現代新書)/総合サポートユニオン/NPO法人POSSE @magazine_posse

復興特区で大企業の新規参入の必要性を叫ぶ人の多くは、日本的「共同体」の閉鎖性を批判する。復旧・復興において、確かに震災前の日本の「共同体」における排除の構造は改革されるべきだ。でも、それはまず、どこかの大企業ではなく様々な社会的弱者、特に貧困層の生活保障から考えるべきではないか。

2011-06-25 19:14:01
五十嵐泰正 @yas_igarashi

そんなこと言う人は、大企業こそが閉鎖的共同体に他ならないことを忘れてるね。ただ今日出た復興構想会議の提言では、「地元漁業者が主体となった法人が漁協に劣後しないで漁業権を取得できる仕組み」となっていて評価できる?http://t.co/0JqhO7H@magazine_posse

2011-06-25 19:28:34
五十嵐泰正 @yas_igarashi

続き「民間企業が単独で免許を求める場合にはそのようにせず地元漁業者の生業の保全に留意した仕組みとする。その際、関係者間の協議・調整を行う第三者機関を設置するなど、所要の対応を行うべきである」となっていて、宮城県のよりもイケイケじゃように読めるような@magazine_posse

2011-06-25 19:31:34
五十嵐泰正 @yas_igarashi

@magazine_posse あはは、ほぼ同感>事実関係以前に、国家への嫌悪感が満ち溢れていて食傷気味に。開発主義的利権への批判は的確な部分はあると思うが、国家による規制と農業者の保護そのものをここまで敵視するのか。

2011-06-25 19:44:12
坂倉昇平@『大人のいじめ』(講談社現代新書)/総合サポートユニオン/NPO法人POSSE @magazine_posse

@yas_igarashi 宮城県で相当な反対にあいましたから、さすがに文言に入れたのかもですね。しかし、実効的に機能するのでしょうか?改革するとして、どんあ条件のときに、どんな制度、どんな主体の取り組みが必要なのか、私もまだまだ要勉強です…。

2011-06-25 19:49:14
五十嵐泰正 @yas_igarashi

@magazine_posse 字面だけならこの提言の方向性は大賛成なんだけど、こっから先の実効性は本当の専門家に聞かないとよくわかんないねー。漁協と一口に言っても、世代構成や組織秩序、地域コミュとの関係など色んなパターンがありそうだしね。農協もホント、一つ一つかなり違うんだよ…

2011-06-25 19:55:50
坂倉昇平@『大人のいじめ』(講談社現代新書)/総合サポートユニオン/NPO法人POSSE @magazine_posse

@yas_igarashi こんど飯田さんと本を出すそうですので、読んでみます。震災後のTPPについてどう考えているのかも、気になります。

2011-06-25 19:55:57
坂倉昇平@『大人のいじめ』(講談社現代新書)/総合サポートユニオン/NPO法人POSSE @magazine_posse

@yas_igarashi なお、農協改革案にイケイケなのが、「左派」的(便宜的に使いますが)な論者より「ネオリベ」的(これも便宜的に使いますが)な論者に多いのが不思議です。労働規制改革について、産業別ユニオンが必要だと本気で議論しているネオリベ的な人はそんなに見ないので。

2011-06-25 20:00:12
五十嵐泰正 @yas_igarashi

@magazine_posse なるほど。その論点は考えたことなかったけど面白いな。農協・漁協の場合、地域全戸参加(実際はそうでもないんだが)をベースにヒエラルキカルに国家に統制されているように見えるところが、「ネオリベさん」の改革魂に火をつけるのかな?(笑)

2011-06-25 20:04:10
坂倉昇平@『大人のいじめ』(講談社現代新書)/総合サポートユニオン/NPO法人POSSE @magazine_posse

@yas_igarashi それなら、改革なんてせず中間集団じたい破壊して、個人や企業が市場で勝負しろ…てなふうにならないんですかね。浅川氏は作物別全国組合がマーケティング組織として必要という意見でしたが、農産物の競争だと自由競争に対して労働よりシビアにならざるをえないとか?

2011-06-25 21:12:44
S.MA @makisagami

もしかすると、この国は、自分が持たないものはすべて既得権益として剥奪すべきものと考えている人が増えているのではないだろうか?

2011-06-26 01:55:12
五十嵐泰正 @yas_igarashi

@magazine_posse 確かにね。ただ浅川さんやその支持者が憎むのは、意欲のない兼業農家を温存するメンバーシップ型の現行の農協なんですよね。それを壊して専業農家による作物別全国組合を作るというのは、メンバーシップからジョブへという方向性とどう共鳴していけるものなのか?

2011-06-26 10:11:18
坂倉昇平@『大人のいじめ』(講談社現代新書)/総合サポートユニオン/NPO法人POSSE @magazine_posse

@yas_igarashi 同じ作物の販売において価格の最低限度を決めて抜け駆けしないなどの連帯をすることで、加工・流通業界に対して生産者の発言力を強めるなど、生活を保障しつつ消費者や市場に向き合うという、ジョブによる市場規制型のユニオンに似た効果が期待できるような気もします。

2011-06-26 11:48:19
五十嵐泰正 @yas_igarashi

@magazine_posse そう、同感。その上、漁業の場合には資源管理という目的が加わると。また、よほどの高汚染地以外は何ら補償ないまま放射能問題が推移し、測定や土壌改良のコストは農漁業者に押しつけられ兼ねない現状では、流通・加工に対する生産者の発言力というのは重要な部分です

2011-06-26 12:01:36
S.MA @makisagami

専業農家はやる気があって、兼業農家というのはやる気が、本当にないのだろうか?どうも、その辺から決め込みもあるような気がする。もちろん、やる気がないと農家もあるだろうが、2分法的ではどうかと思う。庄内で見ていると、兼業することで農業経営を成立させている側面が確実にある。(続)

2011-06-26 12:02:02
S.MA @makisagami

中山間地の場合、規模が拡大しにくい分、他に収入を求めざるを得ないところもある。そして、大規模化して専業となったとしても、規模拡大の限界はある。県境を越えて野沢菜を作っている専業農家に聞くと、土質の違いによる作業工程の違いもあるから、思っている以上に手間と投資の額があるという(続)

2011-06-26 12:07:52
S.MA @makisagami

そうなると、誰でもができるものでもないし、こういう経営は米では厳しいし、確実に売れる野菜類になるのだが、それでも相場の値崩れもあると、どこかで最低価格ラインを作らないと厳しいのだろう。しかし、それが法的にクリアできるかどうかも問題にもなるのだろう。(続)

2011-06-26 12:11:08
S.MA @makisagami

米の場合、規模拡大は厳しくなっているようだ。数年前、規模拡大のモデルと言われていた農家の経営が破綻状態であるという報道がされたが、その後の状況はどうなのだろうか?

2011-06-26 12:12:49
坂倉昇平@『大人のいじめ』(講談社現代新書)/総合サポートユニオン/NPO法人POSSE @magazine_posse

@yas_igarashi 判定業務disはまさに。 http://t.co/ydQDzfW ここで本当は第一次産業について書きたかったんですが、勉強不足と字数が大幅に膨れ上がって削りました。農業者・漁業者への国の生活保障の方向性をどうすべきかはまだ判断しかねております…。

2011-06-26 12:14:59
五十嵐泰正 @yas_igarashi

@makisagami 僕が知り合う機会があるのは都市近郊と平野部の農家だけなので浅川氏の主張には首肯しがちなのですが、地形、土壌、都市部への距離といった条件の異なる兼業農家や規模拡大を一義的に論じるのはおかしいというのは、その通りだと思います。中山間地の事情等、色々ご教示下さい

2011-06-26 12:20:51
S.MA @makisagami

@yas_igarashi 中山間地でも野辺山高原や嬬恋のように産地のブランド形成がされている所は、規模拡大や企業的農業も可能なんだと思います。もしくは、野沢菜というように、地域を代表する加工品の原料も同様だと思います。ところが、多くの所はそういうものがあるわけではなく、(続)

2011-06-26 12:40:05
S.MA @makisagami

@yas_igarashi ロットをあまり出せず、地元流通か漠然とした産地表示になってしまい、収益はあまり出せないように思います。直売所も、そこに買う人がたくさんいないとさほど収益が上がるわけでもないですね。その点、高速道路が近くに走って、都市部から適当な距離にある所は(続)

2011-06-26 12:44:45
S.MA @makisagami

@yas_igarashi 良いのですが、地方に行くと、人がほとんどいない直売所や道の駅も少なくないです。もちろん、運営の仕方に問題があるような所もありますが、そもそも回りに人がいないところはそうなりうる可能性が高いところもあるのだと思います。

2011-06-26 12:47:21