偽善について

善行ばかり積んでる善人なのに、偽善に見えることがある。偽善とは何だろうか?
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shinshinohara @ShinShinohara

先日、「偽善」が話題になって興味深かった。そのグループでは善意が満ちていて、みんないい人。善男善女。そのぬるま湯具合が皆さん心地よいようなのだが、そのひとは気持ち悪くて仕方ないのだという。「いや、人間ってそうじゃないだろう」という違和感が拭えなかったそうだ。

2020-06-24 21:04:30
shinshinohara @ShinShinohara

私も覚えがある。そこでは皆さん自己反省を積み重ね、常に努力。みんな前向き。みんな寛容。だけど何か、ウソ臭い。何だろうこの違和感。私はアマノジャクにも、そういう空間に入ると感情を逆なでしたくなる。つまり私は悪人なのかもしれない。

2020-06-24 21:08:29
shinshinohara @ShinShinohara

もう30年前になるだろうか、NHKで青春メッセージとやらをやっていた。若者が地球環境を憂い、人類愛を説き。会場の皆さんがそれに拍手を送る。審査委員はみんなを賛美する。私はどうしたわけか、それが大の苦手で、背中がむずがゆくなった。

2020-06-24 21:10:52
shinshinohara @ShinShinohara

当時、ボランティアをする人の中には、自己陶酔してる人が結構いた。社会的弱者に手を差し伸べる私は素敵、あなたもどう?私を見習わない?という感じが伝わってきて、超苦手だった。だから当時の私は、ボランティアを毛嫌いしていた。阪神大震災が来るまでは。

2020-06-24 21:14:17
shinshinohara @ShinShinohara

震災の話の前に、もう一つ思い出したことを。作文で賞を取ったことがあるという青年。「狙って取った」という。「最初に自分のダメなところを書き、読んだ本や何かの出来事で考えが変わり、反省して、何かを心に誓う、という大人たちが好みそうな筋立てで書いた」。 そう、偽善には「定型」がある。

2020-06-24 21:17:22
shinshinohara @ShinShinohara

阪神大震災の直後に現場に入りそびれた私は、今更神戸に行っても・・・とためらっていた。すると父が「ともかく見てこい」と言うので、最初の土曜日に、西宮北口駅から歩いて神戸へと向かった。

2020-06-24 21:20:39
shinshinohara @ShinShinohara

西宮でも、家が大きくひび割れてもう住めないな、という家が散在していた。「かわいそうに」と思う自分、同情が湧く自分をなんて優しい、と自画自賛する自分、そんな自己陶酔する自分に呆れ果て、ヘドが出る自分。いろんな思いが交錯し、「ああ、俺って偽善者だなあ」と思いながら歩いた。

2020-06-24 21:23:17
shinshinohara @ShinShinohara

国道を歩き続けると、右の路地が、白い巨大な壁で道がふさがってる。不思議な壁の作り方だなあ、と近寄った。壁をペチベチ叩いてふと左を見ると、根元でポッキリ折れたビルだった。道の向こうの家をサクッとつぶして、道をふさぐ壁のように立ちはだかっていたのに気がついた。私は泡食らった。

2020-06-24 21:25:57
shinshinohara @ShinShinohara

このビルに人はいないのか?道向こうでつぶされた家には人はいなかったのか?何が起きてる?どうすれば?夢中になって駆けずり回った。 夕方になり、ひとまず戻ることにした私は、電車に乗ると気絶した。大阪に着いて立とうとしたら、足が動かなかった。歩きすぎて動けなくなっていた。

2020-06-24 21:28:29
shinshinohara @ShinShinohara

それからは無我夢中。私は卒論を書いてる最中で、それも投げ出そうとしたが、親にそれは止められ、週末ボランティアに通うようになった。金曜日の夜に神戸に移動、日曜日の夕方に京都に戻った。その間、ほぼ睡眠を取らなかった。卒論も徹夜続きで、もうムチャクチャ。

2020-06-24 21:30:30
shinshinohara @ShinShinohara

2月中旬くらいだったと思う。神戸に来ていたボランティアの一人が、「いま、ここで死ねたらオレ、ムチャクチャ気分がいい」と語った。彼もまた、神戸に向かう途中、自分を善人だと信じるために向かってるのではないか、つまり自分は偽善者ではないか、と悩みながら来たのだという。

2020-06-24 21:32:44
shinshinohara @ShinShinohara

ところが、100%倒壊している地域などを見て、ある種パニックに陥り、それから無我夢中で駆けずり回るうち、ふと気がつくと、偽善だ何だという迷いも吹っ飛んで、何かできることがないかと必死に駆けずり回る自分を発見して、生まれて初めて自分を肯定できると思ったという。

2020-06-24 21:35:05
shinshinohara @ShinShinohara

「でも都会に戻ったらきっとまた、他人にどう見られるかを気にして、偽善者に戻ってしまう。また薄汚れてしまう。そんなのは嫌だ。だから、今この瞬間、死ねたらムチャクチャカッコいい、と思えるのに」と。 私も同感だった。

2020-06-24 21:37:01
shinshinohara @ShinShinohara

私は阪神大震災の体験を通じて、「好きに生きよう」と心に決めた。他人にどう見えるかとか、よく見られようとかで行動を決めるのはやめよう、自分の思うように、好きなように生きよう、と。そして好きに生きたら、案外、自分は、人の役に立つのが好きな生き物だということが分かったから。

2020-06-24 21:39:12
shinshinohara @ShinShinohara

偽善とは恐らく、本人が自覚的か無自覚かは別として、他人からどう見えるかを気にして決めた行動だと感じさせるものがある。自分の姿を善人に見せたいという欲に無自覚な場合も、悪意がないにも関わらず、偽善に見えるようだ。

2020-06-24 21:41:50
shinshinohara @ShinShinohara

偽善に見えない時は、それがなんなら悪でもかまわない、自分がそうしたいからそうするだけで、他人がどう評価するかは知るもんか、という姿勢がはっきりしているのだろう。阪神大震災意向、ボランティアをやる人でも、偽善者はだいぶ減った。好きでやってる人が増えたように思う。

2020-06-24 21:43:48
shinshinohara @ShinShinohara

善が善であることを知っていて善を行うと、偽善に感じられるとは、実に妙なのだが、人間にはそう感じる仕組みがどうもあるらしい。 善が善とされていることは知っていても、自分がやりたくなければやらない、自分がやりたいと思ったらためらわない、というのは、偽善と感じない。妙な話だ。

2020-06-24 21:46:40
shinshinohara @ShinShinohara

なぜ人間は、偽善に危うさを感じるのか?善なら偽善でも構わないはずなのに、何か違和感があるのはなぜなのか?まだ私は十分に言語化できていないようだ。もうしばらくこの問題を考えていきたい。

2020-06-24 21:48:31
shinshinohara @ShinShinohara

そういえば、「アダルトチルドレン」という問題がある。子どもが「よい子」を演じ続けるというもの。しかし思春期、あるいは大人になってから、本音を出さなかった歪みが爆発し、手をつけられなくなることがある。

2020-06-24 22:12:21
shinshinohara @ShinShinohara

アダルトチルドレンは、親がその子の存在丸ごとを愛するのではなく、善行を行う子どもを愛している、と、子どもに感じさせたときに生まれる。子どもは親の愛を喪失することを恐れ、「よい子」を演じ、本音を封印し続ける。しかしそれによる不満と歪みの蓄積が、やがて火を噴く。

2020-06-24 22:14:54
shinshinohara @ShinShinohara

「しくじり先生」に、尾木ママが登場。娘がまさにアダルトチルドレンだったという。ポテトチップみたいな体によくないものは食べようともしない、テレビも見ない、親の願望にかなったよい子。ところがある日、ポテトチップを頬張りながら娯楽番組を見て笑う娘を発見。

2020-06-24 22:17:36
shinshinohara @ShinShinohara

娘ばかり涙を流しながら、実はポテトチップが大好きなこと、テレビの下らない娯楽番組が大好きだったけど、お父さんがそういうのを嫌ってるのを知っていたから、ずっと我慢していたことを告白したという。自分の願望通りに動く「自慢の娘」だったが、その願望が子供を追いつめていたと反省。

2020-06-24 22:19:36
shinshinohara @ShinShinohara

そういえば、私が関わった子どもたちで、こんなケースがあった。長男が大変な不良で、下の娘二人は優等生。親は長男をなんとかしようと踏ん張っていた。その間、娘たちはお兄ちゃんをバカにし、なんであんな悪いことばかりするんだろう、バカだなあ、と言っていた。

2020-06-24 22:22:59
shinshinohara @ShinShinohara

ところがある事件をきっかけに、親が長男を「見捨てた」。もうお手上げだ、お前なんか知るか、優等生の娘たちだけなんとかしよう、という態度があからさまとなった。 すると不思議なことに、優等生だったはずの娘たちまで手の着けられない不良になった。親呆然。

2020-06-24 22:25:09
shinshinohara @ShinShinohara

不思議と、長子を見捨てない間は下の子は優等生なのに、親が長子を見捨てたとたん、下の子たちまで不良になっていくケースを複数観察してきた。どうやら、長子を見捨てない親を見ている間は、下の子らは自分への親の愛を疑わずに済むようだ。だが。

2020-06-24 22:28:47