音楽 by kenichiromogi

音楽は特別なものじゃない。自分の中に流れてるものなんだって改めて感じました。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

音楽(1)音楽をあらわす言葉musicには、もともと、「音」という意味はない。芸術の神Museにかかわるもの。だから、天体の運行の妙なる調和もmusicであり、人体の美しい比率もmusicとなる。そのような視点から見ると、私たちの周囲には音楽があふれている。

2011-06-28 07:26:38
茂木健一郎 @kenichiromogi

音楽(2)パウル・クレーは、もともと音楽家を志していた。彼の作品の中には、音楽が流れている。色彩の配置、かたちのバランス、モティーフの混合の中に、何とも言えない素晴らしい調和と響き合いが感じられるのだ。その絵の音楽は、まさにMuseへと至る道筋を示す。

2011-06-28 07:28:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

音楽(3)私たち一人ひとりは、楽器を使わなくても音楽家である。しゃべる言葉は、そのリズムやイントネーション、響きを通して音楽となる。言葉の意味だけでなく、印象がいかに人に伝わるか、感じ合えるかと考えた時、日々の何気ない会話が音楽セッションとなる。

2011-06-28 07:30:10
茂木健一郎 @kenichiromogi

音楽(4)朝起きてから寝るまで、私たちは音楽を奏でている。さっと切り替えて、違うリズムで動き始めたり、他人と「話者交代」を通してビートを刻んだり、手足を繰り出す脈動、顔の表情の変化、すべてが比率を持ち、平行するハーモニーがあり、全体として音楽となっているのだ。

2011-06-28 07:31:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

音楽(5)脳の中の神経細胞の活動も、また音楽である。その情報処理において、同期や位相が重要な意味を持つ。情報が統合される上でも、a, b, cの順番で到達するのと、a, c, bで到達するのでは結果が異なる。私たちの脳の中には、常に、神経細胞の壮大なハーモニーがある。

2011-06-28 07:33:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

音楽(6)頭のいい人とは、脳の神経細胞の音楽がすぐれた人のことである。感性のいい人とは、脳の神経細胞の音楽が光る人である。そのような脳内音楽に、外部からの音楽が入り込み、響き合うことで共鳴する。外から入る「音楽」は、もともと脳内にある「音楽」を補完するに過ぎない。

2011-06-28 07:34:31
茂木健一郎 @kenichiromogi

音楽(7)すべては音楽から始まる。私たちはもっと感覚的でいい。リズムを刻むことに夢中になっていい。生命を止める理屈から自由でいい。他人の音楽に耳を傾け、自分という楽器を響かせることでいい。指揮者のいない脳内音楽に、思う存分浸っていい。時間の進行に没入していい。

2011-06-28 07:36:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

音楽(8)私たちは、朝から晩まで、即興演奏を続けている音楽家である。叩いたり、弾いたり、吹いたりしながら、私たちは生き続ける。その過程で文字を生み出したり、作品を残したりするが、それは、私たちの生命音楽の残滓でしかない。肝心の音楽は時間とともに消えてしまうのだ。

2011-06-28 07:37:44
茂木健一郎 @kenichiromogi

音楽(9)生命音楽の記録装置は、残念ながらない。つまり、私たちの生命のいちばんの本質は、流れる時間の中に自ら浸り、動き感じるしかないということ。音楽を奏でながら、音楽に耳を傾けながら、音楽を生きる。演奏を死ぬまで続ける。ミュージシャンばんざい。ダーッといこう。

2011-06-28 07:39:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、生きるということの「音楽」(music)についての、連続ツイートでした。

2011-06-28 07:39:49