- shitaiNOsoba
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翦桓
余命とお魚 はらりと鱗が剥がれて落ち、円環の内へ溶けて消えた。 人間の頭上を泳ぐ魚がいる、と俺が口にしたとき、参謀を任せてある男は引きつった顔で『そういったたとえ話を好まれるとは』と、苦く笑って言った。命の河を泳ぐこの魚が妄想の産物であるなら、俺にはきっと詩人の才もある。
2020-07-14 23:19:13その魚はすべての生きとし生ける者の頭上で、くるくると輪を描くように泳いでいる。そしてその命が尽きるとき、魚は鱗を剥がして円環の理の内側へと溶けていく。各々、さまざまな色をしており、その生き様によって如何様にでも染まり得る。
2020-07-14 23:20:00だから俺は、きっと魂の形が魚に見えるのだろう、と考えているが…それを語る機会は特にないままだ。 その、魂。目の前でどっしりと構え、難しい顔で地形図を睨め付ける男の頭上で泳ぐ命の魚は、血を透かして見たような赤い色をしている。巨大で力強く、それ故に何事にも動じないような冷血の魚だ。
2020-07-14 23:23:54その鱗が1枚、はらりと剥がれて落ちるのを見た。それはすぐに円環の内へと溶けて、まるで初めから存在すらしなかったように、失くなってしまった。 「…オーセンよぅ。今日はお前の生まれた日か?」 男は目玉だけを鬱陶しげにこちらへ向け、「それがどうした」と言う。
2020-07-14 23:28:41「いや。ただ良い料理人を知っている。特に魚を煮るのがうまいんだが…今夜の都合はどうかな大殿様は」 別にこの網にかからなくてもいい。その時はひとりでたらふく食ってこよう。 おしまい
2020-07-14 23:31:47真面目なセンカンの話するけど、桓きの根底にある怒りだとか翦さまの抱える歪みだとかが好きなので、愛とか恋とかそういう、およそ幸福で光り輝く善きもので彼らのそういう崩壊が正されないようなものだけ描いてたいんだよな(人のはハッピーラブラブセンカンもめちゃくちゃ拝読する)(自分の創作の話)
2020-07-12 23:44:03命の価値が幸福であることだけではないと思ってるし…わざわざ大手を振って退廃に向かう輩が好きなんだよな 岩をも溶かすような怒りを腹の中で飼って笑うお頭と、対面する者に尽く歪みを指摘されながらも自分のあり方を直したりはしない大殿が…お互いろくな死に方はしないなと酒を酌み交わすのをな…
2020-07-12 23:49:50俺が破滅していくのをちゃんと見てろよ って笑うような男が好きでぇ〜桓きくんにはそれをまるで睦言のように翦さまに告げてほしいのだなぁ 自分がこの世界で一番美しくて鮮烈な瞬間は自分が破滅する時だと思ってて、だからその瞬間を絶対にお前に見ててほしくて、お前の中に何かしらを刻みたいていう
2020-07-12 23:57:14自分と同じ歩幅で進める人間がいるなんてまるで思ってなかったから、手下を置いて行きすぎないようにたまに歩速を緩めつつ、一人で先頭にいたカンキがよぉ…はじめて、「手加減しなくても思考速度についてくる、どころか、食ってかかる勢いでないと下手をすれば自分すら振り落とされる」という、
2020-07-19 01:16:41自分以外の天才と言を交わすわけじゃん副将として それまで一人で前を歩くのが当たり前だったそのただの孤独の中で、不意に「こんな時オウセンなら」と思う瞬間が生まれるし、でも今ここにはいないという穴を認識する 初めからあった孤独って穴を埋められたから、いないときにそれが穴だったと気づく
2020-07-19 01:19:55気づかなくて良いことに気づいてしまった、と最初は舌打ちするし腹も立つしこんなことなら近づくんじゃなかったとも思うんだけど、この穴、この空虚、この物足りなさが、あの男の形か(なぜならあの男はここにぴたりと嵌るんだ)と思ってみると、どうにも愛でてやりたいような気持ちにもなるというやつ
2020-07-19 01:25:30かんきくんはもともと幸福論者じゃないから愛し合って幸せいっぱい!という感情よりは、俺を塞ぐピアスが足りない(BGM:聲)というような…怒り、苦しみ、悲しみ、みたいなものと親和性が高くてそういうものを撫でて愛でてるイメェジあるね
2020-07-19 01:29:06絶対にかんきのが先に死ぬと思うけど万が一おうせんが先に死んだら(※敵に討たれるおうせんがいると思えないので病です)かんきは葬儀的なものにも参列しないし訃報聞いた時ですら「ふうん」くらいの反応だけど、
2020-07-14 00:17:56夜半一人で酒をあおりながら、何の弾みだったかも忘れたどうでもいい流れで昔おうせんからかっぱらった(※しつこくねだってもらった)耳飾りをちゃりちゃりといじり続けるんだと思うよ なんとかインチキして寿命の折半とかできんかったもんかね、とか思ってひとりでフフ…と笑う
2020-07-14 00:18:08志を同じくすることだけが理解ではないと思ってるのでそういうセンカンの話するけど、いろんな人間に「貴様のやり方では人の力はついてこない伴わない」とちくちく言われ、はくろうにも似たようなことは(案じる思いからだとは理解しつつも)言われてたカンキが、
2020-07-18 22:58:29こいつマジで何考えてんのかわかんねー、と思ってたオウセンに、なんらかの飲みの席で「うぬのやり方には民の力が伴わない。」と言われて、ハイハイと適当に聞き流していたら「それは事実だが…そもそもうぬは、民を肥やし繁栄を得て国力を育てるという目的を持たぬ男だろうからな」と、
2020-07-18 23:01:37「その苦言をお前に言ったところで、お前の求めるものがそこにない以上、どうせ聞かぬ。故に私は常々頭を痛めて考えているぞ。どのようにすれば…お前のその刹那的な爆発力を、長く続く武器にできるのかと。それが存外に面白いと感じる」という話を始められて、その日からめちゃくちゃオウセンに懐く
2020-07-18 23:05:41カンキがオウセンに懐いた瞬間100選アンソロほしい どんだけ懐くねん オウセンが息してるだけでカンキ的に「へえ 息するんだなお前」くらいのお気に入り度合い
2020-07-18 23:08:1558かんでリボクが攻めてきたってときのカンキの動じなさというか動かなさ見て思ったけど、やっぱチョウトウさんに言われてた通りカンキはもう、戦に勝つという面白さ・快感にズブズブに浸ってて、
2020-07-18 23:17:43ギョウが落ちてもオウセンくるまで中に入ってなかったの見る限り、もう略奪はカンキにとって目的じゃなくて手段なんだろうなと…兵糧が尽きかけてヤバいぞというときも、リボクが来てヤバいぞというときも、勝ちの快楽を捨てて逃げるのをつまらないと感じる男なんだろうなと 見えたから、
2020-07-18 23:19:12だからリボクの後を追ってオウセンが来てると聞いてこう…オウセンならきっと来るという思いはあったのかもしれないけど、でもオウセンが来たことに対してこう…これだ、この感覚だ!と思っててほしさがあるんだよな 勝つか負けるか、という場面で、勝利が蹄の音を立ててここに来たという感慨を…
2020-07-18 23:22:33オウセンと戦をして、「これだから戦は面白い」と感じることがたくさんあって…武将の魂とか誇りを嗤うカンキの唯一の武将らしさが、そういう「お前の勝ち方は面白い」「戦で勝つのは面白いな」という珍しく純粋な感情の中にあったらなんだかこう…それはとっても素敵なことじゃないか
2020-07-18 23:25:18殊勝さとも健気さとも無縁の風来坊で問題児が見せるほんの少しのささやかなかいがいしさみたいなのが好きだから、奪う割には大して物に執着のないカンキがよぉ…本当にくだらない話の流れで……たとえば、「墨なんぞ何が違うんだ。何でもいいだろ」と言った売り言葉に、
2020-07-19 00:24:20