2020年7月21日

Ansley T. Erickson, "Making the Unequal Metropolis: School Desegregation and Its Limits" (Chicago: The University of Chicago Press, 2016)読書メモ

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American History Student in Japan @hollywood20204

久々のツイートですが、アメリカ史の読書メモやります。 Ansley T. Erickson, "Making the Unequal Metropolis: School Desegregation and Its Limits" (Chicago: The University of Chicago Press, 2016) という研究書で、テネシー州ナッシュビルにおける学校の人種統合を扱った本です。

2020-07-21 21:07:33
American History Student in Japan @hollywood20204

【序論】 ナッシュビルは市政区域の合併拡大で「統計上の人種隔離廃止」(学校の人種構成比の平等化)に成功した稀有な例。行政区の合併拡大による学校の人種統合実現に希望を見出す研究者は少なくなかった。郊外白人を人種隔離廃止のためのバス通学(busing)対象にできるため。

2020-07-21 21:11:58
American History Student in Japan @hollywood20204

本書は学校の人種隔離の背景にある政治・経済的構造を重視し、行政区の合併拡大がその点でむしろ逆噴射したと主張。区域の白人が増えた分、黒人有権者の市政におけるパワーが弱体化した。また、市政は学校を含むリソースの分配を郊外に集中させた。つまり、合併拡大は理想的解決方法ではなかった。

2020-07-21 21:16:23
American History Student in Japan @hollywood20204

先行研究では白人抵抗が重視され、いわゆる「白人逃亡」が特に注目されたが、それは人種隔離廃止における不平等の問題から注意を逸らすことになった。例えば、学校の人種隔離と住宅の人種隔離の関係性が等閑視されたという。

2020-07-21 21:21:20
American History Student in Japan @hollywood20204

本書は人種隔離廃止期における教育の不平等を三点に求める。まずは学校の位置問題。どこに学校を建て、またどの学校を閉鎖するかは経済利害の問題でもあり、黒人コミュニティに皺寄せが行った。次にカリキュラムの問題。職業教育の導入は学校と市場の関係性に由来し、経済不平等に資する一因に。

2020-07-21 21:30:58
American History Student in Japan @hollywood20204

最後に人種隔離廃止のナラティブ問題。「事実上の人種隔離」論や「白人逃亡」論は問題を個人や慣習のレイシズムに帰し、政府による人種隔離への貢献を無視してきたという。公権力が積極的に人種隔離廃止期の教育における不平等拡大に寄与したというのも本書の主要な論点。

2020-07-21 21:35:08
American History Student in Japan @hollywood20204

本書は戦後ナッシュビルをケーススタディとして、教育の不平等が人種隔離によって形成されてきたことを政治経済の観点から実証する。また、人種隔離廃止期には教育の不平等が再構成されることを論じている。この時期はバス通学が焦点になるが、これはナッシュビルにおいて上記再構成に寄与したとする。

2020-07-21 21:39:25

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