圧巻の内容『人間にとってスイカとは何か』を読む。アフリカ・カラハリ砂漠での人間の生存を可能した「野生スイカ」の謎

『人間にとってスイカとは何か』『最後の言葉の村へ』『昨日までの世界』など、それらの本の作者が世界の奥地に分け入り、現代社会の常識が通用しない「もうひとつの世界」を追いかけた本の読書記録です。
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巫俊(ふしゅん) @fushunia

スイカのイラストを、フリー素材サイトからお借りします。 illustrain.com pic.twitter.com/XQ2TkHOxO5

2020-07-23 19:02:02
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アフリカ・カラハリ砂漠『人間にとってスイカとは何か』

巫俊(ふしゅん) @fushunia

2014年に刊行された『人間にとってスイカとは何か: カラハリ狩猟民と考える』を読みました。圧巻の内容です。熱帯アフリカ原産のスイカは、17世紀以前に日本に伝来した果物ですが、野生種が存在するカラハリ砂漠では、コイサン系狩猟民が水を飲まずに生活してて、水分はスイカから摂取してるとか

2020-01-06 01:14:19
巫俊(ふしゅん) @fushunia

地表水が無い、まだらに灌木が生えてる風景の中で、スイカを食べて生きてる人たちがいて、その上、「スイカから水を作る」技術が存在してるというから、驚きです。切り出したスイカの果肉を容器に入れ、ひとつまみ、火が消えた後の灰を混ぜると、果肉から水が滲み出てきたとありました。

2020-01-06 01:24:55
巫俊(ふしゅん) @fushunia

現地の牧畜採集民のお母さんは、毎朝ラグビーボール大のスイカを5つ持ってきて、穴を開けて中をぐりぐり掻きまわしたスイカに灰を混ぜて、勢いよく振ると、スイカ5つから1リットルの水を作れるそうです。その水を飲んだり、調理したり、子どもの身体に拭(ぬぐ)って垢をこすり出したりするのだとか

2020-01-06 01:30:27
巫俊(ふしゅん) @fushunia

そんな地表水の無い乾燥地帯で、スイカが育つのか…と思ったのですが、野生のスイカが鈴生りに生えてて、ごろごろしており、1家族が最大2千個のスイカを貯蔵し、スイカを食べ尽くすまで野営地で暮らすそうです。なお苦みのあるスイカで、「スイカ」は甘く無いばかりか、何とも言えない味がすると… twitter.com/fushunia/statu…

2020-01-06 01:38:22
巫俊(ふしゅん) @fushunia

他にも、灌木の下には有毒の地下茎が生えてて、掘り起こしたその根茎をヤギに食べさせてるそうです。ヤギは人間が食べ残したスイカにも喰らい付きます。井戸のある村より、野営地のヤギの方が、不思議と丸々と肥えてるそうで、ときどき、ライオンが襲ってくるそうです。

2020-01-06 01:44:43
巫俊(ふしゅん) @fushunia

多量に水を摂取する馬を飼うのは、貯蔵できるスイカの数にも限度があるので、困難なのですが、それでも村に数頭の馬がいて、人間が食べるためのスイカを小さくカットしてあげたものを、馬に山ほど食べさせるそうです。馬がいなかった世界なので、鹿系動物を馬で、へたり込むまで追い込んで槍で刺すとか twitter.com/fushunia/statu…

2020-01-06 02:08:39

鹿系動物とメモしたのですが、広い意味でウシの仲間の野生動物でした

巫俊(ふしゅん) @fushunia

なお、下馬してから、へたり込んでる鹿系動物を刺すそうです。判断が甘いと、まだ元気な奴に、ツノでお腹を刺されてしまった人もいるそうです。そして、この鹿系動物の胃から、スイカの種が出てきたそうで!野生状態で大繁茂するスイカが、野生動物の生命をつないでる世界なんですね。

2020-01-06 02:16:53
巫俊(ふしゅん) @fushunia

このカラハリ砂漠の世界にも、少しだけ雨季があるとのことで、ただ、広大な砂漠の中のどこかに限定して雨が降るだけらしくて、政府の援助が無かった頃は、雨が降ってスイカが育った場所に、どんなに遠くも歩いていったそうです。

2020-01-06 02:27:09

作者によると、「野生のスイカ」だと思ったものも、人間が食べて種を捨てた場所に繁茂したもので、それと栽培してる「スイカ畑」も別にあったそうです。

巫俊(ふしゅん) @fushunia

新大陸では、毒抜きが徹底されてたキャッサバが、アフリカに持ち込まれると、中毒者が続出して、毒抜き失敗してるのに低濃度で気づいてなくて、病気になるとか、一度失われた(伝わらなかった)文化の再発見は、困難な道のりだと本に書かれてました。

2020-07-23 16:36:09
巫俊(ふしゅん) @fushunia

高毒性のキャッサバは痩せた土地でも、よく育つ。この有毒成分が害虫や害獣を寄せ付けないからだ。それを食べる人間は…南西諸島の蘇鉄地獄(毒のある蘇鉄を食べざるを得なかった)を思い出す話。

2020-06-02 03:03:36
あさしん @ssassincreedo

@fushunia 同じことがトウモロコシでもあったらしいですね。石灰を混ぜる先住民の調理法がヨーロッパやアフリカには伝わらなくて、栄養不足による病気になったとか

2020-07-23 17:33:51
巫俊(ふしゅん) @fushunia

@ssassincreedo あっ、そうだったのですか。石灰を混ぜると、何が変わるのでしょうか?

2020-07-23 17:35:59
あさしん @ssassincreedo

@fushunia トウモロコシは調理時に石灰や木灰などを混ぜないとビタミン不足に陥るらしいです ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B…

2020-07-23 17:39:06
@I_Love_Kosodate

でもキャッサバの毒抜き知識が継承されなかった結果西アフリカでは「キャッサバの葉を食べる文化」っていうアメリカにはなかった文化が生まれたんですよね キャッサバの葉を毒抜きするメソッドはアメリカにはなかった

2020-07-23 17:41:57
巫俊(ふしゅん) @fushunia

@fake__nws 新大陸から伝わったジャガイモの有毒の葉を、何も知らないヨーロッパの宮廷の人たちが、珍しいものとして調理して出してしまい、集団食中毒になったとか、読んだのを思い出しました。

2020-07-23 17:47:43

ニューギニア『最後の言葉の村へ』

巫俊(ふしゅん) @fushunia

最期の言葉の村へ 消滅危機言語タヤップを話す人々との30年』(2020年刊行)、1/3ほど読みましたが、何故、言語が消滅しようとしてるのか、必ずしも近代化とか政府の影響とは言えない(関わってはいそうだけど)ニューギニアでの例が面白くて、読み始めると止まりません。

2020-02-21 00:11:17
巫俊(ふしゅん) @fushunia

150人程度って書かれてたかな?タヤップ語はそれくらいの規模の言語なんだけど、タヤップ語集団の集落は孤立した地域では無く、むしろ孤立した山の尾根周辺には大きな言語が展開してるってあたり、聞いたことの無い事例で興味深く思いました。

2020-02-21 00:16:36
巫俊(ふしゅん) @fushunia

近くにドイツの植民地があった頃の、「2人の若者の冒険」が、すべて(の言語)を変えてしまい、タヤップ語は世代交代で消滅することが確定したそうです。そのまま消滅するんだけど、言語を記録保存しようと一人の西洋人が単身、乗り込んできた。

2020-02-21 00:29:18
巫俊(ふしゅん) @fushunia

パプアニューギニアのガプン村、基本的におかしな人しか出て来なくて、「善行も罪になる」とか、ヤバ過ぎだった…

2020-07-23 20:11:49
巫俊(ふしゅん) @fushunia

毒ヘビに咬まれて、口から泡吹いてる男から、300ギラの大金を熱帯雨林に埋めた場所を聞き出そうとする村人とか、「町で金に換えてやる」と唆されて村外の人に300ギラ渡したが、そのまま音信不通になったとか、マラリアの薬を一気飲みした後、症状が改善しないので、何者かが魔法をかけてるとか…

2020-02-23 21:25:24