小比類巻かおるはやる音楽がちょっと早すぎた、という話(by五百蔵容)

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五百蔵 容 @500zoo

ふいに小比類巻かほるの90年代の音源やライヴを観たくなって振り返ってみたら、中々すごかった 彼女、やる音楽がちょっと早すぎたな……

2020-07-22 17:03:09
ぱたこらん♪「コーヒーとシロップ」 @pata_coran

@500zoo やりたい音楽があっても、機材や性能が追いつかない。小室サウンドも初期の頃はそうゆうがジレンマあったらしい。 DTMが発達し、ボカロが席巻する現在。 自分も推しの音楽を聞くと、なぜかフォークソングを思い出す。

2020-07-22 17:46:58
五百蔵 容 @500zoo

@pata_coran 小比類巻かほるは、スタジオエンジニアも自分でやったりMac経由のサウンドメイクもかなり早い時期に導入するくらいサウンドにこだわりがあったらしいので、当時のメジャーシーンでやりたい事やるのは色々難しかったのかもしれませんね。メジャーレーベルでの最後のアルバム二枚とか凄いできばえですが

2020-07-22 18:51:05
将(すすむ) @susumu_t

@500zoo 彼女は大学の先輩のいとこで、小さい頃から歌ってばっかりだったとか。一緒にお風呂入ったとか言ってたなあ笑

2020-07-22 19:35:22
五百蔵 容 @500zoo

@susumu_t ひええマジですか!三沢? 地元のライヴハウスで歌ってるとこ見に来たEpicの人がなんじゃこりゃあ!って驚いてその場で契約申し出って伝説ありましたね。彼女出てきたときにも思いましたが、やっぱりナチュラルボーンなんだな。

2020-07-22 20:25:37
将(すすむ) @susumu_t

@500zoo そうです。先輩も小比類巻さんw久しぶりにアルバム引っ張りだして聞いてみようかなあ。

2020-07-22 20:27:51
五百蔵 容 @500zoo

@susumu_t すごい笑 めちゃ売れてたEpic時代のやつより、売り上げ的には落ち着いてしまったTDK移籍後のやつの方が好き勝手やっててむちゃくちゃ良いんですよね……

2020-07-22 20:29:28
五百蔵 容 @500zoo

@KagiMozza いやまじKohhyいいすよ……Epic~TDK移籍初期のちょっとカワイイいなせなお姉ちゃん期もいいんですが、ヅカ的なかっこいいお姉さん風にシフトした時期もすごくいい。

2020-07-22 19:34:59
左脳∽朧彦(君は Wake Up,Girls! を見たか) @silvercosmos

@500zoo とても興味深いお話です。 コレってマイケルのデンジャラス以前以後という視点を加えると、後のEXILE台頭まで繋がりますか?

2020-07-23 15:00:59
五百蔵 容 @500zoo

@silvercosmos 小比類巻かほるが、半ばセールス面で、半ば自発的に(そう見えるような経緯で)マーケットからフェイドアウトしたために彼女の位置づけがしづらくなっているのでは?というのがぼく的にはありまして。日本のポップマーケットで基本的に「R&B」とされてき、今も主流なのはヒップホップ系R&Bなので。

2020-07-24 01:33:50
五百蔵 容 @500zoo

プリンスに曲書いてもらったTime the motionあたりから、Epic勢としてのプレJ-PoP路線から脱却して、元々あったファンクやブラックコンテンポラリー、北米の70年代フォークに近い歌詞へのアプローチなどに正面から取り組み始め、アルバム毎に独自のJpopとファンクの融合的なできを深めていっていた

2020-07-22 18:57:21
五百蔵 容 @500zoo

バンドも、デビュー以来共にやってきたポップス向きの人選・編成、ふわっとした音から、よりラフでエッジの効いたギター、タイトでテクニカルなリズム隊、複雑なパーカッションのコンポーネント、分厚いホーンとアナログなニュアンスを求めたキーボードなど、演奏的に聴き応えのある方向にシフト。

2020-07-22 18:57:21
五百蔵 容 @500zoo

元々、当時としては別格的にソウルフルなヴォーカルと圧倒的なリズム感でみせる彼女のライヴは素晴らしいものでしたが、バンドの性質や力量が彼女のヴィジョンに見合うものになっていって、Time the motion後ますます見応えのあるものに。日本のメジャーシーンでこれが観れるのは凄いと当時も思ってた

2020-07-22 19:03:42
五百蔵 容 @500zoo

初期からレーベル移籍まではEPIC印のニューガールズポップス調引きずっていたので、単純にヴォーカルの音量を押さえてマイルドにするプロダクションだったのかもしれませんが、歌唱スタイルに対し技術は申し分なくてもやや声量が不足してるかな?というところでしたが、そこも徐々に厚みを増していった

2020-07-22 19:19:16
五百蔵 容 @500zoo

SONY→TDK前期の小比類巻は、ブラックコンテンポラリーとJpopの融合的な、ある意味前衛だけどある意味「憧れ」に振り回されて音楽作ってる的な弱さもあった(でも良い作品、素晴らしいライヴを生み出していた)。

2020-07-22 19:32:13
五百蔵 容 @500zoo

メジャーシーンでの最後のアルバム二枚はそういった経験が純粋に音楽的な厚みとして後景化し、巧緻だけれどポップスとしてもわかりやすく、スピード感とグルーヴと成熟した女性らしさを投影した世界観、伸びと厚みと表現力を増した歌唱で日本のグルーヴ・ポップスとでもいうべきものを作り上げていた

2020-07-22 19:32:13
五百蔵 容 @500zoo

あと、彼女はステージでの動きがすごくて。リズム、歌のラインを先に食うようなスピーディでリズミカルで機敏な動きで展開されるダンサブルなステージングは当時群を抜いていた。彼女のジャンルであれほどの動きを見せてくれる歌い手は当時の日本にはいなかったと思う。久保田利伸くらいかな?

2020-07-22 19:40:11
五百蔵 容 @500zoo

DVDでの再リリースすら殆どないのでライヴ映像が容易には振り返れないのですが、彼女のステージングはすごかった。ある意味のっち的な天才性があった。曲もヴォーカルもバンドもステージングもいい、その上かっこいいのに丸顔でチャーミングだったので、ライヴのビデオグラムは当時かなり売れてたはず

2020-07-22 19:40:11
五百蔵 容 @500zoo

Time the motionやSilentは最初からLDでリリース。当時もっとも画質・音質で有利だったメディアに相応しいクオリティの撮影体制でシュートされてて素晴らしい見応えだった。現場でも観てましたが、いやこれはハコでもビデオでもどっちでも金取れるよ、凄い!!と思っていました。

2020-07-22 19:51:58
五百蔵 容 @500zoo

忘れられがちなのが本人が書いている歌詞の良さで、一見英語混じりのJpop調なのですが、歌い手と歌と聴き手を一緒くたにしないよう、勝手に聴き手に寄りかかって連帯を強要しないよう、注意深く、繊細に、でも重要な感情やシーンについて書くよ、というような歌詞で、これも素晴らしかった。

2020-07-22 19:51:59
五百蔵 容 @500zoo

聴き手の人生や想像力を尊重した理知的でイマジネーティブ書き方で、とはいえ平易(小比類巻自身はボブ・ディランやポール・サイモン、マーヴィン・ゲイやプリンスにインスピレーションを求めていた)、コマーシャリズム的には不利でも、刺さる聴き手にはすごく刺さるものだったと思う。

2020-07-22 19:51:59
五百蔵 容 @500zoo

彼女を今でも追っている忠実なファンの人には、あのちょうどいい距離感を保った、でも聴き手に親身な世界観の歌詞がすごい支えになったという人が多いのでは。往事のJpop関連の雑誌で「小比類巻は90年代ならではのスタイルの中島みゆきかも」と書かれていたことがあって、なるほどなと思った。

2020-07-22 19:51:59
五百蔵 容 @500zoo

小比類巻かほるは、音楽としては60~70年代に源流があるより伝統的なR&BのJPoP的解釈という風に位置づけられるアーティストで、それは彼女がやりたいことをやっていた時代(90~96年くらい)にはマーケットの支持をさほど得られなかったという事実がある。極めて独自性はあったが、客がいなかった。

2020-07-24 01:38:26
五百蔵 容 @500zoo

その後日本のシーンでは「R&B」と称されるジャンルが隆盛を迎え現在に至るが、これは基本的には宇多田ヒカルの登場が起爆剤であったはずだし、今も主流の音楽的イディオムとなってるこの「R&B」は古典的なR&B基盤のポップス、という意味ではなくヒップホップR&Bなので小比類巻の音楽性とはまるで違う

2020-07-24 01:41:56
五百蔵 容 @500zoo

宇多田が登場した98年以降、CD市場がシュリンクに向かい音楽がアクティビティビジネス化していくにあたり日本のポップシーンは逆に多様化したと思う。そこになら小比類巻の(メジャーシーンにおける)居場所はあったかもしれない。シーンの推移を眺めていて、ぼく自身ずっとそう思っていた。

2020-07-24 01:44:53