『もののけ姫』と『シュナの旅』の類似性と対称性について

宮崎駿の初期絵物語である『シュナの旅』はもののけ姫の元となった作品と言われていて、実際とてもよく似ているけど、似ている要素を一つ一つ比較すると、実は正反対じゃね?と思ったのでメモ。 主人公の旅立ちの動機、神人とシシ神様の立ち位置は、似ているけど正反対な要素の代表だと思います。 下敷きにした物語の違いに由来するものかと。
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がくじゅつてきあかげ@『彼女は正に絹の娘』完結&『子々孫々まで祟りたい』更新中 @zingibercolor

シュナの旅ともののけ姫は結構似てるんだけど、旅の動機はまるで正反対なんだよなあ

2011-07-01 21:28:42
がくじゅつてきあかげ@『彼女は正に絹の娘』完結&『子々孫々まで祟りたい』更新中 @zingibercolor

シュナは旅の途中で恋人(に近い)少女を得るけど、アシタカはしょっぱなで婚約者のカヤと永久に分かれる羽目になるし

2011-07-01 21:33:19
がくじゅつてきあかげ@『彼女は正に絹の娘』完結&『子々孫々まで祟りたい』更新中 @zingibercolor

シュナの旅に出てくる神人と、もののけに出てくるシシ神様は『豊かな自然の象徴』という意味では同じだけど、物語の中でおかれている位置がまるで違うし

2011-07-01 21:38:19
がくじゅつてきあかげ@『彼女は正に絹の娘』完結&『子々孫々まで祟りたい』更新中 @zingibercolor

シュナの旅の神人が住むのは、太古の生物がすむ穏やかで天国のような土地だけど、そこで神人がやってるのは大量の人間を麦に変換すること。そして、神人は人間に侵されない。ものすごく人をを嫌っている存在だけど、人が太刀打ちできない/立ち入ってはならない偉大なるものの象徴として描かれている。

2011-07-01 21:45:07
がくじゅつてきあかげ@『彼女は正に絹の娘』完結&『子々孫々まで祟りたい』更新中 @zingibercolor

対してもののけ姫のシシ神様は、明確に『人間の敵』と認識出来る程度に人間に近い存在になってる。そして、人間に侵される存在として描かれてる。実際首を落とされるし(倒してハイ終わりってほど単純な存在ではないけど)。神人にくらべて、はるかに人間が干渉しやすい存在になってる。

2011-07-01 21:49:45
がくじゅつてきあかげ@『彼女は正に絹の娘』完結&『子々孫々まで祟りたい』更新中 @zingibercolor

神人は麦を数房持ってかれただけだったけど、シシ神様はその身を人間に削られる事を暗示してるしなー。タタラの燃料として。全体的に見てシシ神様のほうが弱いな。もののけは神殺しの物語だからそうならざるを得ないんだけどさ。

2011-07-01 21:53:05
がくじゅつてきあかげ@『彼女は正に絹の娘』完結&『子々孫々まで祟りたい』更新中 @zingibercolor

シュナの旅の下敷きになったのはチベット民話の『犬になった王子』(穀物がない国の王子が竜王から麦を盗み出すが犬の姿に変えられてしまう。一人の娘の愛によって元の姿になり、祖国に麦をもたらす)だそうなので、シュナともののけ姫の違いはここから来たのかしら。

2011-07-01 21:56:49
がくじゅつてきあかげ@『彼女は正に絹の娘』完結&『子々孫々まで祟りたい』更新中 @zingibercolor

竜王なんてチベットはじめアジア圏では神聖にして侵すべからざる存在だものなー。だから神人はあんなに人間から遠く侵しがたい存在になったのかしら。竜殺しって言葉もあるけど、あれは竜を悪魔扱いしてる西洋の考えだし。基本的にチベット民謡からは竜殺しなんて概念を読み取れないとおもってよさそう

2011-07-01 21:59:57
がくじゅつてきあかげ@『彼女は正に絹の娘』完結&『子々孫々まで祟りたい』更新中 @zingibercolor

そういえば今ふと思い出したんだけど、シシ神様が地面を踏むと、様々な植物があふれ出るように生えてくるけど、神人は怪我すると自然豊かなところを選んで死んで、その死体は豊かな自然を作る生き物の食い物になっちゃうのよね。こんなとこでも正反対

2011-07-01 22:05:56